旅行に出かけるたびに、博物館・美術館を訪問して楽しんでいる私ですが、考えてみれば地元の博物館・美術館には、地元を離れて以降、あまり行っていません。
そこで、ちょっと前から気になっていた仁別森林博物館に行ってみることにしました。
夕べから今朝までの激しい雨(大雨洪水警報がでたそうな)が嘘のように、きれいな青空が広がっていることですし。
この博物館は、数十年前に学校行事で見学して以来のご無沙汰です。公共交通機関が通っていないし、11月中旬~4月中旬は閉館になってしまうので、クルマで帰省する夏しか行くチャンスがないわけですよ。
アクセス方法については、Wikipediaによりますと、
一部のガイド本やホームページにはバスで行けるかのような記述があるが、2007年現在、バス路線は通じていない。かつては秋田市交通局がミニバス路線を開設していたが廃止された。最寄りの秋田中央交通仁別リゾート公園線中島橋バス停(または仁別バス停)からでも、なお10kmほどの道のりがある。クマ出没
などの危険もあり徒歩での移動は勧められない。
だそうで、またクマですよ。人里離れた山の中とはいっても、秋田市内なんですけど…
さて、それはともかく、カーナビをセットして、仁別森林博物館に向かいました。
ルートの途中から林道になるのですが、この林道が狭い! 昔、学校行事で行ったときも、狭い道をくねくね行った記憶があるのですが、それでも貸切バスで行ったはずですので、ある程度の道幅があるものだと思っていましたが、冗談ではなく、道が狭い! 林道部分全行程の2/3くらいは、小型乗用車でもすれ違いが不可能な狭さ、そしてブラインド・コーナーの連続です。
ナビがなければ、道を間違ったのではないかと不安に感じたはずです。
ただ、こんな道ですので、クルマがほとんど走っていません。約10kmの林道区間で、すれ違ったクルマは、行きが1台、帰りが3台でした。
そんな林道を抜け、目に入った仁別森林博物館は予想外のきれいさでした。
博物館の形自体は、私の古い記憶通りですが、こんなにきれいだとは思いもよりませんでした。実は、1964年に開館したこの博物館は、昨年5月に内外装や展示物をリニューアルしたばかりなんだそうです。おぉ、それはそれは です。冬期閉館期間の長さに加えて、毎週火・水・木曜日が休館日(祝祭日を除く)と、1年のうち1/3も開館していない博物館を45年ぶりに改装するなんて、さぞや決心が必要だったことでしょう。ちなみにこの博物館は国の施設です。
それはともかくも、展示物は、点数こそ多くはないものの、なかなか充実していたと思いました(展示の概要は、博物館のパンフレットをご参照ください)。係員さんも懇切丁寧に説明してくれましたし。
展示の中で最も興味を惹かれたのは、一対の切り株でした。どちらも直径20cmほどの切り株で、一方は天然林のスギで、もう一方は人工林のスギ。両者の違いは、ド素人の私でも一目瞭然でした。天然林のスギは、中心部から外縁部にビシ~っと、年輪が細かく並んでいるのに対して、人工林のスギは、外縁部こそ年輪が細かくなっているものの、中心部の年輪はかなり間隔が空いています。係員さんの説明によりますと、自然林のスギは樹齢170年ほど、人工林のスギは樹齢30年(だったかな?)ほどなんだそうです。
人工林では、日当たりの良い斜面に、間隔を置いて苗を植えて育てていくので成長が早いのに対して、天然林のスギは、他の草木と日光を奪い合って育っていくで、じんわりと時間をかけて育っていくのだそうな。
こうして成長度合いがまるで違う天然林のスギと人工林のスギ、商品としての価値も、当然ながらまるで違います。
まっすぐ通った木目の美しさが大きな売りであるスギの場合、見た目の優劣は大きく商品性に響きます。また、年輪が詰まっていないと、樽など液体を入れる容器に加工したとき、どうしても漏れが発生するのだとか。
この話、人間の成長にも相通じるところがあるような気がします。
上の写真は、博物館の外に展示されていた「清酒の仕込み樽」。
30石(ドラム缶30本分=5.4キロリットル)仕込めるもので、昭和20年頃まで使われていたそうです。「天然秋田スギの良材を使用」という説明書きが貼られていました。
仁別森林博物館の周りは、「仁別国民の森」として、散策路やピクニック広場などが整備されています。
これからの行楽シーズン、旭川のせせらぎの音を聞きながらの散策や「なべっこ遠足」なんぞ楽しいかも。
そうそう、周りには、食堂やコンビニなど、一切ありません(はあります)ので、食事や飲み物は持参しなければなりません(ゴミも持ち帰りましょう)。
短い時間でしたが、マイナスイオンを吸収いたしました。