午後5時少し前だった。檻の様子を見に西沢に上がっていくと、安いっちゃが畑をおこしていた。
『ホイ、どうだん、イノシシは来とるかん?』
安いっちゃは、備中でおこしていた手をとめて、首を横に振りながら
「ここんとこ、檻の近くには来とらんよ、タケノコを掘りにヤブのほうにいっとるじゃないかと思うが」
「今朝も檻を見にいったが、来とらなんだでのん」
『そうだのん、今年はタケノコが早いでヤブを荒らしにいっとるかも知れんのん』
それでも、一度様子を見ておくか、と檻のところまで上っていくと・・・・・。
ン・・・、檻の中で20kg位のイノシシが、じっとこっちを窺っている。安いっちゃは確か朝は這入っていなかったと言っていたが・・、すると、このイノシシは何時這入ったんだ?。
そういえばこの頃、昼間イノシシに出会ったという話をよく聞く。イノシシの子供も「ゆとり教育」のせいで、夜中に暗がりで餌をあさるのが怖くなってしまったのだろうか?。