今日(11月18日)は、「土木の日」
土木学会、日本土木工業協会等が建設省(現在の国土交通省)の支援で1987(昭和62)年に制定。土木の2文字を分解すると「十一」「十八」になることと、土木学会の前身である「工学会」の創立が1879(明治12)年11月18日であることから、この日を「土木の日」と制定したそうだ。
一口に土木といっても、土木構造物には、橋梁、ダム、堤防の他、道路、鉄道、港湾・空港等などがあり、これらそれぞれの分野に独立した専門の計画・設計・施工・維持管理等の工学が必要であり、また、土木構造物とは別に、河川、道路、港湾、鉄道、水道・・・・といった、土木事業のシステムや土木技術などを必要とするように、とにかく土木という分野は範疇が広い。
土木学会は関係諸官庁および諸団体の支援を得て、11月18日「土木の日」から、続く土木学会の創立記念日である11月24日までの1週間を「くらしと土木の週間」として、欧米先進国に比べ格段に立遅れている社会資本整備の意義と重要性について幅広いコンセンサスを形成していくことを目的に各種イベントを含めた活動を展開しているようだ。
土木に関する技術は、人類の歴史上において、もっとも古い技術といえるのではないだろうか。
考えてみれば、今から約1万2千年前、旧石器時代から縄文時代にかけての豊かな緑に覆われた静かな日本列島で人類が、文明生活を営み始めた頃、彼らは植物の採取や狩猟、漁獲などで食料をまかない、住居は自然を利用xした横穴式住居から地面を掘り下げてつくった竪穴式住居で生活をするようになった。この時、彼らは掘削や屋根をふくという仕事が必要となった。
そして、さらに紀元前1~2世紀の弥生時代になると、大陸から青銅器と鉄器が相次いで日本にもたらされると、人類の文化水準も一気に高まった。この時代になると水稲耕作による稲作技術も広まり、人類は、それまで住んでいた台地から低地に移り住むようになり、農耕社会の発展とともに地域集団は大型化していき、その中心部には環濠集落が営まれ、貯蔵施設としての貯蔵穴や掘立柱建物、ゴミ捨て場や土器の焼成など様々な用途に使われたと考えられる土坑(不定形の穴)、集落の周りを巡らせたり集落内部を区画するように掘られた堀(環濠や環壕〔空堀〕、土塁など)がつくられる。そして、次第に裕福な者と貧しい者、支配する者と支配される者という身分差が生じ、支配する立場の人間として貴族的階級が誕生するようになる。この時代には水利権や余剰農産物をめぐる争いも起こるようになり、掘立柱建物は収穫した米や穀物を保管するための倉庫としての役目ととも物見櫓としての役目もあったようだ。また、日本の湿度や夏の暑さ対策、またネズミなどから食糧を守る目的からも高床式倉庫が造られるようになった。この高床式の建物は、住居としても、竪穴式のものと比較して住み心地が良いことが分かると、次第に貴族的な階級の者の住居として建てられるようになった。
前漢の武帝の時代,、淮南王劉安が学者を集めて編纂させた哲学書に『淮南子(えなんじ)』という古い文献がある。((以下参考に記載の「諸子百家《淮南子》参照)
その中巻「十三氾論訓」には、「古者民澤處複穴,冬日則不勝霜雪霧露,夏日則不勝暑蟄蚊虻。聖人乃作,為之築土構木,以為宮室,上棟下宇,以蔽風雨,以避寒暑,而百姓安之。 」と記されている。
現代語訳にすると、「昔、民は湿地に住み、穴ぐらに暮らしていたから、冬は霜雪、雨露に耐えられず、夏は暑さや蚊・アブに耐えられなかった。そこで、聖人が出て、民のために土を盛り材木を組んで室屋を作り、棟木を高くし軒を低くして雨風をしのぎ、寒暑を避け得た。かくして人びととは安心して暮らせるようになった」・・・といったところである。以下参照。
土木資料館「土木の語源」
http://www.sakai11.jp/ydo_dobokunogogen.htm
ここに登場する聖人が行なったとされる「築土構木」。土を築いて堤をつくり、木を高く構えて建物・橋をつくるなど、人々の生活の基盤を整えることを意味しており、これが「土木」の語源だという。
人々の生活の基盤をなす住居は、横穴式住居から地面を掘削した竪穴式住居へ、そして、竪穴式住居よりも快適な高床式の建物へと発展してゆくが、これが、建築の始まりとは言える。
建設工事と土木工事は不可分のものであり、昔は現在の建築の分野までカバーする言葉として「土木」という言葉が使われていた。そして、人類は長い歴史の中で少しでも快適な生活基盤を整えるために知恵と技術を結集して、水を治め、道を拓いて産業活動をし、生活に必要な社会基盤を整備してきた。しかし、まだ、まだ、台風による河川の氾濫、崖崩れによる被害、また、地震大国日本では、大地震による建物等の倒壊といった大被害が頻繁に起こっており、国民生活の安全の確保、そして、アメニティーの向上のためには、まだまだ、豊かで、質の高い国土および生活空間づくりの促進が必要であろう。しかし、それ以前に、阪神淡路大震災のときなどにも、耐震基準を満たしていない建築や違法な工事の行われた建物・公共施設等が多く見られた。コスト上のためか、初めから違法と判っていての設計や施行であったのか、それとも、計画や設計段階では問題のないものを、目に見えぬところで業者が手抜きをしたものか、はたまた、そんな杜撰な工事をいい加減な検査で見のがしている役所の怠慢などによるものなのか、・・・。兎に角、まだまだそういった問題が非常に多くある。そして、耐震基準に満たない住居など政府は対策をするよう指導はしても、経済的な面から、地震対策を実施できない国民も多くいるのが実情である。そして、社会資本整備のための公共工事については、多くの役人が建設関係の会社や団体に天下り、談合によって、貴重な国民の血税の無駄遣いをしている報道などを聞くに付け、今日のような「土木の日」に、欧米先進国に比べ格段に立遅れている「社会資本整備の意義と重要性について」国民の理解を得たいとする業界団体の気持ちも分からないではないが、それより以前に、赤字大国日本の国費の無駄遣いと建設業としての道徳感や誇りを持つよう関係業者に期待したいものである。
(画像は、吉野ヶ里遺跡。フリー百科事典Wikipediaより)
参考:
土木学会
http://www.jsce.or.jp/index.html
社団法人 日本土木工業協会【土工協】
http://www.dokokyo.or.jp/
国土交通省
http://www.mlit.go.jp/
日本工学会
http://www.jfes.or.jp/
科学 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A7%91%E5%AD%A6
日本の歴史- Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E6%AD%B4%E5%8F%B2
建築 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BB%BA%E7%AF%89
高床式倉庫 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%AB%98%E5%BA%8A%E5%BC%8F%E5%80%89%E5%BA%AB
淮南子 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B7%AE%E5%8D%97%E5%AD%90
諸子百家《淮南子》
http://chinese.dsturgeon.net/text.pl?node=3022&if=gb
日本の歴史と建築様式
http://www.homemate.co.jp/useful/nihonkenchikushi/kenchikuyoushiki/jyoumon/index.shtml
阪神・淡路大震災 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%98%AA%E7%A5%9E%E3%83%BB%E6%B7%A1%E8%B7%AF%E5%A4%A7%E9%9C%87%E7%81%BD
土木学会、日本土木工業協会等が建設省(現在の国土交通省)の支援で1987(昭和62)年に制定。土木の2文字を分解すると「十一」「十八」になることと、土木学会の前身である「工学会」の創立が1879(明治12)年11月18日であることから、この日を「土木の日」と制定したそうだ。
一口に土木といっても、土木構造物には、橋梁、ダム、堤防の他、道路、鉄道、港湾・空港等などがあり、これらそれぞれの分野に独立した専門の計画・設計・施工・維持管理等の工学が必要であり、また、土木構造物とは別に、河川、道路、港湾、鉄道、水道・・・・といった、土木事業のシステムや土木技術などを必要とするように、とにかく土木という分野は範疇が広い。
土木学会は関係諸官庁および諸団体の支援を得て、11月18日「土木の日」から、続く土木学会の創立記念日である11月24日までの1週間を「くらしと土木の週間」として、欧米先進国に比べ格段に立遅れている社会資本整備の意義と重要性について幅広いコンセンサスを形成していくことを目的に各種イベントを含めた活動を展開しているようだ。
土木に関する技術は、人類の歴史上において、もっとも古い技術といえるのではないだろうか。
考えてみれば、今から約1万2千年前、旧石器時代から縄文時代にかけての豊かな緑に覆われた静かな日本列島で人類が、文明生活を営み始めた頃、彼らは植物の採取や狩猟、漁獲などで食料をまかない、住居は自然を利用xした横穴式住居から地面を掘り下げてつくった竪穴式住居で生活をするようになった。この時、彼らは掘削や屋根をふくという仕事が必要となった。
そして、さらに紀元前1~2世紀の弥生時代になると、大陸から青銅器と鉄器が相次いで日本にもたらされると、人類の文化水準も一気に高まった。この時代になると水稲耕作による稲作技術も広まり、人類は、それまで住んでいた台地から低地に移り住むようになり、農耕社会の発展とともに地域集団は大型化していき、その中心部には環濠集落が営まれ、貯蔵施設としての貯蔵穴や掘立柱建物、ゴミ捨て場や土器の焼成など様々な用途に使われたと考えられる土坑(不定形の穴)、集落の周りを巡らせたり集落内部を区画するように掘られた堀(環濠や環壕〔空堀〕、土塁など)がつくられる。そして、次第に裕福な者と貧しい者、支配する者と支配される者という身分差が生じ、支配する立場の人間として貴族的階級が誕生するようになる。この時代には水利権や余剰農産物をめぐる争いも起こるようになり、掘立柱建物は収穫した米や穀物を保管するための倉庫としての役目ととも物見櫓としての役目もあったようだ。また、日本の湿度や夏の暑さ対策、またネズミなどから食糧を守る目的からも高床式倉庫が造られるようになった。この高床式の建物は、住居としても、竪穴式のものと比較して住み心地が良いことが分かると、次第に貴族的な階級の者の住居として建てられるようになった。
前漢の武帝の時代,、淮南王劉安が学者を集めて編纂させた哲学書に『淮南子(えなんじ)』という古い文献がある。((以下参考に記載の「諸子百家《淮南子》参照)
その中巻「十三氾論訓」には、「古者民澤處複穴,冬日則不勝霜雪霧露,夏日則不勝暑蟄蚊虻。聖人乃作,為之築土構木,以為宮室,上棟下宇,以蔽風雨,以避寒暑,而百姓安之。 」と記されている。
現代語訳にすると、「昔、民は湿地に住み、穴ぐらに暮らしていたから、冬は霜雪、雨露に耐えられず、夏は暑さや蚊・アブに耐えられなかった。そこで、聖人が出て、民のために土を盛り材木を組んで室屋を作り、棟木を高くし軒を低くして雨風をしのぎ、寒暑を避け得た。かくして人びととは安心して暮らせるようになった」・・・といったところである。以下参照。
土木資料館「土木の語源」
http://www.sakai11.jp/ydo_dobokunogogen.htm
ここに登場する聖人が行なったとされる「築土構木」。土を築いて堤をつくり、木を高く構えて建物・橋をつくるなど、人々の生活の基盤を整えることを意味しており、これが「土木」の語源だという。
人々の生活の基盤をなす住居は、横穴式住居から地面を掘削した竪穴式住居へ、そして、竪穴式住居よりも快適な高床式の建物へと発展してゆくが、これが、建築の始まりとは言える。
建設工事と土木工事は不可分のものであり、昔は現在の建築の分野までカバーする言葉として「土木」という言葉が使われていた。そして、人類は長い歴史の中で少しでも快適な生活基盤を整えるために知恵と技術を結集して、水を治め、道を拓いて産業活動をし、生活に必要な社会基盤を整備してきた。しかし、まだ、まだ、台風による河川の氾濫、崖崩れによる被害、また、地震大国日本では、大地震による建物等の倒壊といった大被害が頻繁に起こっており、国民生活の安全の確保、そして、アメニティーの向上のためには、まだまだ、豊かで、質の高い国土および生活空間づくりの促進が必要であろう。しかし、それ以前に、阪神淡路大震災のときなどにも、耐震基準を満たしていない建築や違法な工事の行われた建物・公共施設等が多く見られた。コスト上のためか、初めから違法と判っていての設計や施行であったのか、それとも、計画や設計段階では問題のないものを、目に見えぬところで業者が手抜きをしたものか、はたまた、そんな杜撰な工事をいい加減な検査で見のがしている役所の怠慢などによるものなのか、・・・。兎に角、まだまだそういった問題が非常に多くある。そして、耐震基準に満たない住居など政府は対策をするよう指導はしても、経済的な面から、地震対策を実施できない国民も多くいるのが実情である。そして、社会資本整備のための公共工事については、多くの役人が建設関係の会社や団体に天下り、談合によって、貴重な国民の血税の無駄遣いをしている報道などを聞くに付け、今日のような「土木の日」に、欧米先進国に比べ格段に立遅れている「社会資本整備の意義と重要性について」国民の理解を得たいとする業界団体の気持ちも分からないではないが、それより以前に、赤字大国日本の国費の無駄遣いと建設業としての道徳感や誇りを持つよう関係業者に期待したいものである。
(画像は、吉野ヶ里遺跡。フリー百科事典Wikipediaより)
参考:
土木学会
http://www.jsce.or.jp/index.html
社団法人 日本土木工業協会【土工協】
http://www.dokokyo.or.jp/
国土交通省
http://www.mlit.go.jp/
日本工学会
http://www.jfes.or.jp/
科学 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A7%91%E5%AD%A6
日本の歴史- Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E6%AD%B4%E5%8F%B2
建築 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BB%BA%E7%AF%89
高床式倉庫 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%AB%98%E5%BA%8A%E5%BC%8F%E5%80%89%E5%BA%AB
淮南子 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B7%AE%E5%8D%97%E5%AD%90
諸子百家《淮南子》
http://chinese.dsturgeon.net/text.pl?node=3022&if=gb
日本の歴史と建築様式
http://www.homemate.co.jp/useful/nihonkenchikushi/kenchikuyoushiki/jyoumon/index.shtml
阪神・淡路大震災 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%98%AA%E7%A5%9E%E3%83%BB%E6%B7%A1%E8%B7%AF%E5%A4%A7%E9%9C%87%E7%81%BD