今日(11月20日)は、「毛皮の日」。日本毛皮協会が1989(平成元)年に制定。「いい(11)ファー(20)」の語呂合せ。
昨今は動物愛護運動の輪の広がりからか余り、毛皮のコートなどを着ている人は見なくなったが、一昔前までは、暖かで上品な質感の毛皮のコートはエレガントな女性の憧れでもあった。その当時はこれからの寒い季節毛皮のコートなど欲しくなる季節であることから多くの毛皮の需要促進キャンペーンが見られたものであるが、この頃は、本当にそのようなキャンペーンも見なくなった。
毛皮は、ご存知の通り、動物の中でも体毛が密生している哺乳類の皮膚を毛を残したままで皮革として加工したものである。
多くの哺乳類は体表に体毛が生えていることが特徴であり、密生した体毛に包み込まれた空気の層は断熱性に優れており、これによって哺乳類は体温の発散を防いでいる。
ヒトも、哺乳類である。
余談になるが、ヒトは昔、類人猿に近い生き物だったが他の類人猿とは異なって、体毛が極めて薄いのが特色である。世界に現存する体毛のない哺乳類は生を地下で過ごすソマリアデバネズミを除けば、水生であるか、あるいはかつて水生で、今でも長時間水や泥の中にいることを好む「厚皮動物」だけだそうである。ヒトは他の類人猿と異なって、皮下脂肪が発達しており、皮下脂肪は、「厚皮動物」においては、退化した体毛に代わって断熱材の働きをする。しかし、それ以上に重要な皮下脂肪の役割は、浮力を増すことであり、このことなどから、ヒトは水中生活が長かったものとされている。 その他いろいろなことから私たち人の祖先が、食糧を魚に依存していたことを示しているという。(以下参考の「どうしてヒトは人となったのか」参照)
ここで、言いたかったことは、古来より、万物の霊長であり、そのためヒトは他の動物、さらには他の全ての生物から区別されるという考えがあるが、生物学的には特別な生物ではない・・・と言うことを言いたかったわけである。
今から500~700万年前、チンパンジーに近い生活を送っていた私たちの祖先は、当時まだライバルがあまり進出していなかった河川湖沼に適応放散し、水陸両棲となり、その後地上で生活をするようになり進化した人類は、より最近の氷河期を服と火の発明で乗り切ったと思われる。
哺乳類は、体の温度を一定に保たないと生きてゆけない故に、体毛で覆われているのであり、一般に、体温を奪われやすい小型の哺乳類ほど保温性の高い毛皮に覆われている。
しかし、先に述べたように、人には、皮下脂肪があるとはいえ、陸上の他の哺乳類のような豊かな体毛がない。保温のための衣服と言っても、当然、このような時代に今のような衣服があったわけではない。そのため、人は、保温性の高い他の哺乳類の毛皮を利用し、寒さをしのいできたと言えるだろう。
「熊。おれはてまえを憎くて殺したのでねえんだぞ。おれも商売ならてめえも射(う)たなけぁならねえ。ほかの罪のねえ仕事していんだが畑はなし木はお上のものにきまったし里へ出ても誰(たれ)も相手にしねえ。仕方なしに猟師なんぞしるんだ。てめえも熊に生れたが因果ならおれもこんな商売が因果だ。やい。この次には熊なんぞに生れなよ」
そのときは犬もすっかりしょげかえって眼を細くして座っていた。
宮沢賢治の短編「なめとこ山の熊」青空文庫)の1節である。生計のため仕方なく、なめとこ山の熊を殺す猟師・淵沢小十郎。命がけで生活のためにとった熊の皮と胆をタダ同然で荒物屋に買われてしまう。最後は、逆に熊に殺されてしまう。熊も人を殺さなければ生きてはゆけないのである。悲しく、つらすぎるラストソーン。熊と猟師の心の交流を描く秀作童話であるが、このような光景はそんなに古くはない時代の現実にあった姿なのだ。人と動物は同じ立場で相互を認め合い共生していたのである。
今、世界の国々には、家庭で飼育されている動物の虐待や遺棄の防止や、適正な飼育・取り扱いの普及啓発を推進するための多くの動物愛護団体がある。これらの団体には、大別すると、動物個体の権利(アニマルライツとも)・動物の福祉(アニマルウェルフェア。以下参考に記載の「大マガジンクラブ » アニマルウェルフェアという発想」参照)を目的とする団体と生態系や生物群集・個体群の保全を目的とする自然保護や環境保全の活動は似て非なるところもあり、主張や方針が対立することもあるようだ。
以下参考に記載の「毛皮は動物のものFUR」が主張するように人間の欲望を満たすために動物の毛皮が無残に剥ぎ取られているとしたら、それは、動物にとっても悲惨なことであるし、生物保全の面からも問題はあるであろう。今では、色々な素材が開発されているし保温のために毛皮を利用しなくても済むので、動物の種の保存に影響するようなことや、動物の虐待に該当するようなこと事態は避けるべきであろうが、昨今のペットブームの中での異常な動物との接し方(本人は可愛がっている積り)などは、かえって虐待ではないかと思われる光景もよく目にする。人間も他の動物も同じ生物には違いない、人間のエゴだけで動物を扱わないようには気をつけなければいけないね。
しかし、人間社会が食料、衣料、動力、労働、装飾、工芸材料、医療等あらゆるかたちで、また、極力効率的に動物を活用しようと歩んできたなかで、動物愛護団体の活動は動物に対する必要以上に過酷な扱いを抑止するうえで効果をあげてきたが、余りにも、動物の権利を主張するあまり、人間生活における動物の利用自体を全面的に否定するようなことはよくないのではないだろうか?。
(画像は、アメリカミンク。フリー百科事典Wikipediaより)
参考:
Category:生物
http://ja.wikipedia.org/wiki/Category:%E7%94%9F%E7%89%A9
毛皮 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AF%9B%E7%9A%AE
(社)日本毛皮協会=JFA(ジャファ)HP
http://www.fur.or.jp/
動物愛護団体 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8B%95%E7%89%A9%E6%84%9B%E8%AD%B7%E5%9B%A3%E4%BD%93
毛皮は動物のものFUR
http://www.no-fur.org/index.html
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%81%A9%E5%BF%9C%E6%94%BE%E6%95%A3
どうしてヒトは人となったのか
http://www.nagaitosiya.com/b/aquatic_ape.html
デバネズミ- Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%87%E3%83%90%E3%83%8D%E3%82%BA%E3%83%9F
宮沢賢治「なめとこ山の熊」(青空文庫)
http://www.aozora.gr.jp/cards/000081/files/1939_18755.html
東大マガジンクラブ » アニマルウェルフェアという発想
http://www.utp.or.jp/todai-club/2005/07/16/ycyeythyeyyyeyoyyceeau/
健康用語辞典
http://www2.health.ne.jp/word/index.html
今日は何の日~毎日が記念日~11月20日
http://www.nnh.to/11/20.html
昨今は動物愛護運動の輪の広がりからか余り、毛皮のコートなどを着ている人は見なくなったが、一昔前までは、暖かで上品な質感の毛皮のコートはエレガントな女性の憧れでもあった。その当時はこれからの寒い季節毛皮のコートなど欲しくなる季節であることから多くの毛皮の需要促進キャンペーンが見られたものであるが、この頃は、本当にそのようなキャンペーンも見なくなった。
毛皮は、ご存知の通り、動物の中でも体毛が密生している哺乳類の皮膚を毛を残したままで皮革として加工したものである。
多くの哺乳類は体表に体毛が生えていることが特徴であり、密生した体毛に包み込まれた空気の層は断熱性に優れており、これによって哺乳類は体温の発散を防いでいる。
ヒトも、哺乳類である。
余談になるが、ヒトは昔、類人猿に近い生き物だったが他の類人猿とは異なって、体毛が極めて薄いのが特色である。世界に現存する体毛のない哺乳類は生を地下で過ごすソマリアデバネズミを除けば、水生であるか、あるいはかつて水生で、今でも長時間水や泥の中にいることを好む「厚皮動物」だけだそうである。ヒトは他の類人猿と異なって、皮下脂肪が発達しており、皮下脂肪は、「厚皮動物」においては、退化した体毛に代わって断熱材の働きをする。しかし、それ以上に重要な皮下脂肪の役割は、浮力を増すことであり、このことなどから、ヒトは水中生活が長かったものとされている。 その他いろいろなことから私たち人の祖先が、食糧を魚に依存していたことを示しているという。(以下参考の「どうしてヒトは人となったのか」参照)
ここで、言いたかったことは、古来より、万物の霊長であり、そのためヒトは他の動物、さらには他の全ての生物から区別されるという考えがあるが、生物学的には特別な生物ではない・・・と言うことを言いたかったわけである。
今から500~700万年前、チンパンジーに近い生活を送っていた私たちの祖先は、当時まだライバルがあまり進出していなかった河川湖沼に適応放散し、水陸両棲となり、その後地上で生活をするようになり進化した人類は、より最近の氷河期を服と火の発明で乗り切ったと思われる。
哺乳類は、体の温度を一定に保たないと生きてゆけない故に、体毛で覆われているのであり、一般に、体温を奪われやすい小型の哺乳類ほど保温性の高い毛皮に覆われている。
しかし、先に述べたように、人には、皮下脂肪があるとはいえ、陸上の他の哺乳類のような豊かな体毛がない。保温のための衣服と言っても、当然、このような時代に今のような衣服があったわけではない。そのため、人は、保温性の高い他の哺乳類の毛皮を利用し、寒さをしのいできたと言えるだろう。
「熊。おれはてまえを憎くて殺したのでねえんだぞ。おれも商売ならてめえも射(う)たなけぁならねえ。ほかの罪のねえ仕事していんだが畑はなし木はお上のものにきまったし里へ出ても誰(たれ)も相手にしねえ。仕方なしに猟師なんぞしるんだ。てめえも熊に生れたが因果ならおれもこんな商売が因果だ。やい。この次には熊なんぞに生れなよ」
そのときは犬もすっかりしょげかえって眼を細くして座っていた。
宮沢賢治の短編「なめとこ山の熊」青空文庫)の1節である。生計のため仕方なく、なめとこ山の熊を殺す猟師・淵沢小十郎。命がけで生活のためにとった熊の皮と胆をタダ同然で荒物屋に買われてしまう。最後は、逆に熊に殺されてしまう。熊も人を殺さなければ生きてはゆけないのである。悲しく、つらすぎるラストソーン。熊と猟師の心の交流を描く秀作童話であるが、このような光景はそんなに古くはない時代の現実にあった姿なのだ。人と動物は同じ立場で相互を認め合い共生していたのである。
今、世界の国々には、家庭で飼育されている動物の虐待や遺棄の防止や、適正な飼育・取り扱いの普及啓発を推進するための多くの動物愛護団体がある。これらの団体には、大別すると、動物個体の権利(アニマルライツとも)・動物の福祉(アニマルウェルフェア。以下参考に記載の「大マガジンクラブ » アニマルウェルフェアという発想」参照)を目的とする団体と生態系や生物群集・個体群の保全を目的とする自然保護や環境保全の活動は似て非なるところもあり、主張や方針が対立することもあるようだ。
以下参考に記載の「毛皮は動物のものFUR」が主張するように人間の欲望を満たすために動物の毛皮が無残に剥ぎ取られているとしたら、それは、動物にとっても悲惨なことであるし、生物保全の面からも問題はあるであろう。今では、色々な素材が開発されているし保温のために毛皮を利用しなくても済むので、動物の種の保存に影響するようなことや、動物の虐待に該当するようなこと事態は避けるべきであろうが、昨今のペットブームの中での異常な動物との接し方(本人は可愛がっている積り)などは、かえって虐待ではないかと思われる光景もよく目にする。人間も他の動物も同じ生物には違いない、人間のエゴだけで動物を扱わないようには気をつけなければいけないね。
しかし、人間社会が食料、衣料、動力、労働、装飾、工芸材料、医療等あらゆるかたちで、また、極力効率的に動物を活用しようと歩んできたなかで、動物愛護団体の活動は動物に対する必要以上に過酷な扱いを抑止するうえで効果をあげてきたが、余りにも、動物の権利を主張するあまり、人間生活における動物の利用自体を全面的に否定するようなことはよくないのではないだろうか?。
(画像は、アメリカミンク。フリー百科事典Wikipediaより)
参考:
Category:生物
http://ja.wikipedia.org/wiki/Category:%E7%94%9F%E7%89%A9
毛皮 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AF%9B%E7%9A%AE
(社)日本毛皮協会=JFA(ジャファ)HP
http://www.fur.or.jp/
動物愛護団体 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8B%95%E7%89%A9%E6%84%9B%E8%AD%B7%E5%9B%A3%E4%BD%93
毛皮は動物のものFUR
http://www.no-fur.org/index.html
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%81%A9%E5%BF%9C%E6%94%BE%E6%95%A3
どうしてヒトは人となったのか
http://www.nagaitosiya.com/b/aquatic_ape.html
デバネズミ- Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%87%E3%83%90%E3%83%8D%E3%82%BA%E3%83%9F
宮沢賢治「なめとこ山の熊」(青空文庫)
http://www.aozora.gr.jp/cards/000081/files/1939_18755.html
東大マガジンクラブ » アニマルウェルフェアという発想
http://www.utp.or.jp/todai-club/2005/07/16/ycyeythyeyyyeyoyyceeau/
健康用語辞典
http://www2.health.ne.jp/word/index.html
今日は何の日~毎日が記念日~11月20日
http://www.nnh.to/11/20.html