夢・つれづれに

何時も夢とロマンを持ち、思いのままに綴りたい

形見の着物

2007年10月29日 | 今日のつれづれ

それは、奇跡に近い出来事が目の前で起こったのです。
国立文楽劇場に於いて『山村楽正傳承の会』が行われていた幕間の事、「ミッチャン」と呼ぶ声の向こうに、一人の華やかな女性が立っていたのです。
「嘘、ええ?何で?」と後は「どうしたの?」と言う言葉しか思いつかないほど驚きました。

話せば永~い事ながら彼女は我が師匠のにあこがれ自分は花柳流でありながらどうしてもお師匠さんに習いたいと若津也の門をくぐり、上方舞を勉強していたのであります。
私の立場としては面倒と言うか少し親切にしてあげ、その内にお酒を酌み交わし、徐々に仲良くなったその彼女が、突然東京に店を出すと言ったまま、私たちの前から姿を消したのが6年前、それから音信が途絶えていたものだから~

でも花柳の家元の会には出演していると風の便りには聞いていたくらいでまさかここに居るとは~

理由を聞いてみたらこれまた大笑い。

実は、花柳流の会が今日あると思い(本当は昨日、相当な勘違い)友達の楽屋見舞いを持って張り切ってきたらしいが(新幹線に乗って)看板が違っていたので唖然としたらしい(全くそそっかしい!)
でもそこはおおらかな彼女、山村流なら私に会えると思ったらしく客席に座っていたと言うわけです。

これって、亡きお師匠さんが遇わせて下さったのかな
今日は山村流の大御所の会だからそれなりの着物をと思ったのが形見として頂いた着物と帯だったのであります。
「次に大阪に来た時はお師匠さんにお線香上げに行くから(殊勝、々)付き合って~」と。

「はいはい」と言ったけどまだ狐につままれているようなおかしな感覚で劇場を後にしたのであります。