隣の同級生、隆くんが逝って四十九日が過ぎた。父母を始め今までに多くの人を送ったが、隆くんは特別だ。物心ついてから、七十年近くずーっと一緒だった隆くんの存在はそう簡単に埋まらない。
何とか気持ちを切り替えようと、KAGRAが動き出すと聞き、長年の願いだった神岡を家内と訪ねた。年寄りには少し遠かったが交代で運転し約六時間、辿り着いた神岡の紅葉は尋常でない美しさだった。
紅葉に埋もれた神の岡の地中深くに鎮座する光電子増倍管の神殿、此処も一つの胎蔵界曼荼羅、サンクチュアリだ。ニュートリノや重力波が検出されて然るべき処なのだろう。道中、休憩をかねて寄った女夫岩は人生の旅の思い出。