ヒゲジイのアル中よもやま話

断酒を始めて早7年目。このブログは回復プロセスの記録と脳のリハビリを兼ねて綴っています。やはり、まだチョット変ですかネ?

妙な日 ― 禍福は糾える縄の如し(その4)

2018-03-13 06:39:22 | 雑感
 その日は想定外が重なって目論見通りにいかなくなり、元町にあるアルコール専門クリニックの受診を断念することになりました。珍しく安売りしていた甘納豆を手土産にAAのミーティング会場に向かっていた道すがら、思いがけないものを拾いました。ゴミだと思って拾ったレジ袋に何とサイフらしきものが入っていたのです。それを交番に届け、拾得者の権利をすべて放棄して、再びAAのミーティング会場に向かったのですが・・・。

 AAのミーティング会場には開会の45分前に着きました。会場はすでに準備万端の状態で、この会場のチェアパースン(世話人)Y氏とM氏の2人がいつものように待機していました。

 早速、元町の駅前でお金を拾った話をしたのですが、・・・。
「私も昔、地下鉄で給料袋を見つけたことがあったなぁ。」世話人の一人、M氏が私の話を引き取ってこう続けました。
「封を切ってない給料袋が座席シートの上にチョコンと置いてあってねぇ。ズボンの尻ポケットに突っ込んでいたんだろうねぇ。当時はまだ銀行振り込みではなくて、現金支給だったんですよ!」

 給料袋でお給料が現金支給されていたのは、M氏の言った通りかれこれ35~40年ほど前の時代のことです。
「で、それどうしたんですか?」
「しっかり、(懐を指差して)いただきましたよ(笑)」とM氏はアッケラカンとしたものでした。昔のこととは言え、給料袋時代にはこんな悲喜劇もあったのです。

「それはそうと今回の場合、もし落とし主が現われなかったらどうなるの?」とM氏に言われ、やっと私の迂闊さに気づかされました。
「あっ、そうですね! ミーティングの帰りに、また元町の交番に寄ってみますか?!」元町まで歩いて30分弱はかかるのですが、そんなことを言っていられる場合ではないのです。

 AAのミーティングがお開きになった後、早速、元町の交番まで戻りました。事情を説明して遺失物届け出書の複写分を受取った丁度その時です。歳の頃は五十がらみでしょうか、ブルゾンを着た労務者風の男が交番に入ってきました。

「あのぉ、落とし物なんですが、サイフが入ったレジ袋が届けられていませんか? サイフといってもチャックが壊れた小物入れで、中にビニール袋に入れたお金と鍵があったはずなんですが・・・。」おどおどした口調でした。
「どこで落としたのかわかりますか?」と、私に応対中だった警察官。
「多分、元町駅の西口付近だと思うんですが・・・」と自信なさげでした。

 これを側で聞いていた私は落とし主本人と確信しました。それで受取ったばかりの遺失物届け出書を担当の警察官に返して交番を出ました。

 こんなことってあるのでしょうか? 落とし物を拾って届け出た人とその落とし主本人が交番でバッタリ出くわしたのです。私が交番に届けてからすでに3時間経っていました。絶対ないとは言いませんが、確率的にはほぼゼロに近い希有なことなのです。67年の私の人生でも初めてのことでした。

 この一件でもかれこれ計1時間ほど時間をロスしました。ゴミ拾いの件と言い、県立病院での呼び出し用ポケット・ベルの電池切れの件と言い、落としものを交番に届けた件と言い、この日は妙なことが集中した日でした。

 想定外の時間のロスが合計2時間ほどとなり、
「(結局、見返りは大安売りの甘納豆だけ!?)」これには唯々自分自身にこう言い聞かせるだけでした。
「(まぁ、なるようになっただけ・・・。時間のロス以上の希な人生経験を積めたんだし、・・・)」と。

 “禍福は糾える縄の如し” すべてのものごとには正・負の両面が兼ね備わっており、見る人の都合でどちらにも変り得るもの。まさしく諺通りと再認識させられました。
(この項おしまい)



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コメント (2)
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