1月18日に八ノ平のくくりわなに掛かった猪は立派なオスだったと久栄さんに聞いた。私が八咫烏に導かれて小林建築の人たちと熊野詣でをしていた日だ。檻に入るのは子イノシシかせいぜい3年生位までが殆んどなので、是非とも見たかったと残念がっていると、
「立派な牙だったのでそのまま処分するのも勿体ないと思ってへし折っておいたんだが・・」
、と言いながら蚕室の南側の軒下に案内してくれた。7・8センチはありそうな猪の胆(胆嚢)が吊るしてある下に、成るほど立派な牙が置いてあった。頭蓋骨を半年ほど土中に埋めて腐らせればもっときれいに全体がとれるのだが急いでとったので途中で折れてしまったという。それでも10センチ近くある立派な牙だ。
「どうだん、一つあげるで穴を開けて首から吊るしてみちゃあ」
首から吊るす?、ン・・・、猪の牙の首飾り・・、そうだ、もののけ姫だ!、サンだ、サンの首飾りだ!。猪の牙は魔除けの力があると孝太郎の本にも書いてあった!。
「そいじゃあ、大きいほうを一個おくれん」
貰ったのはいいが、どうやって穴を開けたらいいのか?。歯と同じエナメル質だからそう簡単には開かんだろうし・・。ン・・・、こういうことはやはり道敏君だ。
「お~い、ミッチャぁ、久栄さんに貰ってきたんだが飾りにしたいんで、ここに穴を開けたいんだけど・・。」
「おー、開くあく、木工用のドリルで十分だよ。」
本当かよ?。と思う間もなく、もう手にドリルが唸っていた。道具に凝ることと、深く考えずに行動することにかけては彼にはとてもかなわない。(あれー?、という回数も多いが・・・。)
一分程で以外に呆気なく開いてしまった。歯医者のあの肩が凝りそうな時間は何なんだろう。
ともあれ、100円ショップで、紐を買ってきてサンの首飾りが完成だ。お気に入りのアイテムが一つ増えた。これで八ノ平の主も浮かばれるだろう。