Rockin' In Rhythm/Sonny Criss
(Prestige 7610)
(Prestige 7610)
久々にソニー・クリスを聴いてみましょう。彼のジャズシーンへの関わりは1940年代後半にはじまり,来日直前に自殺するまで,非常に断片的で現れては消えの繰り返しです。こう言うアーチストも珍しいですよね。本格的にジャズレコードシーンに登場したのは1955年バディ・リッチグループに参加してからであり、この年代にインペリアルに3部作を発表,さらにマイナーレーベルのピーコックに吹き込みこれらはコレクターズアイテムとして有名ですよね。その後はプレステッジに数枚を録音し,精神病で活動を中断しますが,晩年にはザナドゥで奇跡的とも思える復活を果たします。最初から,演奏スタイルは全く変わらない,朗々と吹ききるそのアルトスタイルはブルース,バラード,60年代以降のポップチューンとどんなスタイルの曲でも一貫しており、本邦でも人気が高いアルトプレーヤーですよね。
今日アップするのは、プレステッジの6枚目にあたるアルバムです。1969年の録音で、メンバーはフィラデルフィア出身のピアニスト、エディ・グリーン、ベースにボブ・クランショウ,ドラムにアラン・ドーソンの4重奏団です。アルバムを聴いてみると、曲によってグリーンはエレピ,クランショウもエレキベースを駆使しているように思います。69年という年代を反映していますよね。選曲にもそれが現れ、ビートルズのエリナー・リグビーもA-1で取り上げられています。A-2のハロルド・アーレンの"When the Sun Comes"の彼らしいアルト的サブトーンを駆使した歌心あふれるバラードプレイが聞き物です。B面では,B-2の"Misty Roses"のプレイが好きです。この曲はドン・シュリッテンの娘Tianaのsuggestionで取り上げる事になったTim Hardinの曲ですが,ソニーのナチュラルな演奏は彼のオリジナルかと思わせるようなハマリのプレイと思います。
プレステッジのソニーのアルバムでは"Up Up & Away"が何と言っても有名でしょうが、この盤も個人的には捨て難い好盤と思います。ブルーレベル、シルバートライデントです。