司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

信託を活用した新しい贈与

2011-07-31 14:09:55 | いろいろ
 生前贈与における問題点,相続させる遺言における問題点等を解決する方法として,信託を活用した新しい贈与が広まりつつあるそうである。贈与といっても,民法上の贈与には該当しないが,相続税法上贈与と認定される手法であるようだ。

 下記が参考になる。
cf. http://www.tactnet.com/contents/news/bucknum/2011/No.456.pdf
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相続手続中に引き出し可能な金銭信託

2011-07-31 12:18:50 | いろいろ
讀賣新聞記事
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20110731-OYT1T00082.htm

 業界初らしい。

 ところで,この金銭信託の法的性質は,受取人に対する「贈与」であろうか。仕組みが気になるところである。
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法制審議会会社法制部会第11回会議(平成23年7月27日開催)

2011-07-30 16:28:53 | 会社法(改正商法等)
法制審議会会社法制部会第11回会議(平成23年7月27日開催)
http://www.moj.go.jp/shingi1/shingi04900081.html

 親子会社に関する規律に関する論点のうち以下のものについて,審議がされた。

(1)親会社株主の保護に関する論点
  多重代表訴訟,子会社に関する意思決定への親会社株主の関与等
(2)子会社少数株主・債権者の保護に関する論点
  子会社少数株主の保護,子会社債権者の保護
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商業登記の添付書面としての登記事項証明書の有効期限

2011-07-30 15:50:39 | 会社法(改正商法等)
 商業登記の添付書面としての登記事項証明書は,必ず3か月以内のものでなければならないのか?

商業登記規則
 (登記事項証明書等の有効期間)
第36条の2 申請書に添付すべき登記事項証明書及び登記所が作成した印鑑の証明書は,その作成後三月以内のものに限る。

 上記の規定は,会社法施行に伴い,法人が持分会社の代表者となることができるようになったことから,当該法人の登記事項証明書や印鑑証明書を添付しなければならない旨の規定が置かれたことに対応して,設けられたものである(平成18年法務省令第15号)。

 当時の解説(例えば,月刊登記情報2006年5月号79頁)では,「本条の規定は,商登法や商登規の明文の規定により要求される添付書面についてのみ適用がある」とされている。

 例えば,商業登記法第94条第2号イ,第54条第2項第2号のような場合である。

 したがって,例えば,取締役について後見開始の審判がされ,資格喪失退任による変更の登記を申請する場合において,後見の登記事項証明書を添付するときは,明文の規定により要求されているものではない(商業登記法第54条第4項参照)ことから,商業登記規則第36条の2の規定の適用はなく,3か月以内のものであることを要しない,と解される。

cf.西田淳二商事課法規課長ほか著「会社法の施行に伴う商業・法人登記事務の取扱いに係る関係政省令の解説」 (旬刊商事法務第1767号(2006年5月25日号)25頁)
※ 上掲月刊登記情報2006年5月号79頁と同内容。
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LLPの組合員の同意

2011-07-30 14:21:16 | 会社法(改正商法等)
 「合同会社の社員の同意等」の記事を読んだ方から,LLPの組合員の同意の場合となぜ異なるのか,という指摘を受けた。

cf. 平成23年7月29日付「合同会社の社員の同意等」

「組合契約の変更の登記等の申請書には,原則として,組合契約に係る変更契約書その他の総組合員の同意を証する書面を添付する必要があるが,組合員が法人である場合には,当該組合員の職務を行うべき者のみが同意をする権限を有する」
cf. 「有限責任事業組合契約に関する法律等の施行に伴う登記事務の取扱いについて(通達)」(平成17年7月29日付法務省民商第1713号)


 条文は,次のとおりである。

有限責任事業組合契約に関する法律
 (法人が組合員である場合の特則)
第19条 法人が組合員である場合には、当該法人は、当該組合員の職務を行うべき者を選任し、その者の氏名及び住所を他の組合員に通知しなければならない。
2 【略】

会社法
 (法人が業務を執行する社員である場合の特則)
第598条 法人が業務を執行する社員である場合には、当該法人は、当該業務を執行する社員の職務を行うべき者を選任し、その者の氏名及び住所を他の社員に通知しなければならない。
2 【略】


 LLPの組合員は,全員が業務を執行する権利を有し,義務を負う(LLP法第13条第1項)。すなわち,組合員は,何らかの形で業務執行を行うことが必要であり,「業務を執行しない」組合員を存在させることはできない。

 法人が組合員である場合に,当該組合員の職務を行うべき者は,「事業に関し包括的な権限を有し・・・原則,会社法第362条第4項第3号の「重要な使用人」に当たる」が,「内部的な決裁規程を設けている場合などにおいては,重要な使用人に当たらないことと解釈することが適当である」と考えられている。

cf. 平成21年1月20日付「経済産業省、「LLPに関する40の質問と40の答え(FAQ)」にQ&Aを追加」

 すなわち,支配人とは異なり,包括的な代理権限を有するわけではないのである。

 したがって,有限責任事業組合契約に関する法律第19条第1項の「組合員の職務」とは,あくまで「組合の業務の執行に関する職務」に限定されるはずであり,組合の根本に関わる事項の決定(組合契約の変更契約の締結,解散の決定等)については,職務執行者に同意権限はなく,法人たる組合員の代表者に同意権限があると考えるべきである。

 持分会社において,社員全員が業務執行権限を有する場合,先の記事の区別(代表者の同意 or 職務執行者の同意)が不要となるかというとそうではなく,やはり区別して考えるべきであり,この理は,LLPの組合員の同意の場面においても,同様に区別して考えるべきである。

 というわけで,上記通達の「組合員が法人である場合には,当該組合員の職務を行うべき者のみが同意をする権限を有する」の部分に,疑問を呈しておく。
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LLPの組合員の地位を第三者に譲渡することは可能か

2011-07-30 11:01:38 | 会社法(改正商法等)
経済産業省「LLPに関する40の質問と40の答え(FAQ)の追加(問27)
http://www.meti.go.jp/policy/economy/keiei_innovation/keizaihousei/pdf/llpq27hosoku.pdf

 経済産業省の「LLPに関する40の質問と40の答え(FAQ)」の「問27 組合員の地位を第三者に譲渡することは可能か」に,大幅に説明が追加された。

 有限責任事業組合法の施行当時の登記通達(「有限責任事業組合契約に関する法律等の施行に伴う登記事務の取扱いについて(通達)」(平成17年7月29日付法務省民商第1713号))では,「組合員の地位の譲渡」について言及がなかったが,本Q&Aによれば,「組合員の地位を譲渡する場合は,脱退と加入の手続を行う必要はない」のであるから,組合の登記の変更の登記に際しては,譲渡者については「組合員の地位の譲渡」,譲受者については「組合員の地位の譲受け」などを変更の原因として登記することになると考えられる。

 不動産登記に関しては,「組合員の地位の譲渡に伴い不動産の持分移転の登記を行う場合には,添付書類として・・・」とあるが,実体法上の登記原因を証する書面として,司法書士がこれらの書類を確認する必要はあるが,本来,組合員の肩書き付けの登記は許容されていないのであるから,もっとシンプルな内容の「登記原因証明情報」を作成して,添付することでよいと思われる。

cf. 平成17年7月28日付「LLPと不動産登記(通達)」

 Q&Aの末尾には「他の組合員の同意により、組合員の地位の譲渡を許容するとともに,当該不動産が組合財産に属することを証する場合のひな型」が示されているが,不動産登記における登記原因証明情報として,ここまでの内容(実体法上は理想的である。)を要求するのは,組合員の肩書き付けの登記を許容しない取扱いと背理するように思うのだが。

 いずれにしても,登記実務の取扱いに関しては,商事課長通知と民事第二課長通知により周知されるのが望ましいであろう。

 なお,登記研究第760号(平成23年6月号)の質疑応答【7923】で,このような場合に,「組合員の地位の譲渡を原因とする共有持分の移転の登記をすることができる」とある。

【参考】
旧 問27(答)
1.LLPは人的な共同事業体であり、組合員としての地位を第三者に譲渡することは想定していませんが、他の組合員の全員一致が得られれば、地位を第三者に譲渡し、新しい組合員として迎え入れることは可能です。
(以上)
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「期限付解散決議と書面決議の活用」

2011-07-29 22:31:55 | 会社法(改正商法等)
 月刊登記情報2011年8月号に,鈴木浩巳「期限付解散決議と書面決議の活用」(6頁以下)がある。

 期限付解散決議に否定的な登記実務(登記所の取扱い)に対して,書面決議を活用することにより,期限付解散決議と類似の効果が得られるとするものである。

 書面決議の効力が生ずる日時を調整して,意図する解散の効力発生日時に,決議の効力が生ずるようにする工夫である。

 すなわち,書面決議の効力が生じた時に,解散の決議の効力が生ずるわけであるから,「期限付決議」ではないのである。

 慧眼である。

 唯一の穴は,当然のことではあるが,活用範囲が,書面決議を利用できる規模の株式会社(株主全員の同意を得ることができる株式会社)に限定されることであるが,相当数活用できるであろう。

cf. 平成23年1月8日付「株主総会の期限付決議」

 ここまでしなければならないものか・・・。

 なお,書面決議は,このように活用法をいろいろと考えることができそうであるので,難題が持ち上がったら,書面決議を利用できないかを検討してみるとよいであろう。
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東日本大震災の津波で死亡した犠牲者の遺族が提訴

2011-07-29 15:06:59 | 東日本大震災関係
讀賣新聞記事
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110728-00000016-yom-soci

 東日本大震災の津波で死亡した犠牲者(自動車学校の学生)の遺族が,自動車学校の避難に不手際があったとして,提訴したという。

 難しい話である。
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合同会社の社員の同意等

2011-07-29 13:45:17 | 会社法(改正商法等)
 持分会社において社員の同意が必要な場合に、社員が法人であるときの同意書に記名押印をする者は、代表者 or 職務執行者のいずれであるか?

 たとえば、業務執行社員の選任は、定款の別段の定め(会社法第590条第1項)が必要であり、定款の変更は、原則として総社員の同意が必要である(会社法第637条)。この場合の同意の意思表示は、社員の資格に基づくものであるから、同意書は、社員の代表者が作成(記名押印)しなければならない。
 しかし、代表社員の選定を定款の定めに基づく社員の互選(会社法第599条第3項)によって行う場合、業務執行社員の互選によるのであり、業務執行社員の資格に基づく行為であるから、選定を証する書面には、法人の代表者ではなく、職務執行者が記名押印する必要がある。

 また、解散を総社員の同意(会社法第641条第3号)により決定する場合、同意書は、上記と同様に、法人の代表者が作成(記名押印)しなければならない。
 しかし、清算人の選任を社員の過半数の同意(会社法第647条第1項第3号)によって行う場合、同号かっこ書により、業務を執行する社員の過半数の同意とされていることから、この場合の同意の意思表示は、業務執行社員の資格に基づく行為であり、同意書は、職務執行者が作成(記名押印)しなければならない。

 実務上重要な区別であるから、留意する必要がある。

cf. 平成19年11月1日「合同会社の社員の同意等」

 7月27日(水)に,東京司法書士会港支部研修会で「各種法人登記の概要」の講師を務めたが,終了後,「定款変更を,業務執行社員の同意で行う場合はどうか?」という質問をお受けした。

 定款の変更は,原則として総社員の同意が必要である(会社法第637条)が,定款の別段の定めにより,「業務執行社員の全員の同意」によると定めた場合,この場合の同意の意思表示は,社員の資格に基づくものではなく,業務執行社員の資格に基づくものであるから,同意書は,職務執行者が作成(記名押印)しなければならないということになる。
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函館にて

2011-07-29 12:02:44 | 会社法(改正商法等)
 7月23日(土),函館司法書士会会員研修会で,「会社法施行後5年と商業登記実務」と「各種法人登記の概要」の講師を務めた。延べ5時間という長丁場で,途中地震でぐらぐら揺れたりしたが,参加された皆さん,お疲れさまでした。また,懇親会等でお世話になった先生方,ありがとうございました。

 24日(日)は,飛行機の時間まで余裕があったので,函館市内を散策。京都と違って,さわやかな気候で,快適。御指導いただいたとおり,立待岬や,五稜郭内に再現された函館奉行所なども訪れた。束の間の夏休みでした。
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社会福祉法人等の「代表権を有する理事」の予選の問題をクリアするには

2011-07-28 10:40:39 | 法人制度
 社会福祉法人等の「代表権を有する理事」の予選の問題に関して,以下のように考えるべきではないか。

cf. 平成23年3月31日付「社会福祉法人の理事の変更の登記について」


 取締役会設置会社において,定時株主総会の終結の時に取締役全員(ABC)が任期満了退任するために,当該定時株主総会において後任の取締役(ABD)を選任するような場合,同選任議案が承認可決されたからといって,定時株主総会が終結する前に,ABDが取締役会を開催して後任の代表取締役を選定することはできない。未だ取締役の就任の効力が生じていないのであるから当然である。

 しかし,「取締役会設置会社以外の株式会社」において,代表取締役の選定を株主総会が行う場合には,当該定時株主総会の取締役選任議案の次の議案として,代表取締役を選定することができる。いわゆる代表取締役の予選であるが,こちらは,問題なくOKである。

 それでは,「取締役会設置会社以外の株式会社」において,取締役の選任と代表取締役の選定を,定時株主総会に先立って開催される臨時株主総会において行うのはどうか。もちろんOKである。取締役が任期満了した後の後任の取締役は,定時株主総会において選任されるのが通常であるが,絶対的にそうしなければならないものではなく,先立って開催される臨時株主総会において選任決議を行っても,条件付決議として許容される範囲内であれば,全く適法である。

 一般社団法人においては,理事会を設置しない類型である「理事会設置一般社団法人以外の一般社団法人」が許容されており,上記の理は,そのまま当てはまる。

 さて,例えば,社会福祉法人に関して,根拠法である社会福祉法は,理事会について法定しておらず,したがって,社会福祉法人の理事会は,あくまで定款の定めに基づく機関に過ぎない。すなわち,社会福祉法人は,「理事会設置一般社団法人以外の一般社団法人」と同じ類型に該当すると言える。理事全員が各自代表権を有するのが原則で,「代表権を有する理事」を選定する行為がされることによって,他の理事の代表権の全部が制限される点も同様である。

 社会福祉法人の「代表権を有する理事」については,定款の定めに基づき,理事の互選によるのが一般であるが,あくまで定款の定めによるのであるから,「理事の互選」と異なる方法を採用することも,法的には可能である(監督官庁の「行政指導」を突破できればの話ではあるが。)。すなわち,理事の選任機関において,任期満了後の後任の理事を選任するのと同時に,後任の代表取締役を予選することも可能であるはずである。

 したがって,社会福祉法人の理事(ABC)が任期満了退任する場合に,後任の理事(ABD)を予選するようなときにおいて,理事長(代表権を有する理事)の選定についても,定款の定めが「理事の互選による」のでないのであれば,予選が可能であると言える。

 そもそも論であるが,理事を選任する際に,定款の定めに基づいて,「代表権を有する理事」「代表権の全部を制限された理事」と区分して選任することもできるはずであり,それが最もシンプルであろう。

 長々と論じたが,社会福祉法人の「代表権を有する理事」の予選不可の問題をクリアするには,定款の「理事の互選による」旨の定めを排して,他の方法によるように,定款の変更を行うことが最も簡明であり,妥当であると考える。



 なお,特定非営利活動促進法の一部改正(平成24年4月1日施行)による登記実務の取扱いの変更(理事全員を登記する → 代表権を有する理事のみを登記する)によって,改正法施行後の「代表権を有する理事」の「就任(重任を含む。)年月日」は,どのような取扱いになるのか?

cf. 平成23年6月15日付「特定非営利活動促進法の一部改正」

 特定非営利活動法人について,改正後の「就任(重任を含む。)年月日」の取扱いを異にする必要はなく,逆に社会福祉法人の「就任(重任を含む。)年月日」の取扱いを早々に改めるべきであろう。
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国民生活センターの在り方の見直しに係るタスクフォース取りまとめ (案)

2011-07-26 18:14:50 | 消費者問題
国民生活センターの在り方の見直しに係るタスクフォース取りまとめ(案)
http://www.caa.go.jp/region/pdf/110725matome_an1.pdf

 消費者庁と国民生活センターが,「タスクフォース取りまとめ(案)」を公表している。
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労使関係法研究会報告書

2011-07-26 18:12:06 | 会社法(改正商法等)
「労使関係法研究会報告書」について by 厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001juuf.html

 労働組合法上の労働者性の判断基準が示されている。
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宅地建物取引業法施行規則の一部を改正する省令案

2011-07-26 11:47:53 | 不動産登記法その他
宅地建物取引業法施行規則の一部を改正する省令案に関する意見募集について by 国土交通省
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=155110301&Mode=0

 「宅地建物取引業法(昭和27年法律第176号)第47条の2第3項に基づき、同法施行規則第16条の12において、宅地建物取引業者等が行う契約の締結に係る勧誘行為について、相手方等を困惑させることが禁止されているが、今般、宅地建物取引に係る悪質な勧誘行為の実態調査の結果を踏まえ、以下の事項を明文化するため、当該規定を改正する」

・勧誘に先立って、名称、目的を告げることなく勧誘を行うことを禁止
・契約締結しない意思を表示した者に対する勧誘を禁止
・迷惑を覚えさせるような時間の電話・訪問勧誘を禁止

 意見募集は,平成23年8月24日(水)まで。
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京都地方法務局庁舎耐震改修工事のお知らせ

2011-07-26 08:35:54 | 司法書士(改正不動産登記法等)
本局庁舎耐震改修工事のお知らせ by 京都地方法務局
http://houmukyoku.moj.go.jp/kyoto/static/kouji.pdf

「平成23年7月25日から平成24年3月末まで,京都地方法務局の本局庁舎の耐震改修工事を行うこととなりました」

 近隣には,ポスティングも。
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