Activated Sludge ブログ ~日々読学~

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●原発断層問題: 断層直上の定義とズレの許容値の議論に矮小化

2013年02月12日 00時00分56秒 | Weblog


CMLの記事(http://list.jca.apc.org/public/cml/2013-January/022184.html)とasahi.comの社説(http://www.asahi.com/paper/editorial20130204.html)。

 「原子力規制委員会の「活断層認定」が御用学者に骨抜きにされる」と同時に、「断層直上の定義」や「断層からのズレの許容値」、そういったことに議論を落とし込んでいくつもりだろう。さらに「計算」や「調査継続」といった時間稼ぎと忘却待ち。「利益相反」もあるようだ。原子力ムラ住人に〝議論〟をリードさせ、評価させ、判断させている現状に、どうしようもない絶望を感じる。

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http://list.jca.apc.org/public/cml/2013-January/022184.html

[CML 022348] 【紹介】週刊誌でも規制委の「利益相反」批判記事
杉原浩司(Koji Sugihara) ・・・・・・
2013年 1月 27日 (日) 23:47:34 JST

東京の杉原浩司(福島原発事故緊急会議/緑の党 Greens Japan)です。
連投すみません。[転送・転載歓迎/重複失礼]

もうご覧になった方もあるかと思いますが、発売中の★『週刊金曜日』(1/25号)の冒頭「金曜アンテナ」欄に「規制委検討チーム、電力会社などから4500万円受け取る 4人のメンバー解任を要請」と題して、「原子力規制を監視する市民の会」が1月18日に行った要請行動を写真付き記事にしていただいています。要請内容もコンパクトにまとめてありますので、よろしければご覧ください。

ちなみに、原子力規制委広聴広報課の佐藤暁課長による「電力会社などから寄付金をもらっていても、委員一人ひとりの意見を聞いて、最終的に委員会がとりまとめるので中立性を担保できると考えている」との珍回答も紹介されています。

ちょうど発売日が毎日夕刊「特集ワイド」の利益相反についての記事掲載( http://mainichi.jp/feature/news/20130125dde012010003000c.html )とタイミングよく重なりました。

また、これも発売中の★『週刊プレイボーイ』(2/4、No.5号)には、ルポライターの明石昇二郎さんによる<原発直下の活断層審査が骨抜きにされる!~前編>「自民政権復活で原発世論操作が息を吹き返した!?」が4ページにわたり掲載されています。ウェブ版にも一部が載っています。

週プレNews(1/22)
◆原子力規制委員会の「活断層認定」が御用学者に骨抜きにされる(明石昇二郎)
http://wpb.shueisha.co.jp/2013/01/22/16713/

ウェブ版の内容は本誌では前半に掲載され、後半には遠田晋次・東北大学教授(電力中央研究所OB)へのインタビューが詳しく載っています。以下は彼の発言の抜粋です。

   「とにかく問題なのは、極端すぎる活断層変動地形の評価が
    すべてを決めているということ。その点、保安院での評価は
    健全だったと思いますよ」
   「1mずれるのでは完全にアウトだと思いますけど、
    10cmまでなら許容範囲だとか」

遠田教授は、工学的なシミュレーションによって地震による「ずれ」は予測可能だとして、たとえ原発敷地内に活断層が見つかっても、建屋以外の施設の真下にあり、ずれ予測が小さければ運転継続(や再稼働)は可能だと言うのです。

最後に、「地震・津波に関わる新安全設計基準検討チーム」会合(12/7)における谷和夫・防災科学技術研究所兵庫耐震工学研究センター研究員(電力中央研究所OB)の

   「それ(破砕帯)が地表にどういうような影響を及ぼして、
    それが施設に対してどういう影響があるのかということを
    きちんと計算をして、照査をして、アウトかどうかを審査しましょう」

との発言が紹介されています。遠田教授とまったく同質のトンデモ理論です。新たな安全神話のねつ造とも言うべきこうした主張をまかり通らせるわけにはいきません。

1月29日(火)に原子力規制委で行われる「地震・津波に関わる新安全設計基準検討チーム」の第8回会合の行方が注目されるゆえんです。

http://www.nsr.go.jp/committee/yuushikisya/shin_taishinkijyun/data/0008_00.pdf

※なお『週刊プレイボーイ』の明石昇二郎さんの記事続編は、28日(月)発売号に掲載予定です。ぜひ、ご注目ください。
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http://www.asahi.com/paper/editorial20130204.html

2013年2月4日(月)付
日本原電廃炉の道筋考えるとき

 敦賀原発2号機(福井県)の真下を通る断層について「活断層の可能性が高い」とする報告書案を、原子力規制委員会の専門家会合がまとめた。
 敦賀原発を所有する日本原子力発電は強く反発している。他の電力会社からも委員の専門分野が偏っているといった批判がある。
 このため規制委は、別の専門家にも意見を聞いたうえで最終判断することにした
 議論を尽くすこと自体に異論はない。ただ、敦賀2号機の断層は、専門分野を問わず委員の見方が一致している。新たなデータが出てこない限り、結論は変わるまい。
 そもそも、安全性に疑いがある原発は予防的な観点から動かさないことが、福島事故を踏まえた大方針のはずである。いたずらに決定をひきのばすだけの抗議なら、認められない。
 報告書案が正式に認められれば、原電は廃炉を迫られる。猛反発するのは、それが経営問題に直結するからだ
 原電は電力各社が共同で設立した。ほかに休止中の原発が2基あるが、すでに運転期間が40年を超えていたり、地元が反対していたりして、再稼働のめどが立たない。
 敦賀2号機が廃炉となれば、収入源が途絶える。会計上の処理次第では、債務超過になるとの試算もある。
 従業員や地元の雇用・財政に与える影響はできるだけ避けたい。原電には廃炉作業中の原発も1基ある。使用済み燃料棒を含め、保守・保管がおろそかになってはならない
 東京電力や関西電力が、原電からの電力供給が止まっているのに、契約の関係から維持費相当分を原電に払い続け、電気料金に転嫁している問題もある。これも看過できない。
 全国には活断層の可能性が指摘される原発が複数ある。新たな基準や知見に基づき、廃炉を余儀なくされる原発はまだ出るだろう。
 一度は国が運転を認めた原発だ。政府は傍観せず、課題を整理し、必要なコストをだれがどう負担するかを含めて、早急に対策を講じるときだ
 そんなさなか、規制委の事務局である原子力規制庁の審議官が、敦賀原発の報告書案を公表前に原電に渡していたことが発覚した。あまりに緊張感に欠ける行為で、あきれるしかない
 法律でどんなに独立性・中立性をうたい、専門家たちが信頼回復へと踏ん張っても、無自覚な官僚の一つの行動がすべてを崩す。猛省を求めたい。
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