酒を断って1年ぐらいまでのアルコール依存症者にとって、“空白の時間” という言葉は特別な意味を持っています。「時間ほど自分の意の儘にならないものは他にない」この真理を嫌と言うほど味わわされる破目に陥るからです。
かつては酒さえあれば何とかなるものと、さして気にもしなかった空き時間のことです。が、酒を断った身となってみると、時間が空きそうというだけで怯えてしまうほどなのです。そのストレスでパニック寸前となり、つい再飲酒の誘惑にかられてしまう人もいるようです。そんな際どい心境など健常な人にはとても想像できないと思います。どうしたらいいのでしょう?
断酒3ヵ月までは、一日が長いことはあまり気にならなかったと思います。どん底の体調から回復に向け歩み出したばかりで、とにかく必死でした。睡眠薬も処方されていたので、午前中の教育プログラム受講中にも坐ったままの姿勢でよく寝ていました。グーグーかいていた鼾が暫く止まったこともあったようで、呼吸が止まっていると大騒ぎされたこともありました。睡眠時無呼吸症候群の無呼吸状態は坐ったままの姿勢でもなるのだと知りました。そんなわけですから時間がゆったり流れているなど気付く余裕などなかったのです。時間がやけにゆったり流れていると気付いたのは断酒3ヵ月過ぎからでした。一日が長い、幼少期に経験したのとよく似た感覚でした。
お酒を飲んでいるとあっという間に時間が過ぎてしまいます。アルコールの麻酔作用で時間感覚も麻痺させてしまうからだろうと思います。アルコールを断つと、その反跳現象とでも言うのでしょうか、時間感覚が逆にとてつもなく遅く感じてしまいます。それで余計にイライラして落ち着かないのです。「一日のうち、飲酒していた時間の跡に断酒後は無聊な時間が空いてしまい、気持ちが不安定となって時間を持て余してしまう。その空白な時間をいかに手懐け、埋め戻すかということ」断酒後しばらく依存症者が皆苦手とする問題とは、すなわちこの “空白の時間” の問題に他ならないのです。
断酒10ヵ月後、“憑きモノが落ちた” 体験を経てからこのブログに投稿し始めました。“憑きモノが落ちた” という感覚はアルコールが完全に抜けたことを意味していたのかもしれません。そして、このブログに週一回投稿し始めて約2~3ヵ月経った頃、1週間が速く過ぎるように感じ始めました。それでも1日々々が過ぎる時間感覚としてはあまり変わりがありませんでした。主治医にこの話をすると、「そう、1週間が短くなって来たか・・・」と感慨深げな様子でした。
それまでの期間、私が専門クリニックで受けた生活指導と私自身が実践したことは次の通りです。まず専門クリニックの生活指導についてです。耳にタコができるぐらい口酸っぱく言われたものです。
○ 早寝・早起きなど規則正しい生活を送る
○ 毎日通院を続ける(午前8時~午後3時半頃)
○ 空腹状態を避ける
○ 甘いものが欲しかったら我慢しない
○ ノンアルコールビールは禁止
○ 勝負事は避ける
○ 疲れ過ぎを避ける
○ 周囲に断酒中だと明かす
○ 飲酒を彷彿させる危険な場に近づかない
○ 自助会に参加する
専門クリニックの生活指導の柱は、生活リズムの立て直しと、イライラする感情を予防して再飲酒を抑止することです。特に大切なのは生活リズムの立て直しです。
夜更かし⇒不眠⇒睡眠不足⇒寝覚めの悪い寝坊⇒後ろめたさ⇒だらしない生活に気分の落ち込み⇒昼過ぎから復調⇒夜更かし。
飲酒時代と同じ生活リズムの悪循環、この悪循環を何としても断ち切らなくてはなりません。
次に私が実践したことです。生活リズムの立て直しには毎日通院がうってつけと実感できていましたので、これを軸に肉付けすることだけを考えました。
○ 夜9~10時には就寝(朝4~5時起床)
○ 朝昼晩の三食をキチンと摂る
○ 夜の外出は避ける
○ 通院時は毎日最寄りの駅まで片道30分歩く(往復1時間)
○ 新聞を毎日欠かさず読む
○ 毎日PCを起動し贔屓のネットサイトにアクセスする
○ 異変や何か “気づき” があればPCにメモする
ある意味、変化に乏しいワンパターンの毎日ですが、これらを忠実に守り、ものの見事に実践し続けました。自助会AAは昼過ぎから始まるミーティングに限定し、断酒を始めて6ヵ月後から週一回、8ヵ月後からはさらにもう一回の週2回出席し始めました。夜のミーティングへの出席は今でも避けています。ブログへの週一回の投稿は、上述したように断酒10ヵ月後からです。ブログへの原稿作成作業もあり、週日のスケジュールがキッチリ固定されました。これに土日や休日の午前中に4時間行う路上のゴミ拾いが1年6ヵ月後から加わり、1週間のスケジュールが現在のものに固まって行きました。最早、“空白の時間” が生じる隙などありません。
“空白の時間” を避けるため、何を始めたら良いのか分からない方もおられると思います。自助会に毎日出席している方もいますし、さらに輪をかけるように朝昼晩の3回も自助会に出席し続けるなど頑張っている人も見かけます。恐らく “空白の時間” を避けるのが目的だろうと思っています。ここまでやることが果たして望ましい行動なのか、私には分かりません。
ところで、私は深く考えた上でブログへの投稿や路上のゴミ拾いを始めたわけではありません。ブログ投稿は、twitterやFace bookに飽き足らずにいたところ、自分史を書いてみようと言った患者仲間の話を聴いたのがキッカケで始めました。ブログなら長文の連載も可能だろうと考えたのです。路上のゴミ拾いは、通院中の専門クリニックの近くを散歩しているうちに何気なしに始めたものです。どうせやるなら自宅近辺をキレイにするのが筋だろうと発想を変えただけの話です。
“憑きモノが落ちた” 体験前には、事を始めるに際し、あーでもない、こーでもないとその成果や意義を捏ねくり回し、なかなか実行に移せないでいました。そんな私でしたが、ブログへの投稿や路上のゴミ拾いのどちらも、始めてみたら意外にオモシロくまんまと嵌ってしまいました。片や~脳の体操としてうってつけですし、此方~糖尿病の高血糖防止にも有用です。今では継続すること自体に意味があると、後付け(?)ながらその意義を見出しています。
何かやってみてもイイなと思いついたら即、行動に移してみることをお勧めします。行動の意味付けは後になってからでも構わない、意義は後からついて来るものだと思います。それと、これだけは強調しておきたいと思います。一日の出だし、特に午前中のスケジュールをしっかり固定することです。これは何よりも大切なことです。さらに、できるだけ長い距離を毎日歩くこともお勧めします。体調不良と大雑把に括られる自律神経失調の諸症状は、薬など飲まなくても、歩くことで復調するものだと医師から教わりました。ウォーキングなどでリズムよく歩くことは、単なる軽い運動ということ以上に意義のあることのようです。
ワンパターンの規則正しい生活リズムを刻むこと。これが “空白の時間” を生まないための、私流の時間との折り合いのつけ方です。ワンパターンの規則正しい生活リズムを完璧に刻んでいると、時間が自然に流れます。その内に飲まない生活に慣れて来ると思います。現に私は、断酒を続けなければならないという強迫感が薄まり、飲まないでいる生活が自然になりました。慢心は危険ですが、いつまでもアルコールに囚われ続けることもないと考えます。ワンパターンの生活リズムを刻むからこそ、その反発からか、却って常識に囚われない創造力が生まれて来るようです。柵(しがらみ)に囚われない自由な発想に我ながら驚くばかりです。
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かつては酒さえあれば何とかなるものと、さして気にもしなかった空き時間のことです。が、酒を断った身となってみると、時間が空きそうというだけで怯えてしまうほどなのです。そのストレスでパニック寸前となり、つい再飲酒の誘惑にかられてしまう人もいるようです。そんな際どい心境など健常な人にはとても想像できないと思います。どうしたらいいのでしょう?
断酒3ヵ月までは、一日が長いことはあまり気にならなかったと思います。どん底の体調から回復に向け歩み出したばかりで、とにかく必死でした。睡眠薬も処方されていたので、午前中の教育プログラム受講中にも坐ったままの姿勢でよく寝ていました。グーグーかいていた鼾が暫く止まったこともあったようで、呼吸が止まっていると大騒ぎされたこともありました。睡眠時無呼吸症候群の無呼吸状態は坐ったままの姿勢でもなるのだと知りました。そんなわけですから時間がゆったり流れているなど気付く余裕などなかったのです。時間がやけにゆったり流れていると気付いたのは断酒3ヵ月過ぎからでした。一日が長い、幼少期に経験したのとよく似た感覚でした。
お酒を飲んでいるとあっという間に時間が過ぎてしまいます。アルコールの麻酔作用で時間感覚も麻痺させてしまうからだろうと思います。アルコールを断つと、その反跳現象とでも言うのでしょうか、時間感覚が逆にとてつもなく遅く感じてしまいます。それで余計にイライラして落ち着かないのです。「一日のうち、飲酒していた時間の跡に断酒後は無聊な時間が空いてしまい、気持ちが不安定となって時間を持て余してしまう。その空白な時間をいかに手懐け、埋め戻すかということ」断酒後しばらく依存症者が皆苦手とする問題とは、すなわちこの “空白の時間” の問題に他ならないのです。
断酒10ヵ月後、“憑きモノが落ちた” 体験を経てからこのブログに投稿し始めました。“憑きモノが落ちた” という感覚はアルコールが完全に抜けたことを意味していたのかもしれません。そして、このブログに週一回投稿し始めて約2~3ヵ月経った頃、1週間が速く過ぎるように感じ始めました。それでも1日々々が過ぎる時間感覚としてはあまり変わりがありませんでした。主治医にこの話をすると、「そう、1週間が短くなって来たか・・・」と感慨深げな様子でした。
それまでの期間、私が専門クリニックで受けた生活指導と私自身が実践したことは次の通りです。まず専門クリニックの生活指導についてです。耳にタコができるぐらい口酸っぱく言われたものです。
○ 早寝・早起きなど規則正しい生活を送る
○ 毎日通院を続ける(午前8時~午後3時半頃)
○ 空腹状態を避ける
○ 甘いものが欲しかったら我慢しない
○ ノンアルコールビールは禁止
○ 勝負事は避ける
○ 疲れ過ぎを避ける
○ 周囲に断酒中だと明かす
○ 飲酒を彷彿させる危険な場に近づかない
○ 自助会に参加する
専門クリニックの生活指導の柱は、生活リズムの立て直しと、イライラする感情を予防して再飲酒を抑止することです。特に大切なのは生活リズムの立て直しです。
夜更かし⇒不眠⇒睡眠不足⇒寝覚めの悪い寝坊⇒後ろめたさ⇒だらしない生活に気分の落ち込み⇒昼過ぎから復調⇒夜更かし。
飲酒時代と同じ生活リズムの悪循環、この悪循環を何としても断ち切らなくてはなりません。
次に私が実践したことです。生活リズムの立て直しには毎日通院がうってつけと実感できていましたので、これを軸に肉付けすることだけを考えました。
○ 夜9~10時には就寝(朝4~5時起床)
○ 朝昼晩の三食をキチンと摂る
○ 夜の外出は避ける
○ 通院時は毎日最寄りの駅まで片道30分歩く(往復1時間)
○ 新聞を毎日欠かさず読む
○ 毎日PCを起動し贔屓のネットサイトにアクセスする
○ 異変や何か “気づき” があればPCにメモする
ある意味、変化に乏しいワンパターンの毎日ですが、これらを忠実に守り、ものの見事に実践し続けました。自助会AAは昼過ぎから始まるミーティングに限定し、断酒を始めて6ヵ月後から週一回、8ヵ月後からはさらにもう一回の週2回出席し始めました。夜のミーティングへの出席は今でも避けています。ブログへの週一回の投稿は、上述したように断酒10ヵ月後からです。ブログへの原稿作成作業もあり、週日のスケジュールがキッチリ固定されました。これに土日や休日の午前中に4時間行う路上のゴミ拾いが1年6ヵ月後から加わり、1週間のスケジュールが現在のものに固まって行きました。最早、“空白の時間” が生じる隙などありません。
“空白の時間” を避けるため、何を始めたら良いのか分からない方もおられると思います。自助会に毎日出席している方もいますし、さらに輪をかけるように朝昼晩の3回も自助会に出席し続けるなど頑張っている人も見かけます。恐らく “空白の時間” を避けるのが目的だろうと思っています。ここまでやることが果たして望ましい行動なのか、私には分かりません。
ところで、私は深く考えた上でブログへの投稿や路上のゴミ拾いを始めたわけではありません。ブログ投稿は、twitterやFace bookに飽き足らずにいたところ、自分史を書いてみようと言った患者仲間の話を聴いたのがキッカケで始めました。ブログなら長文の連載も可能だろうと考えたのです。路上のゴミ拾いは、通院中の専門クリニックの近くを散歩しているうちに何気なしに始めたものです。どうせやるなら自宅近辺をキレイにするのが筋だろうと発想を変えただけの話です。
“憑きモノが落ちた” 体験前には、事を始めるに際し、あーでもない、こーでもないとその成果や意義を捏ねくり回し、なかなか実行に移せないでいました。そんな私でしたが、ブログへの投稿や路上のゴミ拾いのどちらも、始めてみたら意外にオモシロくまんまと嵌ってしまいました。片や~脳の体操としてうってつけですし、此方~糖尿病の高血糖防止にも有用です。今では継続すること自体に意味があると、後付け(?)ながらその意義を見出しています。
何かやってみてもイイなと思いついたら即、行動に移してみることをお勧めします。行動の意味付けは後になってからでも構わない、意義は後からついて来るものだと思います。それと、これだけは強調しておきたいと思います。一日の出だし、特に午前中のスケジュールをしっかり固定することです。これは何よりも大切なことです。さらに、できるだけ長い距離を毎日歩くこともお勧めします。体調不良と大雑把に括られる自律神経失調の諸症状は、薬など飲まなくても、歩くことで復調するものだと医師から教わりました。ウォーキングなどでリズムよく歩くことは、単なる軽い運動ということ以上に意義のあることのようです。
ワンパターンの規則正しい生活リズムを刻むこと。これが “空白の時間” を生まないための、私流の時間との折り合いのつけ方です。ワンパターンの規則正しい生活リズムを完璧に刻んでいると、時間が自然に流れます。その内に飲まない生活に慣れて来ると思います。現に私は、断酒を続けなければならないという強迫感が薄まり、飲まないでいる生活が自然になりました。慢心は危険ですが、いつまでもアルコールに囚われ続けることもないと考えます。ワンパターンの生活リズムを刻むからこそ、その反発からか、却って常識に囚われない創造力が生まれて来るようです。柵(しがらみ)に囚われない自由な発想に我ながら驚くばかりです。
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規則正しい生活とウォーキングですね。
私も計画を立てるのは好きなんですが、実行となると(汗)
これからは暖かくなって来ますので、又ウォーキングに精を出すつもりです(^^)/
ウォーキングで身体に快いリズムが生まれ、
心はクールダウン間違いなし。
リラクゼーションとは、
しなやかな心 ―― 平常心でいられることのようですよ。
朝と午前が大事ということを教えられました。最近の自覚と符合しています。今の状況からは、何があっても9時5分の地下鉄に乗って、会社へ向かうということです。そこを過ぎると、あとは何か行けそうです。勤めも来年6月いっぱいで終わります。その辺で、乾杯したいと思うのは、私の認識不足ですね。
うつ病には運動や体操、早寝早起きがよく効くといわれています。
うつ病の治療に光療法というのがあって、
早寝早起きで朝の光を浴びると、体内時計を調節して
生体リズムが整えられるのだそうです。
予防にも効くと思います。
何のことはない、ぐうたらな“サンデー毎日”を避けるだけの話です。
>勤めも来年6月いっぱいで終わり、その辺で乾杯・・・
退職が1年延びたんですね。
依存症に治癒はありません。乾杯は遠慮しておきます。
時間の空白について本当に共感出来ます。
これもお酒と友達になってからだと痛感させられます。
ウォーキングなどでそこそこ長い距離を歩いていると、
いろいろなことを思い出したり、思いついたり、気付いたり
がありますよね。
歩くリズムが脳を心地よく刺激するのだと思います。
朝の光を浴びることも大切です。
是非、億劫だなーと嫌がる気持ちを断ち切って、
朝から動き回ってみてください。