.特別採捕
猿橋・鮎滝を物ともせずに上る鮎も長篠堰堤で遡上を阻まれる。
毎年4月中頃から約一月、新滝で漁協の役員が遡上する稚鮎を掬い、
上流に運び放流する。寒狭川の春の風物詩、知事許可で行う特別採捕である。
新滝から寒狭峡大橋の下の駐車場まで、簡易な索道を張り、
稚鮎の入ったバケツを吊り上げ、軽トラに積んだ水槽に入れる。
鮎は回遊魚だ。泳ぎ続けていないと、直ぐに酸欠になり死んでしまう。
水槽に酸素を吹き込みながら、大急ぎで頭首工の上流まで運び放す。
高齢化が進む漁協役員には厳しい仕事だ。
もし、稚鮎が自力で堰堤を上ることができれば、こんな苦労をしなくてもよくなる。
長篠堰堤の魚道は、寒狭川漁協組合員の長年の切望であった。
.長篠堰堤に魚道を
話は30年近く逆上る。
豊川用水計画で鳳来町長楽(現:新城市玖老勢)に頭首工を造り
寒狭川の水を、約5kmのトンネルで、宇連川に導水することになり、
国と漁協との間で話し合いが行われた。
当然、漁協は反対をしたが、最終的に受け入れざるを得なかった。
計画を受け入れる条件の一つが、長篠堰堤に魚道をつくることであった。
頭首工は平成9年に完成したが、
堰堤の魚道については、国(県が代行)と漁協が、協議を重ね続けても、
1.寒狭峡の景観を損なわずに設置できるか
2.本当に稚鮎が遡上できる魚道ができるのか
3.費用対効果の検討
などの問題を解決できなかった。
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