「皿回しの理論」

2009-01-11 21:41:07 | 司法試験関連
論文と択一、インプットとアウトプットという組み合わせからマトリックスを作ると4つのカテゴリーができる。
で、どの部分をどういう配分でやればいいのか、という質問を受けることが多いので少しコメントを。

各人の進み具合で全然違ってくるものなので一つの考え方だと思って下さい。

まずインプットですが、個人的には論文用インプットと択一用インプットという分け方は実際には無いと思います。ただ試験用に「インプット」という作業があるだけ。理由はガイダンスでもお話しましたが、択一と論文が同時にかつ同じ科目で(選択科目除く)で行われるという新試験の特色が挙げられます。論文用の論証にしても「事前に準備すべき論証」の暗記自体の負担も大きくないです。規範定立部分に使う論証は基本的には判例に準拠すればよいし、理由付けも厚く書くようなものではない。むしろ、本質的なことを端的に指摘できるかどうかが重要なわけで、択一用のインプット知識を利用して自分なりの言葉で書ければ問題ない。

とは言うものの、特に未修者の人の中には、基本的論点の書き方、流し方が良く分からない、という人も多いと思います。そういう時は論文用のインプット的なものを意識すればいいと思います。
要するに、軸足は択一用に「広く浅く満遍なく」知識を入れていくようにして、理解の浅い部分、どう書けばいいか分かりにくい部分は、論文向けインプット作業(答案構成を参照したりある程度書くパターンを覚える)を適宜入れて行く感じでよいと思います。
少なくとも、「民法択一インプットの時間」、「民法論文のインプットの時間」という形式的な分け方は必要ないと思います。あるのは、「民法のインプット」だけです。

アウトプットは、択一のスコアリング能力で全然違ってきます。択一に不安のある人は、まずは、択一問題演習が非常に重要です。択一にあまり不安の無い人は、感覚が鈍らない程度に演習を入れていけば良いと思います。私は「皿回しの理論」と呼んでいますが、皿回しは沢山の皿を同時に回さないといけませんが、だからと言って、全ての皿が常に全開で回っていなければならないわけではないのです。でも回りきれなくて落ちて割れてしまってもいけない。ここのバランス感覚が重要です。対応すべき科目が多い試験ではこの「皿回しの理論」はとても役に立ちます。全科目同時にフルスロットルは不可能です。しかし忘却の彼方的な科目が出てきてもいけません。皿回しでは、皿の回転力が落ちて今にも落ちて割れそうなときに、くくっと刺激を与えて回転力を上げます。この要領です。

肢別本は利用方法に注意です。個人的には、あれはある程度勉強が進んだ人が電車内などで知識の確認用に使うものと見ています。少なくとも、肢別本をインプット素材の基本に据えるのは危険だと思いますし机に向かってガツガツやるものではない様な気がします。もはや第1回本試験前とは事情が全く違います。色々な問題集、択一用インプット素材・講座が出揃ってきていますから、気をつけましょう。やっている人はガッツリ勉強しています。択一を突破すること自体のハードルは高くなってきていますし、ガイダンスでも指摘したように、択一は通れば良い、というものではないのです。「スタートラインより後ろにいた」状態になってはいけないのです。貪欲に点をとりに行くべきです。
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