永子の窓

趣味の世界

蜻蛉日記を読んできて(172)

2017年02月27日 | Weblog
蜻蛉日記  下巻 (172) 2017.2.27

「大夫、例のところに文ものす。かごといひつづけてもあらず。これよりも、いと幼きほどのことをのみ言ひければ、かうものしけり。
<みがくれのほどといふともあやめ草なほ下刈らん思ひあふやと>
返りごと、なほなほし。
<下刈らんほどをも知らずまこも草よに生ひ添はじ人は刈るとも>」

◆◆大夫はいつもの所へ手紙を送る。あちらでも、そう逃げ口上を言ってくるのでもない。こちらからもまったく幼稚なことばかり言っているので、私が助け舟を出しました。
(道綱母の歌)「姫君が水に隠れて見えないほどの幼くていらしても、こちら同様に思ってくださっていらっしゃるか、あなたのお気持ちを知りたいのです」
返事は、ごくごく平凡でした。
(大和方の歌)「私はあやめでなくて、つまらない真菰草です。ですから下根を刈るなんてまだ聞いたことがありません。たとえ刈られても生い添うことはありません。ですから、求婚されても添う気はありません。あなたが思ってくださるはずがありませんから」

■ことついつけても=未詳。