司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

「家を買ったら遺言を」

2021-12-31 10:53:58 | 民法改正
朝日新聞記事
https://digital.asahi.com/articles/ASPDZ5SY6PDNULFA012.html

「新サービスの名前は「ハウジングウィル」で、6月から始めた。ローン契約者が自筆証書遺言を書き、同行が無料で預かる。契約者が亡くなると、同行が家庭裁判所に、遺言の利用手続き「検認」の実施を申し立てる。検認が済み、相続手続きなどに使えるようになった遺言は、あらかじめ指定された親族らに渡す。」(上掲記事)

 某信託銀行が始めたサービスであるが,法務局における自筆証書遺言書の保管制度に対抗するものか。顧客の囲い込み戦略であろう。


「住宅ローン契約者が亡くなると、残債は団体信用生命保険で支払われる一方、物件の相続が課題になる。たとえば、30代の夫婦2人で暮らしていて契約者(夫)が亡くなると、妻は義父母と遺産分割協議をする必要が出てくる。遺言で意思表示しておけば、自宅は妻に相続させることもできる。」(上掲記事)

 この視点は,重要である。子が生まれても,相続開始の時点で未成年であれば,遺産分割協議のために特別代理人の選任が必要となるが,遺言があれば,スムーズに手続をすることができるからである。
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家事調停をオンラインで行う「ウェブ会議システム」

2021-12-29 01:14:16 | 家事事件(成年後見等)
産経新聞記事
https://news.yahoo.co.jp/articles/3d68212ff6a84ef532a6d5c0cf48de0010fdb99b

 家事調停事件の管轄は,原則として,相手方の住所地を管轄する家庭裁判所(家事事件手続法第245条第1項)であるので,申立人の負担軽減は大きいと思われる。

 「ウェブ会議システム」は,本来,端末さえあれば場所を選ばないわけであるが,当初は,弁護士が代理人に付いている事件のみ利用可能とし,追って,それ以外の事件については最寄りの家庭裁判所から利用可能,とするのが穏当であろうか。

家事事件手続法
 (管轄等)
第245条 家事調停事件は、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所又は当事者が合意で定める家庭裁判所の管轄に属する。
2 民事訴訟法第十一条第二項及び第三項の規定は、前項の合意について準用する。
3 第百九十一条第二項及び第百九十二条の規定は、遺産の分割の調停事件(別表第二の十二の項の事項についての調停事件をいう。)及び寄与分を定める処分の調停事件(同表の十四の項の事項についての調停事件をいう。)について準用する。この場合において、第百九十一条第二項中「前項」とあるのは、「第二百四十五条第一項」と読み替えるものとする。
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特定納税管理人制度の創設

2021-12-28 16:34:58 | 税務関係
特定納税管理人制度の概要
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/sonota/0021012-116.pdf

〇 「特定納税管理人」制度の創設の背景等
「近年、非居住者又は外国法人による国内不動産の売買等や外国法人の国内サポート会社を通じた取引、インターネットを介したデジタルコンテンツ(オンラインゲーム、音楽等)に係る取引など、国境を越えた経済活動が活発化しており、これにより、国内に拠点を有しない非居住者又は外国法人において課税関係が発生する場面が増えてきています。
 これらの納税者に対する税務調査については、国内に所在する納税管理人を通じた接触等により対応をしてきたところです。しかし、調査通知や照会文書の発送等、税務当局側から接触の必要性があるにもかかわらず、これらの納税者が納税管理人の選任義務を履行しない場合には、納税管理人の選任について税務当局側に法令上取り得る措置がないため、このような納税
者に対する税務調査が困難な場合があるという課題がありました。
 今回の改正においては、こうした課題に対応し、適正・公平な課税を実現するため、一定の要件の下、所轄税務署長等が、次の者を特定納税管理人として定めることができることとされました。」

 なるほど。

 令和3年改正不動産登記法では,所有権の登記名義人が国内に住所を有しないときは,その国内における連絡先に関する事項として法務省令で定めるものが登記事項とされた(改正後不動産登記法第73条の2第1項第2号)。令和6年4月1日施行である。
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面会交流支援に関する参考指針

2021-12-28 13:27:44 | 家事事件(成年後見等)
面会交流支援団体について
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00284.html

面会交流支援に関する参考指針について by 法務省
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00285.html

「今般,法務省では,面会交流支援団体等の活動において一つの参考としていただくとともに,面会交流の支援を必要としている方々や地方自治体に,面会交流支援団体等のイメージを理解していただくため,面会交流支援団体等の実情や意見などを踏まえながら,本参考指針を作成し,公表することとしました。」
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法務大臣閣議後記者会見の概要「所有者不明土地問題に関して」

2021-12-28 13:23:13 | 空き家問題&所有者不明土地問題
法務大臣閣議後記者会見の概要(令和3年12月24日(金))
https://www.moj.go.jp/hisho/kouhou/hisho08_00263.html

2件目は,所有者不明土地問題に関してです。
 本日,「令和4年度税制改正の大綱」が閣議決定され,一定の相続登記の登録免許税を免除する措置を拡充することなどが盛り込まれました。
 これは,所有者不明土地の発生を予防するため,国民の皆様の相続登記を税制面から後押しするものであり,今回の措置が十分に活用されるよう,周知・広報に努めてまいります。
 また,全国の法務局では,公共事業を支えるため,平成30年から,長期間登記がされていない土地の相続人を探索する事業を行っていますが,来年4月から,その対象を拡大することとしました。
 具体的には,民間が行う公共性の高い事業を対象に追加するなどの見直しを予定しています。
 所有者不明土地の解消に向けた取組を更に加速してまいります。
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精子提供トラブルで訴訟~精子提供者が経歴詐称で損害賠償請求

2021-12-28 09:37:26 | 民法改正
東京新聞記事
https://www.tokyo-np.co.jp/article/151342?s=09

「会員制交流サイト(SNS)で知り合った男性から精子提供を受け、子を出産した東京都内の30代の女性が、男性が国籍や学歴を偽ったことで精神的苦痛を受けたとして、約3億3000万円の損害賠償を求め27日、東京地裁に提訴した・・・・・女性は、男性が京大卒の日本人で、妻や交際相手はいないと信じた上で、10回程度、性交による精子提供を受け同年6月に妊娠。その後、男性が本当は中国籍で別の国立大を卒業し、既婚者だったことが判明した。身ごもった子は出産したが、都内の児童福祉施設に預けているという。」(上掲記事)

 精子提供の方法も・・・どうなのでしょうね。
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令和4年1月11日から「戸籍の附票の写し」の表示内容が変わります

2021-12-27 20:04:52 | いろいろ
令和4年1月11日(火曜日)から「戸籍の附票の写し」の表示内容が変わります by 福岡市
https://www.city.fukuoka.lg.jp/shimin/kusei/life/huhyo_kisaizikouhenkou.html

○ 基本事項(必ず表示される項目)に「生年月日」「性別」が追加されます
 基本事項(氏名、住所、住所を定めた日)に、生年月日、性別が追加されます。ただし、令和4年1月11日より前に戸籍から除かれた方には、記載されません。
 ※基本事項は必ず表示される項目ですので、省略はできません。
 ※個人認証に必要な基本4情報(氏名、生年月日、性別、住所)を附票に記載することで、国外転出後も利用可能な「戸籍の附票」を個人認証の基盤として活用し、国外転出者によるマイナンバーカード・公的個人認証の利用を実現することが目的です。

○ 本籍・筆頭者氏名が原則表示されなくなります
 基本事項であった「本籍・筆頭者氏名」が原則表示されなくなります。表示をご希望の場合は、申請書にその旨をご記入ください。
 ※本人および同じ戸籍に記載されている方、直系尊属卑属(父母、祖父母、子、孫)以外の方が請求される場合で、本籍・筆頭者氏名の表示が必要なときは、その理由を具体的に申請書に記入してください。


 相続登記の申請書の添付書面としては,「本籍・筆頭者氏名」の表示がある方がベターであろう。
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隣接地が所有者所在不明土地である場合の筆界確認書を不要に

2021-12-27 09:29:44 | 不動産登記法その他
日経記事(有料会員限定)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA10AV80Q1A810C2000000/

 よい方向性であると思われる。

 ところで,筆界特定制度は,着手するにあたって,コストの見通しが立たない不完全な仕組みである(法務局も,土地家屋調査士さんも,それを疑問にも思っていないのが不可解である。)。要するコストについては国費で賄うような仕組みを整えないと,活用は進まないであろう。
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意識混濁状態にある国会議員の辞職

2021-12-26 16:09:15 | いろいろ
産経新聞記事
https://www.sankei.com/article/20211225-4IZJKKRARJLBPPXINFRDV5QYXY/

「21日に閉会した臨時国会で、一日も出席がかなわなかった参院議員がいた。体調不良で意識混濁状態にある日本維新の会の片山虎之助前共同代表(86)だ。歳費が支払われ続ける現状などを心苦しく思う家族や党は辞職の道を探るが、「本人の意思確認」が必要だとする参院は応じない構えで、国会議員の去り際の難しさが浮き彫りとなった。」(上掲記事)

 当然の話である。

「「きちんと仕事をしたことに対して歳費をもらうのが維新だ。『身を切る改革』を訴える政党のトップだったおやじも不本意だし、家族としてもつらい」。大介氏は片山氏の事務所と相談し、歳費を社会奉仕などに活用できる道を探るとしている。」(上掲記事)

 いや,そういう寄附をするにも,「本人の意思」が必要なのであるが。

 成年後見の申立てをして,成年後見人によって辞職の手続等をとってもらうしかないであろう。
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スタートアップとの事業連携及びスタートアップへの出資に関する指針(案)

2021-12-24 10:13:40 | 会社法(改正商法等)
「スタートアップとの事業連携及びスタートアップへの出資に関する指針(案)」に対する意見募集について by 経済産業省
https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=595221067&Mode=0

「公正取引委員会及び経済産業省は,スタートアップと連携事業者との間であるべき契約の姿・考え方を示すことを目的とし,令和3年3月 29 日,「スタートアップとの事業連携に関する指針」を策定しました。
 その後,出資に係る取引慣行の重要性に鑑み,成長戦略実行計画(令和3年6月 18日閣議決定)において,スタートアップと出資者との契約の適正化に向けて,新たなガイドラインを策定することとされました。これを受けて,公正取引委員会及び経済産業省は,「スタートアップとの事業連携に関する指針」を改正し,「スタートアップとの事業連携及びスタートアップへの出資に関する指針」(以下「本指針」という。)を策定することとしました。」
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私立学校ガバナンス改革に関する対応方針

2021-12-21 17:56:41 | 法人制度
私立学校ガバナンス改革に関する対応方針 by 文部科学省
https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shiritsu/211221.html

 パワポ3枚の資料のみであるが・・・。
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定款の目的をSDGsの17の目標を反映する形に刷新

2021-12-18 10:28:20 | 会社法(改正商法等)
株式会社ユーグレナ
https://www.euglena.jp/news/20210805-2/

 バーチャルオンリーの株主総会を開催したというニュースばかりが先行していたが,

「当社は、今般、ユーグレナ・フィロソフィー「Sustainability First(サステナビリティ・ファースト)」の実効性を法的側面からも高めるために、当社の事業領域を定める定款上の事業目的において「持続可能な社会の実現を目指す」ことを明記し、SDGsの17の目標を反映する形に刷新」

していたようである。具体的には,「あらゆる場所で、あらゆる形態の貧困に終止符を打つことに資する事業」「すべてのジェンダー平等のためのエンパワーメントを図ることに資する事業」など国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」の17項目と完全に一致する内容に変更したということである。

 具体的な事業が皆目わからないが,新しい「定款のかたち」である。

cf. NIKKEI STYLE
https://style.nikkei.com/article/DGXZQOLM078DZ0X01C21A2000000?channel=ASH05017&fbclid=IwAR3Cq1n0kzW9Ai62FO4lWSOTavHzLybth_281ZiWVLOQmAPHqCq1sovog1o
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法務省「定時株主総会の開催について」

2021-12-17 19:17:38 | 会社法(改正商法等)
定時株主総会の開催について by 法務省
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00021.html

6 令和3年12月13日,会社法施行規則及び会社計算規則の一部を改正する省令(法務省令第45号)が公布され,同日より施行されました。本省令により,本省令の施行の日から令和5年2月28日までに招集の手続が開始される定時株主総会に限り,単体の貸借対照表や損益計算書等がいわゆるウェブ開示によるみなし提供制度の対象に含められることとなります。

cf. 本省令の内容
https://www.moj.go.jp/content/001360990.pdf

会社法施行規則及び会社計算規則の一部を改正する省令(令和3年法務省令第45号)について
https://www.moj.go.jp/content/001360991.pdf

令和3年12月15日付け「会社法施行規則及び会社計算規則の一部を改正する省令」が公布
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消費者庁「消費者契約に関する検討会報告書に関する御意見募集の結果について」ほか

2021-12-17 19:13:09 | 消費者問題
消費者契約に関する検討会報告書に関する御意見募集の結果について by 消費者庁
https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCM1040&id=235030042&Mode=1

消費者裁判手続特例法等に関する検討会報告書に関する御意見募集の結果について by 消費者庁
https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCM1040&id=235030043&Mode=1

 パブコメの結果が公表されている。
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民事信託支援業務を行った司法書士に,情報提供義務及びリスク説明義務違反があるとした東京地裁判決

2021-12-17 13:56:57 | 会社法(改正商法等)
「家庭の法と裁判」2021年12月号(日本加除出版)に,東京地裁令和3年9月17日判決が掲載されている。
https://www.kajo.co.jp/c/magazine/006/31009000035

 同判決は,「信託契約に関する契約書の案文の作成,公正証書の作成手続の補助,不動産信託登記の申請手続の代理,受託者名義の預金口座開設の支援等の委任を受けた司法書士に,情報提供義務及びリスク説明義務違反があるとされた事例」である。

 判決において,日司連の活動ほか,司法書士の民事信託分野における取組状況が「事実認定」されているのが,ある意味驚きである。

 司法書士をはじめとした実務家に与える影響は大きいと思われるので,御一読を。

 なお,遠藤英嗣弁護士(元公証人)が原告側の訴訟代理人を務められているようである。
http://www.kazokushin.jp/
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