司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

登記による公示と個人情報保護法

2005-03-31 12:28:24 | 司法書士(改正不動産登記法等)
 登記所における公示制度と個人情報保護法による保護制度は相反するものである。法務局は、国の行政機関であり、個人情報保護法と同時に施行される「行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律等」で規律されるが、同整備法によれば、下記のとおり適用除外とされている。

 (不動産登記法の一部改正)
第151条ノ11 登記簿(閉鎖登記簿ヲ含ム)及ビ其附属書類並ニ地図、建物所在図及ビ地図ニ準ズル図面ニ記録セラレタル保有個人情報(行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十七号)第二条第三項ニ規定スル保有個人情報ヲ謂フ)ニ付テハ同法第四章ノ規定ハ之ヲ適用セズ
 ※ 「五十七号」ではなく、「五十八号」のはず。誤植ですね。

 (商業登記法の一部改正)
 (行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律の適用除外)
第114条の3 登記簿及びその附属書類に記録されている保有個人情報(行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十八号)第二条第三項に規定する保有個人情報をいう。)については、同法第四章の規定は、適用しない。


行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律(平成15年5月30日法律第58号)
 第4章 開示、訂正及び利用停止
  第1節 開示(第12条―第26条)
  第2節 訂正(第27条―第35条)
  第3節 利用停止(第36条―第41条)
  第4節 不服申立て(第42条―第44条)

 一般に公示されている情報(一部は利害関係人のみ)であり、訂正は不動産登記法等所定の手続を行なう必要があり、利用停止は不可だからということであろう。


 また、内部準則では、「利害関係を有する部分に限る閲覧にあっては、請求に係る部分以外は閲覧しないように厳重に注意すること」とされてはいるが、司法書士としても、依頼者に対して閲覧に供されうることを充分説明することが必要であり、不必要な情報は提供しないように配慮すべきであろう。
コメント (2)

公益通報者保護法の施行日は来年4月1日

2005-03-30 16:03:36 | 消費者問題
 29日、「公益通報者保護法の施行期日を定める政令」が閣議決定され、施行期日は平成18年4月1日とされた。


cf. 公益通報者保護法について in 消費者の窓
コメント

パイロット 買収防衛策として基準日に関する定款変更

2005-03-30 10:20:01 | 会社法(改正商法等)
 パイロットが買収防衛策として基準日に関する定款変更を行なうとのこと。

http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20050330AT2D2900X29032005.html


 基準日とは、会社が定めた一定の日(基準日)に株主名簿に記載されている株主を議決権などの権利行使ができる株主とみなすことを認める制度(商法第224条ノ3第1項)。会社が基準日を定めた場合には、会社は、その日に株主名簿に記載されている者を株主として取り扱わなければならない。したがって、会社がいったん基準日を定め、公告した場合には、正式に基準日変更の手続を採らない限り、会社が、基準日に株主名簿に記載されていない者を株主として取り扱うことはできない。パイロットの場合は、この「正式な基準日変更の手続」を採るものである。

 基準日後の株主の議決権の行使の可否につき、平成13年11月改正(平成14年4月1日施行)前の通説的な解釈として、基準日は会社の便宜のために認められた制度であることから、基準日後であっても新株発行により新たに株主となった者については、これを把握している立場にある会社からその議決権行使を認めることは構わないとの解釈がなされ、実務上もそのような取扱がなされていた。
 しかし、平成13年11月改正において、基準日の制度について、基準日に株主名簿に記載されている株主のみが議決権を行使することができる株主であるとの整理がなされ、基準日後に株主となった者については当然議決権を有しないものとされ、実務界からは議決権を認める取扱が望まれていた。
 そこで、新会社法においては、議決権を行使することができる株主を定めるために基準日を設定した場合であっても、株式会社の判断により、基準日後に株主となった者のうち、議決権を行使することができる株主を定めることを認めるものとされる。ここで、「会社の判断により」とあるが、同じように基準日後に株主となった者であっても会社の判断により議決権が認められる者と認められない者と別異の取扱をするのは、株主平等原則に反し当然に違法となる。したがって、パイロットの場合のように、「正式な基準日変更の手続」を採るべきことになろう。

 なお、平成16年6月改正(平成16年10月1日施行)により、株主名簿の閉鎖制度が廃止され、基準日制度に一本化されており、中小同族企業を含めたすべての株式会社が基準日制度の適用を受けるものであることに留意すべきである。
コメント

消費生活週末(土・日)電話相談

2005-03-29 23:50:59 | 消費者問題
 京都市と京都府が共同で平成17年度から週末の消費生活電話相談をスタート。振り込め詐欺を筆頭に、悪質商法が猛威を振るっているだけに、相談ニーズが高いのであろう。

1 電話番号  (075)257-9002(クー・リング・オ・フ)
2 相談日時  土日(年末年始除く。) 10:00~16:00
3 相談方法  電話相談のみ
4 相談開始日 平成17年4月2日(土)から

http://www.city.kyoto.jp/bunshi/soudan/shumatu/shumatu.htm

 担当相談員は、NPO法人京都消費生活有資格者の会に委託するとのこと。ご苦労様です。
コメント

「国際私法の現代化に関する要綱中間試案」に関する意見募集

2005-03-29 23:38:30 | 消費者問題
 法務省のHPで「国際私法の現代化に関する要綱中間試案」に関する意見募集がなされている。

 中間試案では、海外の企業との契約による紛争で被害に遭った場合に、消費者保護の観点から消費者の居住国の法律で解決する規定などが盛り込まれている。
 国際間の契約での紛争解決のルールとしては「法例」があるが、既に時代遅れの感があり、インターネットなどを通じた国際間の取引の増加を背景に、明確化するのが狙いである。
 また、国際間の契約で紛争が起きた場合、①事前に当事者がどの国の法律で解決するか合意、②合意がなければ、売り主側が住む国の法律を適用、等を原則化しつつ、消費者と事業者が結ぶ消費者契約では、紛争の際に消費者が経済的に弱い立場に置かれることを考慮して、消費者保護のために消費者が住む国の法律で解決するとの規定を盛り込んでいる。
コメント

不動産登記法等の一部を改正する法律案

2005-03-29 18:52:08 | 司法書士(改正不動産登記法等)
 本日衆議院本会議で可決されている。意外に早い進行。

http://www.shugiin.go.jp/itdb_gian.nsf/html/gian/keika/1D9ACF2.htm

 筆界特定制度が目玉だが、司法書士にとっては、上訴提起の代理権とADR代理権の付与が重要。
コメント

新会社法~公開会社とは~

2005-03-29 17:28:28 | 会社法(改正商法等)
 会社法案第2条第5号に「公開会社」の定義規定がある。

5 公開会社 その発行する全部又は一部の株式の内容として譲渡による当該株式の取得について株式会社の承認を要する旨の定款の定めを設けていない株式会社をいう。

 私も当初読み誤ってしまったが、種類株式として譲渡制限株式を発行する会社は「公開会社」である。

「その発行する全部又は一部の株式の内容として」「譲渡による当該株式の取得について株式会社の承認を要する旨の定款の定めを」「設けていない株式会社」とくくればわかりやすいだろうか。要は、一部でも譲渡制限がなければ公開会社(逆に言えば、発行するすべての株式が譲渡制限株式である場合が「非公開会社」。)というわけである。
コメント

全国クレサラ対協第14回実務研究会 in 熱海

2005-03-29 14:00:53 | 消費者問題
 全国クレサラ対協第14回実務研究会が次のとおり開催される。

「分かりやすい破産法改正・個人再生手続と不当利得訴訟必勝法」
日時 平成17年5月7日(土)11:00~17:00
場所 熱海後楽園ホテル(静岡県熱海市和田浜南町10-1)
   TEL(0557)82-0121
担当事務局 小澤吉徳司法書士事務所 FAX(054)282-4885

プログラム
第1部「分かりやすい2005年施行☆改正破産法・個人再生手続き」
 【報告者】弁護士猪股正 (埼玉)、司法書士 古橋清二 (静岡)、弁護士飯田昭 (京都)、弁護士野村剛司 (大阪)、司法書士 田中祐介 (大阪)、弁護士黒木和彰 (福岡)、弁護士河野聡(大分)、被害者の会会員、司法書士 岡田直人 (兵庫)

第2部「1人でできた!不当利得訴訟必勝法」
 【報告者】弁護士佐藤靖祥 (仙台)、弁護士平井宏和 (愛知)、司法書士堀泰夫 (大阪)、弁護士伊東達也 (千葉)、弁護士江野栄 (秋田)、弁護士茆原洋子 (神奈川)、弁護士竹之内洋人(北海道)、司法書士 杉山陽一 (静岡)、弁護士板根富規 (広島)、弁護士辰巳裕規 (兵庫)、司法書士井口鈴子 (埼玉)、弁護士辻泰弘 (佐賀)、司法書士 山本勝 (金沢)、司法書士 宮内豊文 (静岡)、弁護士及川智志 (千葉)、司法書士榛葉隆雄 (静岡)、弁護士川上博基 (岩手)、被害者の会会員


コメント

個人情報保護法~国家試験合格者氏名の公表制限の動き

2005-03-28 16:50:14 | 消費者問題
 個人情報保護法が4月1日から全面施行されるのを前に、各省庁が国家試験合格者名の公表を制限したり、控えたりする動きが出ているようだ。
 厚生労働省は、医師国家試験合格者名の公表制限を発表。受験地別の片仮名の名前と受験番号だけに変更するという。
 国家公務員試験は、合格者の氏名掲示をやめ、受験番号だけにするとのこと。
 これに対し、官報への掲載が法律で規定されていることなどから、公認会計士(所管・金融庁)、司法試験、司法書士、土地家屋調査士(同・法務省)、一級建築士(同・国土交通省)などの各試験は従来どおり氏名が公表される。
 高額納税者の公示(長者番付)は所得税法に規定され、基本的に従来の方法が踏襲される見込み。

 国家資格だけに基本的には公表が望ましいと思われる。また、合格発表は「名前」が出てこそ喜びが一層増すと思われるのだが。

 3月27日(日)大阪にて、個人情報保護法に関する研修会が行なわれ参加したのだが、実務的にも、また、司法書士会としても、悩ましい問題が多いのを改めて実感。さて、さて。
コメント (1)

「法務担当者のための証券取引法(第2版)」

2005-03-27 23:09:15 | 会社法(改正商法等)
弁護士松井秀樹著「法務担当者のための証券取引法(第2版)」(商事法務)

 ディスクロージャー、インサイダー取引規制等についての簡明な解説書。平成16年改正を織込んだ改訂版。

 司法書士にとって証券取引法は無縁のようにみえるかもしれないが、頻繁に新株発行、新株予約権の発行等を行なうベンチャー企業等に関与する者にとっては、知らないでは済まされない領域である。
コメント

入学金返還訴訟~消費者契約法10条違反で請求認容

2005-03-27 18:06:53 | 消費者問題
 京都新聞によれば、京都地裁が25日、入学金等返還請求訴訟で、「消費者の利益を一方的に害する契約を無効と定めた消費者契約法第10条違反」を理由に全額の返還を認めたとのこと。入学辞退者に対して入学金の返還を認めない判決が定着した感があっただけに画期的な判決といえる。

http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2005032600027&genre=D1&area=K10
コメント (1)

ライブドア vs ニッポン放送 東京高裁決定全文

2005-03-24 00:14:21 | 会社法(改正商法等)
東京高裁決定全文

 やはり抗告棄却です。
コメント

訂正

2005-03-23 23:51:29 | 会社法(改正商法等)
 昨日の「新会社法~確認株式会社はどうなる?~」につき、最下部の2行を訂正。

 「抹消」ではなく、「解散の事由廃止」による「変更」登記です。ご指摘ありがとうございました。
コメント

新会社法~確認株式会社はどうなる?~

2005-03-22 22:00:58 | 会社法(改正商法等)
 新事業創出促進法の最低資本金の特例により認められていた確認株式会社(いわゆる1円会社等)等の処遇が注目されていたが、関係整備法第448条により次のとおり定められた。なお、同特例規定は全て削除される。

 (中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律の一部改正に伴う経過措置)
第448条 この法律の施行の際現に存する前条の規定による改正前の中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律第3条の19第1項各号又は同条第2項各号に掲げる事由により解散する旨の定款の定め(第456条の規定による改正前の中小企業経営革新支援法の一部を改正する法律(平成17法律第○○○号)附則第10条の規定により定款の変更があったものとみなされたものを含む。)については、会社法第466条の規定にかかわらず、取締役会設置会社にあっては取締役会の決議、取締役会設置会社でない会社にあっては取締役の過半数の決定により、その定めを廃止する定款の変更をすることができる。

 したがって、既存の確認会社は、上記定款変更決議を行うことが存続の要件となる。そして、「解散の事由廃止」の登記を申請しなければならない。登録免許税は金3万円。
コメント (2)

新会社法~既存の有限会社はどうなる?株式会社への移行手続は?~

2005-03-22 21:10:49 | 会社法(改正商法等)
 既存の有限会社の処遇が注目されていたが、「会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」第2条第1項により、「会社法(平成17年法律第○○○号)の規定による株式会社として存続するものとする。」とされた。「特例有限会社」と称される(同第3条第2項)。すなわち、会社法下における「株式会社」であるのだが、「有限会社」たる商号の使用と従来の有限会社法下における取扱を経過措置により認められる「特例」会社となる。

 そして、「特例有限会社」が「通常の株式会社」へ移行するときは、株主総会決議によって定款を変更してその商号中に株式会社という文字を用いる商号の変更をすることができ(同第46条、第45条第1項)、
①特例有限会社については解散の登記
②商号変更後の株式会社については設立の登記
を行うことになる(同第46条)。定款変更の効力は登記をすることによって生ずる(同第45条第2項)。
コメント (1)