That's it/Booker Ervin
(Candid 9014 jp reissue)
(Candid 9014 jp reissue)
60年初頭に現れたキャンディドレーベルはナット・ヘントフを producerとしてアバンギャルドでメッセージ性の強いアルバムを中心に21枚のLPを制作したと言われています。代表的なものはミンガスとかローチとかのアルバムですが,こんな精神性の高いアルバムの意図は,自分のようなノーテンキな人間には到底理解できないわけです。(笑)
こんなキャンディドにアービンの録音がある事は良く知られていますが,このアービンはどうでしょう?。アフリカンアメリカン色は決して希薄な訳ではなく、充分に黒人パワーを示すような選曲からもメッセージ性は伺えます。しかしストレートアヘッドなモダンジャズアルバムとしても充分に楽しめる内容であると思います。A-1の"mojo"も黒人のヴードゥー魔術を題材にしたミステリアスなオリジナルです。アービンのテナーは、テキサステナースタイルに根ざしたモノでしょうが、豪放でありながらどこかくらいイメージを持った彼独自の個性があり,結構ファンが多い所以だろうと思います。A-3の"poinciana"とB-1の"Speak Low"はいわゆるスタンダードですが彼の実力を計り知る好演と思います。特に、この急速調のspeak lowは自分の好きな演奏で購入時繰り返し聞いた思い入れの強い演奏です。ほかはすべてアービンのオリジナルですが,レギュラーコンボと言うべきFerix Krullのピアノ(ホレス・パーランの変名),太い音のGeorge Tuckerのベース,Al Harewoodのドラムのリズム陣の好演も見逃せませんね。このセットは後のBN盤でもきけますよね。特に、タッカーのピチカートが全編を通じて素晴らしいと思います。
どこかの中古屋で買った国内盤再発ですが,カバーデザインも好きで不思議な魅力のある愛すべきアルバムとなっています。