今日(3月15日)は「万国博デー」
1970(昭和45)年、3月15日前日に開幕式が行われた大阪府吹田市千里丘陵の「日本万国博覧会(大阪万博)」の一般入場が開始された。
東京オリンピックに次ぐ国家的事業として、1970年3月14日から9月13日まで、大阪府千里丘陵を会場に「人類の進歩と調和」をテーマとして開催された大阪万国博覧会(EXPO'70)は、”経済大国”日本の姿を内外に示す絶好の機会となった。延べ183日間の会期中の入場者数は当初の予測入場者数3000万人の倍以上の6421万もの人々が訪れた。計算上は日本の人口の半数以上が訪れたことになる。これは1985年の科学万博「つくば‘85」、1990年の「花と緑の博覧会」でも2000万人を超える入場者を数えており、過去最大の国際博覧会であった。
あの岡本太郎氏がデザインした有名な「太陽の塔」が間近にそびえるお祭り広場には、参加77カ国の国旗がはためき、会場には117のパピリオン(展示館)が並んだ。特に、大変な人気を呼んだのが、アメリカの宇宙船アポロが持ち帰った「月の石」が展示されていたアメリカ館であった。連日、長蛇の列が続き、待つだけで4~5時間を要し、見学できるのは数10秒ほどといった状況。毎日毎日、ゲートを開けたとたん、数万人が目当てのパビリオンに一斉に走り出し、転倒者が続出。「動く歩道」では将棋倒しが発生。さらには、迷子ならぬ「迷い大人」も続出。長蛇の列で客同士のトラブルも頻発した。開幕8日前の9月5日には、期間中最高の、なんと島根県の人口をはるかに超える83万人が入場、歩き回っているうちに時の経つのを忘れて終電に乗り遅れ、会場内で、夜明かしをした人が数千人も出た程であった。
万博は、高度経済成長の象徴であった。日本人の多くは、戦後のどん底から立ち直った経済的繁栄を享受していた。体力の消耗と我慢の万博を経験して、当時、人々は日本の未来にどんな夢を見たのだろうか。万博が「人類の進歩と調和を」謳いあげる一方で、国内では公害が最大の社会・政治・経済問題となっていた。そして、万博を頂点に「いざなぎ景気」にも陰りが見え始めていた。万博は、高度経済成長を謳歌していた日本の最後の「打ち上げ花火」だったかも知れない。
今年2005年3月25日より、愛知県で「愛知万博(愛・地球博)」が開幕する。 日本での万博は、大阪万博以来、沖縄国際海洋博などに続き5回目の開催となる。 名古屋東部丘陵を中心とした長久手(ながくて)会場と瀬戸会場を中心に主会場を置き、環境、資源エネルギーなど人類が抱える問題提起型の「知の万博」を目指している。パピリオンには、一応テーマーに沿ったものが展示されるようだ。だが、万博開催についての愛知県や地元経済団体の本音は、どちらかといえば、新空港の開港に合わせて、万博を期に一段の経済発展を導くことにあるような気がする。しかし、高度の科学技術や大規模な開発で「人類の進歩と調和」を目指した挙句、環境破壊など様々な問題を抱えることになったことを考えれば、色々と考えさせられることがありそうだ。
この愛知万博のテーマーも当初は、たしか、「新しい地球創造・自然の英知」といった自然の環境を生かしたものだったように思うが、いざ蓋を開けると自然をうたい文句にはしているが、ベースは科学中心になっているような感じがする。
この万博開催に当たっては、当初から、地元 の人々の反対が強く 工事の着工もぎりぎりまで遅れていたし、未だに、地元には、自然破壊を理由に、開催に反対する団体もある。
又、真偽の程は分からないが、観客動員のための入場券の市民への強制割り当てなどもあるようで、それらの券がチケットやネットのオークションで安売りされているという。今回の万博が、単なる地元の「町おこし万博」か、それともこれは「21世紀の万博」といえるものなのか・・・もうすぐ開幕なので、どのようなものか見守ってゆきたいと思う。
追伸:万博のことについては、2006年5月1日に、「ロンドンで第1回万国博覧会が開催された日」(歴史)としても、書いたので、興味がある人は見てね。
(画像は1970年大阪で行われた日本万国博覧会のパンフレット。シンボルタワーの「太陽の塔」は、故岡本太郎によるデザイン)
参考:
懐かしの大阪万博EXPO70
http://www.expo70.jp/expo70.html
日本万国博覧会記念機構|Global Index
http://www.expo70.or.jp/
ホームページ | EXPO 2005 AICHI,JAPAN
http://www.expo2005.or.jp/jp/
愛知万博: 環境3団体シンポ不参加 絶滅危惧種捕獲対応で(毎日新聞 - 2005年3月6日)
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/news/20050307k0000e040086000c.html
新鉱山開発で消える街の緑 瀬戸物の里 市の1/3に鉱業権(東京新聞 - 2005年3月6日)
http://www.tokyo-np.co.jp/00/tokuho/20050307/mng_____tokuho__000.shtml
愛知万博中止の会 ホームページ
http://www.h2o.or.jp/~banpaku/
環境とくらしを考える緑ネットワーク
http://homepage2.nifty.com/midori-net2001/newpage1.htm
1970(昭和45)年、3月15日前日に開幕式が行われた大阪府吹田市千里丘陵の「日本万国博覧会(大阪万博)」の一般入場が開始された。
東京オリンピックに次ぐ国家的事業として、1970年3月14日から9月13日まで、大阪府千里丘陵を会場に「人類の進歩と調和」をテーマとして開催された大阪万国博覧会(EXPO'70)は、”経済大国”日本の姿を内外に示す絶好の機会となった。延べ183日間の会期中の入場者数は当初の予測入場者数3000万人の倍以上の6421万もの人々が訪れた。計算上は日本の人口の半数以上が訪れたことになる。これは1985年の科学万博「つくば‘85」、1990年の「花と緑の博覧会」でも2000万人を超える入場者を数えており、過去最大の国際博覧会であった。
あの岡本太郎氏がデザインした有名な「太陽の塔」が間近にそびえるお祭り広場には、参加77カ国の国旗がはためき、会場には117のパピリオン(展示館)が並んだ。特に、大変な人気を呼んだのが、アメリカの宇宙船アポロが持ち帰った「月の石」が展示されていたアメリカ館であった。連日、長蛇の列が続き、待つだけで4~5時間を要し、見学できるのは数10秒ほどといった状況。毎日毎日、ゲートを開けたとたん、数万人が目当てのパビリオンに一斉に走り出し、転倒者が続出。「動く歩道」では将棋倒しが発生。さらには、迷子ならぬ「迷い大人」も続出。長蛇の列で客同士のトラブルも頻発した。開幕8日前の9月5日には、期間中最高の、なんと島根県の人口をはるかに超える83万人が入場、歩き回っているうちに時の経つのを忘れて終電に乗り遅れ、会場内で、夜明かしをした人が数千人も出た程であった。
万博は、高度経済成長の象徴であった。日本人の多くは、戦後のどん底から立ち直った経済的繁栄を享受していた。体力の消耗と我慢の万博を経験して、当時、人々は日本の未来にどんな夢を見たのだろうか。万博が「人類の進歩と調和を」謳いあげる一方で、国内では公害が最大の社会・政治・経済問題となっていた。そして、万博を頂点に「いざなぎ景気」にも陰りが見え始めていた。万博は、高度経済成長を謳歌していた日本の最後の「打ち上げ花火」だったかも知れない。
今年2005年3月25日より、愛知県で「愛知万博(愛・地球博)」が開幕する。 日本での万博は、大阪万博以来、沖縄国際海洋博などに続き5回目の開催となる。 名古屋東部丘陵を中心とした長久手(ながくて)会場と瀬戸会場を中心に主会場を置き、環境、資源エネルギーなど人類が抱える問題提起型の「知の万博」を目指している。パピリオンには、一応テーマーに沿ったものが展示されるようだ。だが、万博開催についての愛知県や地元経済団体の本音は、どちらかといえば、新空港の開港に合わせて、万博を期に一段の経済発展を導くことにあるような気がする。しかし、高度の科学技術や大規模な開発で「人類の進歩と調和」を目指した挙句、環境破壊など様々な問題を抱えることになったことを考えれば、色々と考えさせられることがありそうだ。
この愛知万博のテーマーも当初は、たしか、「新しい地球創造・自然の英知」といった自然の環境を生かしたものだったように思うが、いざ蓋を開けると自然をうたい文句にはしているが、ベースは科学中心になっているような感じがする。
この万博開催に当たっては、当初から、地元 の人々の反対が強く 工事の着工もぎりぎりまで遅れていたし、未だに、地元には、自然破壊を理由に、開催に反対する団体もある。
又、真偽の程は分からないが、観客動員のための入場券の市民への強制割り当てなどもあるようで、それらの券がチケットやネットのオークションで安売りされているという。今回の万博が、単なる地元の「町おこし万博」か、それともこれは「21世紀の万博」といえるものなのか・・・もうすぐ開幕なので、どのようなものか見守ってゆきたいと思う。
追伸:万博のことについては、2006年5月1日に、「ロンドンで第1回万国博覧会が開催された日」(歴史)としても、書いたので、興味がある人は見てね。
(画像は1970年大阪で行われた日本万国博覧会のパンフレット。シンボルタワーの「太陽の塔」は、故岡本太郎によるデザイン)
参考:
懐かしの大阪万博EXPO70
http://www.expo70.jp/expo70.html
日本万国博覧会記念機構|Global Index
http://www.expo70.or.jp/
ホームページ | EXPO 2005 AICHI,JAPAN
http://www.expo2005.or.jp/jp/
愛知万博: 環境3団体シンポ不参加 絶滅危惧種捕獲対応で(毎日新聞 - 2005年3月6日)
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/news/20050307k0000e040086000c.html
新鉱山開発で消える街の緑 瀬戸物の里 市の1/3に鉱業権(東京新聞 - 2005年3月6日)
http://www.tokyo-np.co.jp/00/tokuho/20050307/mng_____tokuho__000.shtml
愛知万博中止の会 ホームページ
http://www.h2o.or.jp/~banpaku/
環境とくらしを考える緑ネットワーク
http://homepage2.nifty.com/midori-net2001/newpage1.htm