司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

大学の街京都

2004-08-31 19:00:52 | いろいろ
 京都は、大学の街として知られるが、同志社大学の京田辺市への一部移転を皮切りに、立命館大学、龍谷大学がいずれも理工学部を滋賀県に移転させる等、郊外への移転が相次ぎ、いろいろなところにその余波が及んでいた。4畳半1間、家賃1か月1万数千円のいわゆる「学生下宿」もワンルームマンションの隆盛とも相俟って減少の一途を辿り、「神田川」に登場するような「銭湯」も経営難で行政の援助なしではやっていけない状態である。多くの学生は学食で食べるか、コンビニで軽食を買って帰るので、定食屋も儲からず廃業が多いし、かろうじて営業を続けてはいても細々と、といった感がある。片や大学内にフレンチレストラン(例えば、京都大学内のラトゥール)が登場している。「学生はん」と近所のおっちゃん、おばちゃんに可愛がられる、といった風情はまったく失われてしまったような・・・。

 その元凶とも思えるのが、近畿圏の既成都市区域における工場等の制限に関する法律である。首都圏の既成市街地における工業等の制限に関する法律と併せて俗に「工場等制限法」と呼ばれていたが、大都市への人口集中を防ぎ、都市環境を守るという大義名分で高度成長期に制定されたこの法律によって、大学は床面積を制限され、新たに学部を増設し、学生数を増やすことを制限されていた。このいわゆる「総量規制」によって、大学の郊外移転が続き、現在の事態を招いたのだと思える。この「工場等制限法」も平成14年7月12日付で廃止されているので、縛りはなくなったのであろうが、現在となっては街中に大規模でなくてもそれなりの敷地を確保するのは困難である。最近できた京都大学桂キャンパスも京都市内ではあるが郊外型である。

 それでも学生にとっては居心地のいい街ですけどね。
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「Q&A平成16年改正会社法」

2004-08-30 16:37:54 | 会社法(改正商法等)
 法務省民事局民事法制管理官始関正光編著「Q&A平成16年改正会社法」-電子公告制度・株券不発行制度-(商事法務)が、9月末に刊行予定とのこと。

 株券不発行制度に関して概略を掴むには、ビジネス法務6月号p.26~p.37の解説(著者は、UFJ信託銀行証券代行部の面々)も簡明。

 なお、電子公告は法務省提出法案、株券不発行は金融庁提出法案となった経緯について、旬刊商事法務8/5-15合併号の始関正光氏の解説で紹介されている。
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平安の会

2004-08-29 20:58:45 | 消費者問題
 京都クレジット・サラ金被害者「平安の会」の定時総会が本日開催された。私も一会員として参加。大荒れに荒れた総会で、私は総会屋というわけではないのだが、執行部提案に対する反対意見に終始せざるを得なかった。組織が大きくなるにつれて、予算規模も大きくなり、独善的な運営など赦されなくなるのだが・・・。なにはともあれ、被害者の会が経済的に破綻したら洒落にもならないので、そんなことにならないよう、健全な運営をお願いしたい。

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登記事件数の統計

2004-08-29 11:48:59 | 司法書士(改正不動産登記法等)
 法務省大臣官房司法法制部司法法制課によると、平成15年における登記事件(不動産登記,商業・法人登記,立木登記,各種財団登記,債権譲渡登記,成年後見登記等で申請又は嘱託等に基づいて登記簿等に記載した事件)は,20,402,695件であり,これを登記の種類別件数及び構成比で見ると,以下のとおり。

【登記事件の種類別件数】
不動産に関する登記
(土地に関する登記) 13,438,583件(65.9%)
(建物に関する登記)  4,845,256件(23.7%)
商業・法人登記     2,032,610件(10.0%)
債権譲渡登記       37,475件(0.2%)
成年後見登記       28,651件(0.1%)
その他の登記       20,120件(0.1%)
合計         20,402,695件


 大半の司法書士の業務形態が、不動産登記9割、商業登記1割と俗に言われているが、統計上も立証された(?)。

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「登記のための税務【第5版】」

2004-08-29 11:21:28 | 司法書士(改正不動産登記法等)
 登記&税務研究会編「登記のための税務【第5版】」(民事法研究会)

 司法書士業務は、不動産関係にしろ、会社関係にしろ、高額の資産が移転することが多く、税務を顧慮することなく処理することはできない。下手を打つと、損害賠償責任を負うはめとなる。そういった意味でのまさに「登記のための税務」の入門書として最適の書。平成15年及び16年税制改正に対応しての改訂版だが、追録された10余りの設問には特に目新しいものはないようだ。
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会計参与

2004-08-28 16:36:52 | 会社法(改正商法等)
 会社法制の現代化作業において急浮上した「会計参与」制度。税理士界でも賛否が分かれているようであるが、ビジネスとして成り立つのか?という視点から公認会計士磯崎哲也氏が分析している。なるほどなるほどと思われる分析であるが、公認会計士さんの視点は税理士さんのそれと微妙に異なるだけに、税理士さんのご意見も伺いたいところである。
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特定商取引法等の改正

2004-08-27 19:59:41 | 消費者問題
 「特定商取引に関する法律及び割賦販売法の一部を改正する法律」(平成16年法律第44号)の施行日が、平成16年11月11日に決まった。

 販売目的を隠して消費者に接近する「点検商法」や「デート商法」のような悪質商法等に対する規制強化が今回の改正の主眼。毎年のように改正が行われており、まさにイタチごっこ。

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供託と法定金利

2004-08-26 19:17:38 | 会社法(改正商法等)
民事法定利率 年5%(民法第404条)
商事法定利率 年6%(商法第514条)
供託金利息  年0.024%(供託規則第33条)

 金銭請求訴訟で被告が敗訴すると、たとえば「本訴状送達の日の翌日から年5分の金員を支払え」ということで損害金5%を付加して支払わなければならない。定期預金の金利が年0.03%前後という時代に年5%というのは超高金利である。
cf.金利情報

 したがって、供託が可能な否かを極力早く検討し、可能なケースであれば早めに供託手続を行うべきである。たとえば、金融機関等が預金の帰属を巡る相続人間の争いに巻き込まれ、ある相続人から払戻請求訴訟を起こされると、そのような問題に直面することになる。

 事案はまったくことなるが、いわゆる「銀行税訴訟」において、東京都が、最高裁で敗訴して判決が確定してしまうとこれまで徴収した税額の返還はもとより、年率4.1~4.5%という超低金利時代には破格な還付加算金を上乗せして返還しなくてはならないという難題に苦慮し、和解という決着となったのは記憶に新しい。

 金利も馬鹿にならない。
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先義後利

2004-08-26 18:45:15 | 会社法(改正商法等)
 企業の社会的責任(CSR)という言葉をよく耳にする昨今であるが、大丸百貨店の社是に「先義後利」」(義を先にして利を後にする者は栄える)という言葉がある。企業においてはとかく営利を追求してビジネスライクに行動することが要求されがちであるが、社会に対して何を還元できるのかを常に念頭に置いて業務を行なうべきである。肝に命ずべき言葉であろう。

cf.京のあきんど訓
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動産登記制度の創設

2004-08-26 11:46:55 | 会社法(改正商法等)
 企業が在庫商品や機械設備などを担保に行う資金調達を法的に裏付ける動産譲渡登記制度を創設し、また債権譲渡に係る登記制度の見直しに関する要綱案がまとめられた。動産譲渡は、譲渡担保や占有改定等難しい問題が多く、登記による公示制度と対抗要件を取得できるようにとの経済界のニーズに対応するもの。

http://www.excite.co.jp/News/searched_story/20040824193700/20040825M10.044.html

①法人が譲渡人である動産譲渡を登記の対象とするものとし、民法第178条の特例として、登記をもって第三者に対抗することができるものとする。
 動産譲渡登記事項概要ファイルを創設する。

②債権譲渡特例法による債権譲渡登記制度を見直し、債務者が特定していない将来債権の譲渡について、債権譲渡登記によって第三者に対する対抗要件を具備することができるようにする。
 債権譲渡登記がされるごとに登記事項の概要を譲渡人の法人登記簿に記録する制度を廃止し、債権譲渡登記事項概要ファイルを創設する。

 なお、公示方法として、これまで債権譲渡登記がされるごとに登記事項の概要を譲渡人の法人登記簿に記録する制度であったが、債務者の信用不安の誤解を生じさせるとの批判が強かったこともあり、今般両登記共に登記事項概要ファイルを創設することとなった。

 労働債権の保護のあり方についてはなお検討。 cf.労働弁護団の意見書

 中間試案の内容及び意見募集の結果については、法務省パブリックコメント欄に掲載されている。
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支配人制度の濫用

2004-08-24 14:09:06 | 会社法(改正商法等)
 ホテルやレストランで「支配人」という肩書を耳にされることがあるだろう。しかし、これは商法上の「支配人」(商法第37条以下)とは似て非なるものである。商法上の「支配人」は、「営業主に代わってその営業に関する一切の裁判上または裁判外の行為をなす権限を有する」(商法第38条第1項)ものとされ、登記事項となっているからだ。

 消費者金融会社等がこの制度を悪用して訴訟活動を行わせるケースがままある。簡易裁判所管轄(訴額金140万円以下)の事件であれば、従業員が裁判所の許可を得て代理(民訴法第54条第1項但書)することができるが、地裁以上は訴訟代理人は弁護士に限定されており(同項本文)、代表者が出廷せざるを得ない。これを潜脱するために、上記「支配人」を選任、登記することによって、代理人として訴訟活動を行わせるのである。しかし、本来「支配人」としての実体がないのに、登記のみ了しているからといって、訴訟活動を行わせることはもちろん認められるべきではない。この点に関する判例として、東京地判平15.11.7がある。

 最近物議を醸しているUFJ信託銀行が本店に5名の支配人をおいているほか、社歴の古い会社においては、重要な支店に支配人を置く慣行が未だに残っているのは確かである。しかし、大多数の支配人の登記は、上記のように金融会社等が営業所所在地での訴訟対応のために支配人を選任、登記しているのが実情である。交通、通信の便は商法施行当時とは比べようもなく、営業所ごとに支配人をおく利点はほとんどないし、本来的意味合いでの支配人制度を利用している会社はごくわずかである。従って、支配人の制度自体の見直しが必要であろう。廃止してもいいくらいである。

 ちなみに、会社法制の現代化作業においては、現行本店または支店等の所在地ごとに登記されているものを、「支配人の登記については、本店の登記簿において、支配人とその支配人が代理権を有する本店又は支店を登記するものとする。」ように改正されようとしている。
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会社分割と根抵当権

2004-08-23 13:44:54 | 会社法(改正商法等)
 「会社分割と根抵当権」(東京司法書士協同組合)が刊行された。

 会社分割は、平成13年4月1日施行の改正商法において導入された制度であるが、関連整備法で民法第398条ノ10ノ2の規定が新設された。会社分割に伴う根抵当権の処遇に関する条項であるが、当時はそれほど注目されていなかった。しかし、翌14年4月にみずほグループの企業組織再編が行われることによって俄然注目を集めることとなった(といっても、司法書士界及び金融機関等に限ってであろうが。)。承継会社が複数の場合に根抵当権の登記をどう取扱うべきなのか不明で、実務がストップし、大混乱したからである。もちろん一応の収拾をみたが、その後平成14年末には「抹消等の場合には、会社分割による根抵当権一部移転登記を省略しても構わない」旨の民事局長通達も出された。いわば公然と中間省略登記を認めるようなもので、極めて異例のことであった。

 本書は、「会社分割と根抵当権」に関する情報を収集、整理してこられた東京司法書士会の司法書士山田猛司氏のHP掲載の情報等を基にまとめられたもの。大半が書式集ほかの資料であり、きわめて実務色が濃いので、司法書士以外の方にはお役に立たないであろうが。
 なお、本書出版に伴い、山田猛司氏のHPから関連情報は削除されている。HPで公開を続けたら書籍は売れないから、当たり前といえば当たり前。
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総合相談センター「みちしるべ」

2004-08-23 11:53:59 | 司法書士(改正不動産登記法等)
 京都司法書士会は、司法過疎対策事業の一環として、本年10月から京都府中部の丹波町、日吉町及び瑞穂町の3町において、京都司法書士会総合相談センター「みちしるべ」を開設する。司法書士、弁護士ゼロの地域に総合相談センターを設け、地域住民の法へのアクセスポイントの増加を図るもので、政府の進める司法ネット構想のリーディングケースともなりうるもの。10月2日(土)または3日(日)がスタートとなる。これに先立ち、9月23日(木)に「丹波町道の駅マーケス」にて開所式を行う予定。

・丹波町 道の駅マーケス 毎週土曜日13:00~16:00
・日吉町 日吉町生涯学習センター「遊 you ひよし」 毎週日曜日13:00~16:00
・瑞穂町 総合保健福祉センター 毎週土曜日13:00~16:00
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消費者団体訴訟に基金

2004-08-22 20:15:14 | 消費者問題
消費者団体訴訟に基金、今秋発足 企業も寄付の動き (朝日新聞) - goo ニュース

 消費者団体に民事訴訟法上の当事者適格を認めるのが消費者団体訴訟制度。現在消費者契約法の改正作業として内閣府が検討を進めている。会員数100名以上が要件になるとみられる。NPO法人京都消費者契約ネットワークは、その候補として有力な組織。
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華氏911とLLC

2004-08-22 10:45:19 | 会社法(改正商法等)
 昨日封切の「華氏911」(Fahrenheit 9/11)を観た。といっても、例によって大半は睡魔に襲われていたため、内容については語れないのであるが・・・。

 冒頭目に付いたのが「製作会社~~LLC」である。LLCとは、パートナーシップと有限責任制度を組み合わせた会社形態で、日本においても平成17年商法改正により「合同会社」(ネーミングについては至って評判が悪いのであるが)として導入が予定されている。インターネットで検索すると、最近の米国の映画制作会社のほとんどがLLCであるようだ。確かに、映画制作のように当たりはずれが大きい事業では、「対外的には法人格を有し、出資者全員が有限責任で、かつ、内部的に社員(出資者の意)の個性が重視され、共同事業性重視の規律が採用されて、しかもいかなるルールでどのように利益配分をするかを定款で自由に定めることが可能」なLLCは理想的な会社形態であろう。

 日本版LLCである「合同会社」は、大学発ベンチャーのように高度に専門性を有する起業、あるいはいわゆるジョイントベンチャー等での活用が見込まれるが、ネックはパススルー課税の導入如何とされている。ネーミングももっと一般受けするものを考えるべきであるが・・・。
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