司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

法務大臣閣議後記者会見の概要「「民法等の一部を改正する法律の一部の施行期日を定める政令」の閣議決定について」

2023-07-31 20:03:06 | 空き家問題&所有者不明土地問題
法務大臣閣議後記者会見の概要(令和5年7月28日(金))
https://www.moj.go.jp/hisho/kouhou/hisho08_00433.html

「今朝の閣議において、法務省案件として、「民法等の一部を改正する法律の一部の施行期日を定める政令」が閣議決定されました。
 この政令は、所有者不明土地問題の解決に向けて令和3年に成立した民法等の一部改正法のうち、住所変更登記の申請を義務化する部分の施行日を、令和8年4月1日とすることなどを定めるものです。
 また、本日、民法等の一部改正法のうち、令和6年4月1日に施行される相続登記の申請の義務化に関し、義務に違反した場合の過料通知の取扱いを定める「不動産登記規則等の一部を改正する省令」が公布されました。
 法務省としては、これらの新制度の円滑な施行に向けて準備を進めているところですが、新制度が国民にしっかりと定着するよう、必要な環境整備や情報発信に万全を期してまいります。」

cf. 所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制の見直し(民法・不動産登記法等一部改正法・相続土地国庫帰属法)
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00343.html
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合同会社の設立件数が鈍化

2023-07-30 19:51:19 | 会社法(改正商法等)
東京商工リサーチ
https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1197834_1527.html

 2022年における合同会社の設立件数は,3万7062社で,前年比0.3%増。全体の4分の1である。

 とはいえ,会社の新設自体が鈍化しているので,合同会社に限ったものではないのであるが。

 合同会社は,主に個人事業主の法人成りに利用されている旨の解説である。登記の面では,なんとなく設立して終わり(その後,登記事項に変更が生ずるケースが少ない。)の感があるが,理解を深めておく必要があるであろう。

「合同会社の信用度を高めるため、決算公告の義務化など制度の見直しを根本的に考える時期に差し掛かっている。」(上掲記事)

 否定はしないが,株式会社の決算公告の懈怠について過料が科されていない現状から改める必要があるのではないか。
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「令和3年改正民法・不動産登記法(相続に関する部分)について」

2023-07-30 19:41:11 | 空き家問題&所有者不明土地問題
 7月25日(火),京都司法書士会会員研修会で,「令和3年改正民法・不動産登記法(相続に関する部分)について」をお話。

 本年4月1日に施行されている部分,来年4月1日に施行予定である部分を中心に,相続に関する論点を整理したもの。

 ちなみに,京都司法書士会においては,令和5年8月1日(火)~10日(木),相続一斉相談会を開催予定です。お気軽に御相談ください。

cf. 相続一斉相談会
https://siho-syosi.jp/wp/wp-content/uploads/2023/07/20230724.pdf
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「キラキラネーム」を制限する戸籍法改正に8割が賛成

2023-07-30 09:45:53 | 民法改正
弁護士ドットコム
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000330.000044347.html

 そもそも,戸籍法の改正について「33.2%」が知らなかった,は認知度低過ぎの感であるが。

 今後は,「法務省が定める基準が現時点では明確でなく,判断が難しい」(上掲記事)という点について,通達等で可能な限り明確にしていくべきであろう。
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不動産登記令等の一部を改正する政令案に関する意見募集

2023-07-30 01:37:47 | 不動産登記法その他
不動産登記令等の一部を改正する政令案に関する意見募集
https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=300080297&Mode=0

 改正により新設される不動産登記法第73条の2に関する不動産登記令の改正である。

 同条の「法務省令で定める」部分は,未だ明らかにされていないが,実務上極めて重要であり,動向を注視すべきである。

○ 概要
・不動産登記令の改正
ア 一部改正法により、所有権の登記名義人が法人であるときは、会社法人等番号(商業登記法(昭和38年法律第125号)第7条(他の法令において準用する場合を含む。)に規定する会社法人等番号をいう。)その他の特定の法人を識別するために必要な事項として法務省令で定めるもの(以下「法人識別事項」という。)を所有権の登記の登記事項とすることとされたことに伴い、法人識別事項を不動産登記の申請情報として定める改正を行う。
イ 一部改正法により、所有権の登記名義人が国内に住所を有しないときは、その国内における連絡先となる者の氏名又は名称及び住所その他の国内における連絡先に関する事項として法務省令で定めるもの(以下「国内連絡先事項」という。)を所有権の登記の登記事項とすることとされたことに伴い、国内連絡先事項を不動産登記の申請情報として定める改正を行う。
※ 法人識別事項又は国内連絡先事項に関する添付情報は、法務省令で定める予定である。

改正後の不動産登記法
 (所有権の登記の登記事項)
第73条の2 所有権の登記の登記事項は、第59条各号に掲げるもののほか、次のとおりとする。
 一 所有権の登記名義人が法人であるときは、会社法人等番号(商業登記法(昭和38年法律第125号)第七条(他の法令において準用する場合を含む。)に規定する会社法人等番号をいう。)その他の特定の法人を識別するために必要な事項として法務省令で定めるもの
 二 所有権の登記名義人が国内に住所を有しないときは、その国内における連絡先となる者の氏名又は名称及び住所その他の国内における連絡先に関する事項として法務省令で定めるもの
2 前項各号に掲げる登記事項についての登記に関し必要な事項は、法務省令で定める。
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不動産登記規則等の一部を改正する省令が公布

2023-07-30 01:27:20 | 不動産登記法その他
官報
https://kanpou.npb.go.jp/20230728/20230728h01029/20230728h010290001f.html

「不動産登記規則等の一部を改正する省令」(法務省令第33号)が,令和5年7月28日に公布された。施行期日は,令和6年4月1日である。

 改正後の不動産登記法第164条の規定による相続登記の申請義務に違反した場合の過料に係る通知に関する規定を設けるものである。

 登記官は,「不動産登記法第164条の規定により過料に処せられるべき者があることを職務上知ったとき(登記官が同法第76条の2第1項若しくは第2項又は第76条の3第4項の規定による申請をすべき義務に違反した者に対し相当の期間を定めてその申請をすべき旨を催告したにもかかわらず、その期間内にその申請がされないときに限る。)は,遅滞なく、管轄地方裁判所にその事件を通知しなければならない(不動産登記規則第187条第1項第1号)。

cf. 不動産登記規則等の一部を改正する省令案に関する意見募集結果について
https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCM1040&id=300080293&Mode=1
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不動産登記における住所等の変更登記の義務化の施行期日

2023-07-30 00:19:04 | 不動産登記法その他
日経記事
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA283CW0Y3A720C2000000/

 不動産登記における住所等の変更登記の義務化について,大方の予想どおりであるが,施行期日は,令和8年4月1日とすることとされた。

「民法等の一部を改正する法律の一部の施行期日を定める政令」が閣議決定されたものであり,官報による同政令の公布(来週水曜日あたりか)で確定する。
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資本金の額の減少(減資)の中止

2023-07-29 12:42:19 | 会社法(改正商法等)
1.資本金の額の減少(減資)の中止に関するお知らせ
https://ssl4.eir-parts.net/doc/4418/tdnet/2316435/00.pdf

「当社は、2023年4月28日開催の臨時株主総会において、資本金の額の減少について決議し、会社法第449条に定める債権者保護手続を進めておりましたところ、同条で定められている手続のうち同条第2項の知れている債権者への個別催告を行っておらず、また、電子公告調査機関への調査依頼を行わなかった・・・」(上掲ニュースリリース)

 債権者保護手続において,いわゆるダブル公告を行ったが,電子公告調査機関の調査を受けないまま登記申請をして補正になり,手続の無効が発覚したというものである。

 効力発生日を迎えたからこそ登記申請をしているのであり,時既に遅し,如何ともフォローのしようがないお話。

 しかし,こんなことあるんですね。びっくり。


2.(開示事項の中止)資本金の額の減少の中止に関するお知らせ
https://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS03788/12de7932/7f99/4d74/9aff/9fd0703ad219/140120220428531944.pdf

 こちらは,昨年4月の話であるが,債権者から異議が出され,中止することとしたもの。減少する資本金の額を全額「資本準備金」に組み入れることとしていれば,債権者も異議を出さなかったであろうと思われるのであるが。


 ところで,先日の減資の件は,無事登記が完了しているようである。えっ?!

cf. 令和5年4月6日付け「決算の確定日と官報公告掲載日の先後にご注意(補遺)&公告の内容は「登記アドレス」を」
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家族法制の見直し,8月にも要綱案のたたき台の提示へ

2023-07-23 13:59:22 | 民法改正
東京新聞記事
https://www.tokyo-np.co.jp/article/264807

「今後は要綱案のたたき台を基に議論を続け、ドメスティックバイオレンス(DV)防止策、離婚で既に親権を失った親にも共同親権を認めるかなどを検討した上で要綱案を了承し、秋以降、法相に答申する。法務省は与党の了承を得て、来年の通常国会での民法改正案提出をにらむ。」(上掲記事)

 注目の共同親権についての詳細は,どうなるであろうか。

cf. 法制審議会家族法制部会第29回会議(令和5年7月18日開催)
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00338.html
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遺言と遺留分について

2023-07-23 13:52:37 | 民法改正
 一昨日は,千葉司法書士会松戸支部会員研修会で,「遺言と遺留分について」をお話。

 実は,以前,令和2年の夏頃実施ということでお話をいただいていたものの,コロナ禍にあって中止となり,3年ぶりに開催に至ったというもの。

 お世話になった先生方,ありがとうございました。
 
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相続登記の義務化,法務局職員が周知活動

2023-07-23 13:48:56 | 空き家問題&所有者不明土地問題
NHKニュース
https://www3.nhk.or.jp/hiroshima-news/20230722/4000023056.html

 JR広島駅で,広島法務局職員が「相続登記の義務化」の周知活動。

 篠原局長が先頭に立って,PR。
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労働者協同組合の動画ページをオープン

2023-07-20 19:54:29 | 法人制度
「知りたい!労働者協同組合法」動画一覧
https://www.roukyouhou.mhlw.go.jp/movies

「特設サイト「知りたい!労働者協同組合法」に、労働者協同組合に関する動画をまとめたページを新設しました。」
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遺贈の登記の単独申請と所有権登記名義人表示変更登記の要否(補遺)

2023-07-19 22:52:25 | 不動産登記法その他
 民事月報令和5年5月号に,「民法等の一部を改正する法律の施行に伴う不動産登記事務の取扱いについて」が掲載されている。

 いわゆる令和3年改正民法・不動産登記法の令和5年4月1日施行部分の通達の解説である。

cf. 「民法等の一部を改正する法律の施行に伴う不動産登記事務の取扱いについて(通達)」 〔令和5年3月28日付法務省民二第538号〕通達
https://www.moj.go.jp/content/001394389.pdf

 曰く,

「相続人に対する遺贈による所有権の移転の登記の申請は、前記の共同申請(不登法第60条)によるほか、本改正により、登記権利者である受遺者(相続人)が単独で申請することができることになる (注4)(注5)。
 なお、 遺言執行者は、登記権利者 (不登法第2条第12号) は該当しないこと、 また、遺贈による所有権の移転の登記の申請は、特定財産承継遺言(相続)による場合と異なり、共同申請(不登法第60条)によることも想定されていることなどに鑑みると、 相続人に対する遺贈による所有権の移転の登記の申請を遺言執行者が(その資格において)単独で申請することはできないものと考えられる(注6)。

※ 民法第1014条第2項の類推適用により,遺言執行者による対抗要件具備行為を許容してもよいと思われるのであるが・・・。もちろん,受遺者が遺贈を放棄する場合もあり得ることから,遺言執行者が受遺者の意思を確認せずに,遺贈による登記を申請することはあり得ないが。
 受遺者(相続人)が単独で申請する場合には,登記識別情報又は登記済証,及び印鑑証明書の添付を要しないが,遺言執行者が登記義務者となって共同申請をする場合には,従来どおり「添付しなければならない」であろう。整合性に囚われ過ぎて,合理的でない感がある。

「(注4)遺贈により共同相続人中の一部の者の共有とされた不動産についての所有権の移転の登記は、当該共有者全員の申請によることができるのはもちろんのこと、登記原因証明情報として提供される遺言書により共有関係(共有者の氏名及び共有持分)が明らかであり、 その真正性が十分に担保されることに鑑みると、 当該共有者のうちの一人が単独で(当該共有者全員のため、又は自己の持分のみについて)申請することができるものと考えられる(昭和34年4月6日付け民事甲第658号民事局長回答)。
 なお、 共同相続人中の一部の者が、 自己の相続分のみについて、相続による所有権の移転の登記を申請することはできず、また、共同相続人全員が、 それぞれ自己の相続分のみについて、個々に別件として同時に、相続による所有権の移転の登記を申請することもできないとされている (昭和30年10月15日付け民事第2216号民事局長電報回答)。」

※ 「自己の持分のみについて申請することができる」・・・遺贈の場合には,できますね。

「(注5)改正不登法第63条第3項の規定により登記権利者である受遺者 (相続人)が単独で遺贈による所有権の移転の登記を申請する場合においては、遺贈者(所有権の登記名義人)の登記記録上の住所等が死亡時の住所等と相違しているときであっても、相続による所有権の移転の登記の申請と同様に、 その同一性を証する情報の提供により、当該遺贈者(所有権の登記名義人)の住所等の変更の登記をすることなく、その所有権の移転の登記を申請することができるものと考えられる(明治33年4月28日付け民刑414号民刑局長回答)。
 なお、登記権利者と登記義務者との共同申請(不登法第60条)によって遺贈による所有権の移転の登記を申請する場合においては、従前のとおり、その前提としての住所等の変更の登記を省略することはできないものと考えられる (登記研究401号テイハン(昭和56年)160頁 質疑応答 【5907】))。」

 前段については,既報のとおり。

cf. 令和5年6月23日付け「遺贈の登記の単独申請と所有権登記名義人表示変更登記の要否」

「明治33年4月28日付け民刑414号民刑局長回答」とは,見慣れない先例であるが,「既登記の不動産の所有者が改名したが,その変更登記をしないで家督相続が開始した場合の相続登記の申請については,被相続人は申請人でないから,旧法49条6号に基づき同法42条の相続を証する書面を提出する必要はなく,被相続人の表示を変更せず直ちに相続登記をすることができる」(後掲七戸19頁)とするもののことであろうか?

cf. 七戸克彦「不動産物権変動における公示の原則の動揺・補遺(1)-(10・完)
https://catalog.lib.kyushu-u.ac.jp/opac_download_md/12542/005_p002-p036.pdf

 後段(なお書)については,そこは,拘らなくても・・・。住所移転等の経緯を公示する必要性について,前段と後段の違いはないと思われるが。

「(注6)遺言執行者の権利義務について、令和元年6月27日付け法務省民二第68号法務省民事局長通達/有本祥子・古田辰美「民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律の施行に伴う不動産登記事務の取扱いについて」 民事月報75巻3号(令和2年)31頁参照」

 とまれ,登記実務は,「通達及びその解説に示された考え方」に従って運用されるので,御留意を。
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「法人登記実務から見た労働者協同組合の運営」

2023-07-19 11:02:24 | 法人制度
立花宏・西山義裕「法人登記実務から見た労働者協同組合の運営」(中央経済社)
https://www.biz-book.jp/isbn/978-4-502-46881-0

 令和4年10月からスタートしている労働者協同組合制度に関する概説書。

cf. 知りたい!労働者協同組合法 by 厚生労働省
https://www.roukyouhou.mhlw.go.jp/
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公正証書遺言の保存期間

2023-07-17 14:13:19 | 民法改正
日公連HP
https://www.koshonin.gr.jp/notary/ow02

Q4. 公正証書遺言は、どのくらいの期間、保存されるのですか?
① 公正証書の保存期間に関する定め
公正証書の保存期間は、公証人法施行規則27条で、20年と定められています。さらに、同規則では、特別の事由により保存の必要があるときは、その事由のある間は保存しなければならないと定めています。

② 公証実務における遺言公正証書の保存期間
遺言公正証書は、上記規則の「特別の事由」に該当すると解釈されており、遺言者の死亡後50年、証書作成後140年または遺言者の生後170年間保存する取扱いとしています。

 ②の保存期間が延長されている。


 ちなみに,法務局における自筆証書遺言の保管期間は,政令の定めにより次のとおりであり,遺言公正証書については,これを参考に同程度にされたようである。

ア 遺言者の死亡の日から50年(法第6条第5項,政令第5条第2項)
イ 遺言者の生死が明らかでない場合は,出生の日から120年(法第6条第5項,政令第5条第1項)を経過した日から50年
ウ 遺言書保管ファイルの管理期間は,死亡の日から150年(法第7条第3項,政令第5条第2項)
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