今日のことあれこれと・・・

記念日や行事・歴史・人物など気の向くままに書いているだけですので、内容についての批難、中傷だけはご容赦ください。

数学の日

2005-03-14 | 記念日

π=3.14

今日(3月14日)は「数学の日」。日本数学検定協会(数検)が制定。
円周率の近似値3.14に因んで。現代文明を支えている数学の一層の発展を願って祝う日。
2004年12月に入って、学力調査のニュースがマスコミを賑わせた。経済協力開発機構(OECD)が昨年実施した国際的な学習到達度調査(PISA)の結果が、12月7日に世界同時に公表された。
OECDのこの調査は41カ国・地域(香港、マカオなど)の276,000人(日本からは4,700人)の15歳の生徒を対象に、数学的応用力、科学的応用力、読解力の3分野について国際比較したもので、PISA(国際学力到達度プログラム)と呼ばれ、2003年の結果を前回2000年の結果と比較している。これによると、日本の生徒は科学では前回と同じ2位だったが、数学が前回の1位から6位に、「読解力」が、参加国の中で最大の低下幅を見せて、OECD平均レベルの14位まで低下した。また、8日後の12月15日には、世界の中学2年生と小学4年生を対象に国際教育到達度評価学会(IEA、本部アムステルダム)が昨年実施した学力調査(TIMSS2003)の結果が公表され、小・中学生の基礎学力低下が明らかになった。
このような学力低下に対して、12月9日の朝日新聞社説は「書かれたものを正確に理解することはあらゆる知的活動にとってなによりも重要なことだ」として、学校における国語授業の時間を削減した2002年度実施の学習指導要領を批判し、日本の語学教育を抜本的に考え直すことを呼びかけた。又、12月12日の日本経済新聞社説でも、読解力の大幅低下に重大な懸念を表明し、「ゆとり教育」のスローガンの下に、教えるべき知識の量を減らしてきた文部省の政策に大きな疑念を提起し、「薄くなる教科書に詰め込まれた知識は断片化してゲームのような授業が多くなり、まとまった文章を読んで問題を深く考える場面が減っている」と指摘している。
この様に両紙が共通して指摘していることは、他の国よりレベルが秀でている・劣っているということよりも、「読解力が劣っている」ということが危惧するべき問題としている点である。人間がコミュニケーションをとる一番の道具である言葉、その言葉を表現した文章を理解できないのは、「言葉を理解できない」つまり、「人と人とのコミュニケーションがとれない」ということになる。
一時、円周率を3とすることで論議を呼んだことがある。この円周率3か3.14かといった問題について、私は、最初は驚いたが、よく考えてみるとたいした問題ではないように思える。
小学生の理数離れが進んでいるという問題について、、子供たちの理数離を食い止めている小学校が熊本県にあるという話を聞いたことがある。その小学校では国語の授業に力を入れることで、それを実現したという。「なぜ理科と算数なのに国語なのという問いに対しては「理解力、論理力は国語力によって改善される」といっている。理解力や論理力を必要とする理科や算数は、子供たちの理解力や論理力が強化されれば自然と理科や算数が好きになると考えたそうだ。そして、実際の対策としては、子供たちに長文を読ませ、読んだ内容を要約したり又、 自分の好きなスポーツや遊びをクラスメートの前で発表させることによって、子供たちには、「みんなに分かって貰いたい」という意欲が、自然と文章の要点や意図を意識することに繋がってゆき、それを繰り返しているうちに、文章の理解力が高まっていったというのである。だから、円周率の問題でも、子供がそのことに興味さえ持てば、自分から分かろうと努力するわけであり・・・その通りだと思う。
又、最近の漫画が現代人の読解力に与えている影響も大きいことは確かだろう。昔の漫画は、吹き出しの中に文章がいっぱい入っていて、状況や心情を文章(会話)で説明し、それに、絵を添えている感じであった。しかし、「映画のような漫画を描きたい」とする、石ノ森章太郎や手塚治虫が「絵」でストーリーや心的風景を説明するようになったのが発端となり、「絵」で読み手に状況判断をさせる漫画が増えてきた。これは、時代を追うごとに顕著になっている。この手法による漫画表現力は独特の文化を形成した一方、文章での表現を捨ててしまった。つまり、現代の漫画は、言葉・文章は重要視されていないわけである。
最近の漫画ブームにより、長文の本を頻繁に読む人 が減ってきている。長い「文章を読む」にはある程度の慣れが必要だが、今の漫画では、パラパラと絵をめくっているだけで内容を理解できるため、このような、本の読み方に慣れると、慣れない長文を読むことにはすぐに飽き、飽きてしまうと集中力がなくなり、言葉の読み落しや、微妙な言葉の意味合いに気付かないまま読み終えてしまうことになる。つまり、意味のある言葉を読むことで、読み手がその状況を映像的に想像できる文章表現と違い、絵があるために映像的な想像のほとんどを読み手から取り上げてしまったのが漫画だといえる。この問題は、小中学生のような低学年だけではない。大学生、社会人といった若者でも、今では、テレビのニュースを見聞きすることで間に合わせ、新聞も読んでいない人が多くなったと聞く。
中山成彬文部科学相は「ゆとり教育」を反省し、新学習指導要領の全体的な見直しを進める考えを表明した。また、「近隣諸国が力を伸ばしており、このままだと我が国は東洋の老少国になりかねない」と学力低下を憂慮しているが、誠、真剣に改革に取り組んで欲しいと思う。
しかし、このような学力の低下問題の基本には、かっての、イギリスで起こったと同じ根深い問題があるものと考えている。この問題には、以下、参考の「JOG-Mag No.375 イギリス病を克服した教育改革」が詳しく触れている。関心のある方は一度覗いてみてください。
参考:
日本数学検定協会
http://www.suken.net/
読解力 - infoseek 検索
http://www.infoseek.co.jp/OTitles?qt=%C6%C9%B2%F2%CE%CF&col=OW
ジャパンブリーフ・経済協力開発機構(OECD)の調査結果(平成16年12月13日)
http://www.fpcj.jp/j/fshiryou/jb/0456.html
JOG-Mag No.375 イギリス病を克服した教育改革
http://backno.mag2.com/reader/BackBody?id=200412190000000000000699000
πの部屋!
http://www1.coralnet.or.jp/kusuto/PI/