今回と次回は、実際に断酒表彰のあった先週土曜日の出来事について書いてみます。
お互い老境に入ってから、相手の行動に一切干渉しないというのが私たち夫婦間の暗黙のルールです。
毎週土日はいつも遅くまで寝ている相方が、その日は珍しく朝起きていました。私が家から出ようとしたとき、これも珍しく彼女の方から声をかけてきました。
「断酒表彰って、何年の表彰?」
「6年だけど」と、私が応えたら、
「もうそんなになるの!?」
結構感慨深げな口調だったので、私の方がビックリしてしまいました。
実は前の晩、彼女が寝ている内に私が家を出ることになると思い、予め断酒表彰の件を伝えていたのです。が、そのとき彼女は何も言いませんでした。私の方もいつものことと気にも留めませんでした。
ですから驚いてしまったわけですが、この一言で私と彼女の間に意識の大きなズレがあることに気づかされました。まだ6年しか経っていないと思っていた私に対し、彼女の方はもう6年も経ったと思っていたのです。
さて、場面は変わってアルコール専門クリニックでのこと。主治医の S 先生はいつになく上機嫌でした。息子さんへの跡継ぎが順調に進んでいるようでした。
「役目を少しずつ息子に譲っているんだ!」
断酒表彰の席でお祝いのスピーチをするのも、表彰状を授与するのも最近は、息子さんに代わってもらっているのだと言うのです。こう聞いたからには俄然、息子さんのスピーチに興味が湧いてきました。
式場の最前列に席を占め、最後になって登場した息子さんの姿をマジマジと見ていたのですが、話の内容はというと全く覚えていないのです。
唯一できたことと言えば、口元や顎の輪郭が父親似だという確信ぐらいなものでした。意識のいい加減さに我ながら呆れてしまいます。
人の意識なんて、掴みどころがない上に気まぐれで当てにならないもの。このことだけはハッキリ意識できました。オソマツ!
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さて、場面は変わってアルコール専門クリニックでのこと。主治医の S 先生はいつになく上機嫌でした。息子さんへの跡継ぎが順調に進んでいるようでした。
「役目を少しずつ息子に譲っているんだ!」
断酒表彰の席でお祝いのスピーチをするのも、表彰状を授与するのも最近は、息子さんに代わってもらっているのだと言うのです。こう聞いたからには俄然、息子さんのスピーチに興味が湧いてきました。
式場の最前列に席を占め、最後になって登場した息子さんの姿をマジマジと見ていたのですが、話の内容はというと全く覚えていないのです。
唯一できたことと言えば、口元や顎の輪郭が父親似だという確信ぐらいなものでした。意識のいい加減さに我ながら呆れてしまいます。
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