司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

登録免許税法施行規則の一部改正

2011-08-31 19:52:27 | 会社法(改正商法等)
 コメント欄に,奥野さんがコメントをお寄せいただいた登録免許税法施行規則の一部改正については,次のとおりである。

cf. 平成23年6月30日付「登録免許税法の一部改正」

○ 財務省令 第三十三号

 現下の厳しい経済状況及び雇用情勢に対応して税制の整備を図るための所得税法等の一部を改正する法律(平成二十三年法律第八十二号)の施行に伴い、並びに登録免許税法(昭和四十二年法律第三十五号)第十三条第二項及び別表第一第二十四号(一)の規定に基づき、登録免許税法施行規則の一部を改正する省令を次のように定める。

  平成二十三年六月三十日    財務大臣 野田 佳彦  

登録免許税法施行規則の一部を改正する省令

 登録免許税法施行規則(昭和四十二年大蔵省令第三十七号)の一部を次のように改正する。

 第十条第一号イ中「権限が」を「地方農政局長に権限が」に、「当該委任された」を「当該」に改める。

 第十一条中「登記に」を「登記又は登録に」に、「抵当権等の設定登記」を「抵当権等の設定登記等」に改める。

 第十二条第三項及び第四項を削り、同条第五項を同条第三項とし、同条第六項を同条第四項とし、同条第七項を同条第五項とし、同条第八項中「第七百四十六条第一項」を「第七百四十六条」に改め、同項を同条第六項とする。

 第十八条から第二十条までの規定中「同規則」を「同令」に改める。

 第二十六条第二号中「当該」を削り、同条第七号中「当該」を「第二号の」に改める。

   附 則
 この省令は、公布の日から施行する。
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成年後見制度支援信託,宙に浮いたまま

2011-08-30 17:45:41 | 民法改正
京都新聞記事
http://www.kyoto-np.co.jp/top/article/20110830000053

 成年後見制度支援信託の運用開始が,宙に浮いたままであるが,その現状についてまとめている。

 悪い制度ではないと思うが。

cf. 平成23年2月4日付「『後見制度支援信託』制度の創設」
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就任承諾書の方程式

2011-08-30 15:24:15 | 会社法(改正商法等)
 月刊登記情報2011年9月号に「登記官の目 就任承諾書の方程式」(85頁以下)がある。よく整理されているので,一読をお薦めする。

 いくつか気が付いた点を取り上げると,

「就任承諾は様式行為(要式行為?)ではなく,法人と役員の関係においては口頭での意思表示でも足りるとされ,就任承諾書以外の書類をもって充てることができる」

 したがって,

「株主総会議事録に就任を承諾した旨の記載がない場合でも当該取締役が出席取締役として記名押印している場合は,株主総会議事録を就任承諾書として援用できる」

 これは,善解理論によりOKである。


 ところで,

「株主総会議事録に出席取締役の記名押印は求めていないが,出席した取締役・監査役等の氏名を内容とする必要があり(会社法施行規則72条3項4号),就任承諾書として援用するには『出席した役員』としての氏名の記載が必要である。この記載は「出席した役員」として氏名を明記するのが望ましく,『被選任者が即時就任を承諾した」旨,『被選任者がその場で就任を承諾した』旨の出席したことが伺われる(窺われる?)記載では不十分と考える」

とあるが,こういう考え方があるので,以前記事にしたとおり,「最近,新任の取締役に関しては,株主総会議事録に就任承諾の旨の記載がある場合においても,就任承諾書を添付せよとか,株主総会議事録に被選任者も記名押印せよとかいう行政指導(?)がされるケースが増えているようである」ということなのであろう。

cf. 平成22年11月3日付「取締役の就任承諾と株主総会議事録の記載の援用」

 しかし,例えば,任期満了による改選時に新たに取締役又は監査役に選任された者のように,株主総会の終結後に就任する者は,株主総会に出席していたとしても,「出席した役員」には該当しないので,上記は,疑問である。

 従来の登記実務の取扱いのとおり,「被選任者が席上就任を承諾した」旨の記載があれば,是とすべきである。


 ところで,ところで,

「任期を選任の日から起算する会社・法人の場合,法定又は定款等に定める任期の期間を経過して就任の承諾をすることはできず・・」

 そのとおりであるが,続いて,

「・・懈怠の責を問われることにもなる」

 ???

 結果として就任承諾をしなかっただけであり,何をもって「懈怠」となるのか,意味不明である。被選任者から就任承諾を得られなかったことにより,法律又は定款で定める取締役等の員数に満たないときは,株式会社の取締役は,結果として選任懈怠の責を負うことになるであろうが,そういう趣旨であれば,言葉足らずであろう。
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公益法人への移行と同時に(移行の登記をすることを停止条件として)就任する理事及び監事の任期の起算点

2011-08-29 14:58:49 | 法人制度
 公益法人information のFAQ問Ⅱ-4-⑥(137頁)注2に,次の解説がある。

cf. 公益法人information のFAQ

「注2 また、特例民法法人が、移行と同時に(移行の登記をすることを停止条件として)就任する最初の評議員、理事、監事又は会計監査人(以下「評議員等」といいます。)を選任した場合(例えば、移行と同時に評議員を設置する特例財団法人が、旧主務官庁の認可を受けた方法により、移行と同時に就任する最初の評議員を選任した場合)には、当該評議員等の任期の起算点(始期)は、一般社団法人又は一般財団法人の設立の場合の評議員等の任期の取扱いに準じて、選任行為時ではなく、移行の登記時になると考えられます。」


 評議員については,移行後の「最初の評議員」であるから,任期の起算点が「移行の登記の時」であることは是認できる。会計監査人についても,同様である。

 しかし,理事及び監事に関しては,特例民法法人においても法律の根拠が存するのであり,移行前から在任する理事及び監事の任期は,移行後は,「一般社団・財団法人法」又は定款の任期に関する規定に従うことになるので,任期の起算点は,「選任の時」となる。

 この理からすると,移行と同時に(移行の登記をすることを停止条件として)就任する理事及び監事の任期の起算点は,やはり「選任の時」と解すべきであろう。

 似たようなケースとして,特例有限会社が通常の株式会社に移行する場合があるが,移行と同時に(移行の登記をすることを停止条件として)就任する取締役及び監査役の任期の起算点について,「移行の登記の時」と解する説など聞いたことがない。

 本来は,「移行の登記の時」を起算点としてもよいのだと思う。私も,どちらかと言えば,こちらを支持したい。しかし,会社法における任期の起算点の考え方は,本文1の解説にあるとおり,「任期の起算点は,社員総会ないし評議員会のコントロールが及ぶ「選任時」とされています」なのである。

 ただし,このように考えるべきは,理事又は監事の選任議案が可決(停止条件付)された場合であって,移行の登記の時に定款変更の効力が生ずる「附則」に,移行と同時に(移行の登記をすることを停止条件として)就任する理事及び監事の氏名を直接定めるような場合には,「選任時」は,「移行の登記の時」と解してもよいであろう。特例有限会社の場合についても,同様である。

 というわけで,上記FAQの注書には,疑義を呈しておく。
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独立役員届出書の集計結果(2011年)について

2011-08-28 13:08:00 | 会社法(改正商法等)
独立役員届出書の集計結果(2011年)について by 東証
http://www.tse.or.jp/news/09/110816_a.html

 東証が,本年における独立役員(一般株主と利益相反が生じるおそれのない社外取締役又は社外監査役をいう。)の確保状況の集計結果を公表している。

 上場会社1社あたり,平均で1.99名の独立役員が確保されており,独立役員を2名以上確保している旨の届出を行っている上場会社は,全体の51.1%に達しているようだ。

cf. 平成22年6月17日付「補欠独立取締役」

平成22年3月22日付「独立役員は,1名でよいのか」

 定款を変更する等により,「独立役員が欠ける場合と,会社法または定款に定めた役員の員数が欠ける場合とを一致させるような工夫」を行っている株式会社は,未だない模様。
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日本私法学会2011

2011-08-27 21:00:53 | 会社法(改正商法等)
 本年度の日本私法学会は,10月9日(日)及び10日(月)の両日,神戸大学法学部を会場として行われる。

 10日(日)9:30~17:00に開催されるシンポジウムのうち,会社法に関しては,次のとおりである。

「会社法改正の理論と展望」
Ⅰ 総論
 江頭憲治郎(早稲田大学教授)
Ⅱ 会社法制と資本市場 -解釈論上の問題点を踏まえて-
 上村達男(早稲田大学教授)
Ⅲ 企業統治
 齋藤真紀(京都大学准教授)
Ⅳ 企業結合
 中東正文(名古屋大学教授)
Ⅴ 株式,資金調達,計算
 尾崎安央(早稲田大学教授)
Ⅵ 自主規制と会社法 -証券取引所による上場会社規制を中心にして-
 河村賢治(関東学院大学准教授)

 資料は,旬刊商事法務2011年8月25日号に掲載されている。
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家賃滞納201か月・・・

2011-08-27 19:14:27 | 民事訴訟等
讀賣新聞記事
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110827-OYT1T00219.htm?from=main7

 奈良市の市営住宅で,家賃を201か月も滞納している者がいるという。

 市営住宅の賃料債権の消滅時効については,民法第169条の適用があり,5年である。時効の中断の措置をとっていない限り(おそらくないであろう。),大半は,時効を援用されると,回収不能である。

 何をやっているのだか・・・。


民法
 (定期給付債権の短期消滅時効)
第169条 年又はこれより短い時期によって定めた金銭その他の物の給付を目的とする債権は,5年間行使しないときは、消滅する。

cf. 平成22年10月12日付「家賃滞納19年,連帯保証人への請求はOK?」
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またまた「一澤帆布」訴訟

2011-08-27 11:59:17 | 会社法(改正商法等)
讀賣新聞記事
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110827-OYT1T00085.htm?from=main5

 いつまで続く?
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商業登記規則等の一部改正

2011-08-26 19:32:55 | 会社法(改正商法等)
官報(平成23年8月26日)
http://kanpou.npb.go.jp/20110826/20110826h05627/20110826h056270004f.html

 商業登記規則第19条第2項が削除された。

 登記情報交換システムを利用した登記事項証明書等の交付の請求における情報量制限(情報量が300キロバイトを超える場合には,当該請求をすることができない。)を解消するため,所要の改正を行うものである。

 本日施行である。

cf. 平成23年7月12日付「商業登記規則及び債権・動産譲渡登記規則の一部を改正する省令案」
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成年後見,市町村申立て急増

2011-08-25 09:21:14 | いろいろ
毎日新聞記事
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110824-00000058-mailo-l12

 千葉県の成年後見人(司法書士)に関する記事。
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洗顔せっけんから小麦アレルギー

2011-08-24 14:02:59 | 消費者問題
産経新聞記事
http://sankei.jp.msn.com/life/news/110824/trd11082413250012-n1.htm

 小麦成分を含む洗顔せっけんを使用したことから,重篤の小麦アレルギーが生ずるケースがあるそうだ。このようなケースは,原因が判明し難いだけに,厄介である。
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「事業引継ぎ相談窓口」の設置

2011-08-24 13:11:32 | 会社法(改正商法等)
「事業引継ぎ相談窓口」の設置について by 中小企業庁
http://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/2011/110630HikitsugiMadoguchi.htm

 後継者不在などで事業の存続に悩みを抱える中小企業の方の相談に対応する「事業引継ぎ相談窓口」が全国47都道府県に設置されている。
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流出した公正証書等

2011-08-24 10:19:41 | 東日本大震災関係
流出した公正証書等に関する資料提供のお願い by 仙台法務局気仙沼支局
http://houmukyoku.moj.go.jp/sendai/static/kouseisyousyo_shiryou.pdf

 気仙沼では,公正証書等は,法務局庁舎内に保管されていたようだ。公正証書等の保管場所は,役場に附属する「倉庫又は堅ろうな建物内」に限らないんですね。

cf. 公証人法施行規則
第26条 公証人は,その役場に附属する倉庫又は堅ろうな建物内に書類を保管して置かなければならない。
2 【略】
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金融庁,ライツイシューを促進へ

2011-08-23 15:35:01 | 会社法(改正商法等)
日経記事

 金融庁は,「資金調達目的のライツ・イシューに限り,米国に居住する株主に新株予約権を割り当てても,行使しないよう制限することを認める」という方向であるようだ。


 例えば,行使の条件として,内国株主であることという条件を付すことは,一見,差別的な行使条件であるように見える。

 しかし,新株予約権を行使する権利は,株主としての権利の内容ではないことから,新株予約権の行使の条件については,さまざまなものが考えられ,会社法上特に限定はなく,内国株主であることという条件を付すことも,直ちに株主平等の原則に違反するものではない,と考えられる。

 この点,いわゆるブルドックソース事件最高裁決定(平成19年8月7日民集第61巻第5号2215頁)は,「法109条1項に定める株主平等の原則の趣旨は,新株予約権無償割当ての場合についても及ぶ」と判示しているが,「(1)企業防衛のためではなく資金調達の必要性に基づくものである点を明確に説明する,(2)新株予約権などを取引所市場に上場させ、外国人株主が換金できる場を整える――の2条件を満たす場合」,本件新株予約権無償割当てには,株主全体の利益向上の観点から新株予約権無償割当てを正当化する特段の事情があり,本件取扱いが衡平の理念に反し,相当性を欠くものではないので,株主平等の原則の趣旨に反するものということはできないであろう。したがって,OKでしょうね。

cf. ブルドックソース事件最高裁決定(平成19年8月7日民集第61巻第5号2215頁)
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=35027&hanreiKbn=02
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年金担保融資の限度額引下げ

2011-08-23 13:11:47 | 消費者問題
日経記事
http://www.nikkei.com/news/category/article/g=96958A9C93819591E3E5E2E2858DE3E5E2EAE0E2E3E39797E0E2E2E2;at=DGXZZO0195591008122009000000

 年金担保融資の限度額が,引き下げられる。受給額の1.2倍→1.0倍に。
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