Wynton Kelly/Wynton Kelly
(Vee Jay LP-3022)
皆さん、ご存知ケリーのVee Jay3作目にあたります。タイトルが本人の名前と言うのも結構ありそうでないタイトルなのですが、ひょっとしたら名前そのものをタイトルに冠するほど、彼の魅力を余すところなく表現したアルバムなのかも知れません。一見渋みが横溢する"Kelly at Midnite"、管を配した"Kelly Great"という他の2枚も人気盤ではありますが、このWynton Kellyはカバーからしてややポップな配色で明るく楽しいケリー節が聴ける点で他の2枚とはやや違ったおもむきです。自分も最初は、at Midniteが好きでしたが、最近はこのアルバムの方が、よりケリーの本質をあらわしているのでは思っています。
ベースはPaul Chambers、ドラムスはJimmy Cobbのレギュラートリオで、曲によってSam Jonesがプレイしているようですが、自分のタコ耳ではどの曲がJonesなのか聞き分けられません。(情報お持ちの方はご教示ください。)まず、話題になるのは枯葉ですよね。ケリー節満載のこの演奏、何となくブルージーで影のある枯葉です。国内盤では、オリジナルの演奏よりもかなりの長めの別テイクも収録されていますが、5分という時間でいいきってしまうケリーの説得力にすごみさえ感じます。61年録音ですからこの時点では、彼はマイルスのグループにいたのでしょうか?枯葉や飾りのついた4輪馬車はマイルス御大の愛奏曲で、ここでは御大のコントロールから解き放たれた奔放なケリーがいいですね。もう一つのポイントはB面のJoe's AvenueとSassyの2曲の彼のオリジナルブルースです。3連を使いながらグイグイと12小節の中でソロを展開するケリーのプレイがとっても気持ちが良いですね。むしろこのLPの本質はこの2曲かなって思ったりもします。Chambers (Jones), Cobbの好サポートは言うに及ばずです。
所有盤はVee Jayの黒レインボウ盤モノラルです。オリジは赤レーベル/銀ロゴですかねぇ?この辺りもご存知の方、情報ください。DL102での再生では、国内ステレオ盤よりグッと芯のあるピアノサウンドに聴こえとても気に入っています。国内盤の魅力は枯葉別テイクでしょうが、エバンスと同じで2回も聴きたくないし、これだけ言い切ってしまった演奏があればalternate takeは不要です。興味はあってもいれるとアルバムの統一感が欠けますし、何と言ってもリリース時に省かれたテイクです。こう言うテイクを無神経にオリジナルテイクの直後に挿入する○○○○レコードさん、どうして?って感じです。まあ好みの問題ですけどね・・・