「2週連続の上野公園(中編)」のつづき、先週末に東京国立博物館(トーハク)で観てきた特別展「黒田清輝」の見聞録の最終回です。
代表作「読書」はオーラを放っていた。
黒田清輝の代表作といえば、「教科書
に載っていた」はずの「湖畔」と「読書」でしょう。
私、「湖畔」は、6年半前に黒田記念館(記事はこちら)で拝見していましたが(実際に拝見するまで、この作品が油絵だとは思いませんでした)、「読書」を拝見するのは初めてだったかも…
で、この「読書」、オーラを放っているようでした
2次元のタブローのはずなのに、絵そのものが光を放っているように見えます
いったいどんなライティングが施されているのか不思議
に思って、後ろの天井を見上げたりして…。
と、同じように、後ろを見上げる観客の方がいて、やはりなぁ…と思いましたです。
東京駅丸の内駅舎の復原
にあたっては、貴賓室の壁画
も復原して欲しかった
特別展「黒田清輝」の会場の中に、八角形のエリアがありました。
ここは、東京駅丸の内駅舎の「帝室専用玄関壁画 再現」のコーナーで、説明板によるとこの壁画は、
鉄道院は「山の幸」「海の幸」の主題を神代の時代設定で描くよう(黒田に)希望したが、黒田は時代を「現代」とし、山の幸として機関手、農業、鉱業及び機械、操車、海の幸として航手、水産、運輸及び造船、漁業、水難救助を主題とした作品が入口から奥に向かって並ぶように配置した。
だそうで、戦災(東京空襲)で焼失してしまったのだとか…。
再現されていたのは、モノクロで、しかも、半分だけ
せっかくの機会なんだから、全部再現してよ
と思ったのですが、どうやら、オリジナルの資料がないみたいです。
手許にある、鉄道博物館で2014年末~2015年初に開催された「東京駅 開業100周年記念 100年のプロローグ」展の図録を括ると、、
載っていました、この幻の壁画
この写真(東京駅開業当時の記念絵はがき)を見ると、あれま、特別展「黒田清輝」で見た展示そのままだ
そして、手前にあったはずの壁画の再現は無し…
ということは、この図録に載っている、上の写真他数点が、黒田清輝&和田英作による壁画を現代に伝える数少ない資料なのかも…
脇役が豪華
だった
「中編」で、「低いテンションで臨んだ『黒田清輝』展」と書いたわけですが、正直、黒田清輝の作品には大きなインパクトを与えてくれる作品は多くありませんでした。
はっきり言って、あまり面白くない…
でもその代わり、黒田に影響を与えた画家などの参考出品作が面白かった
モネとか、シスレーとか、シェヴァンヌとか、ピサロといった作家の作品が日本各地の美術館(ピサロは埼玉県立近代美術館所蔵の「エラニーの牛を追う娘」)が集結
加えて、黒田が大好きだったというミレーの「羊飼いの少女」が、
はるばるオルセー美術館から出張してきていました
これらの脇役(失礼)の中では、ブルトンの「朝」とか、シャヴァンヌの「冬」(パリ市庁舎控えの間のための下絵)を「お持ち帰り」したかった…
「木かげ」から別の作品を連想した
妙なポーズの女性を描いた作品がありました。
「木かげ」という作品なんですが、この女性は何をしているんでしょ?
この作品を観て連想したというか、思い出したのは、、、、
というわけで、ワクワクドキドキ…なんてことはなかったものの、それなりに楽しめた特別展「黒田清輝」でした。