■2019-10-27;七久保(太田宅)
寒狭峡にまつわる伝説を掘り起こそうと集めた資料の中に、
七久保に伝わる『不思議な石』という昔話があった。
その話を読んで、
『どおだ、よっちゃ、この石はワシが山で掘ってきた石だ。人の顔に見えんか?』
欣丈さんが、庭の石を指して、したり顔で言っていたのを思い出した。
・・・もう四十年以上前のことだ。
七久保の解体の話を聞いたとき、真っ先にその石の事が頭に浮かんだ。
おそらくあの石のことは自分しか知らないだろう。重機に踏まれて
壊されたりしては忍びない。自分も七久保とは縁がある、
何とかせにゃあならんと思い、浩勝さんに申し出て自宅で預かることにした。
10月27日、お不動様のご縁日の前日(この日、お不動様の移転先の観真寺で、
入魂供養が行こなわれた)、一人ではちょっと重すぎると、娘と一緒に
七久保に行き、昔話に倣い南京袋に入れて自宅まで運んだ。
;2019-11-01;橋詰(自宅)
せっかく七久保から此処まで出てきたのだから、見晴らしのいい場所が
いいだろうと、予め決めておいた南西の裏鬼門に鎮座して、
我が家を見守って貰うことにした。新しい居場所に満足し、
微笑んでいるように見えるのは気のせいか?。
この石は、昔話では何でも願い事を叶えてくれる事になっているが、
今の自分には大した願いはない。せいぜい『家内安全』か『無病息災』ぐらいだ。
それにしてもこの石、七久保の山の上に埋まっていたのに、
欣丈さんと縁を結び、欣丈さんの庭に五十年鎮座、そして今こうして
橋詰の我が家に納まることになった、不思議といえば不思議な石だ。