「敬老の日の」の東京新聞の社説【週のはじめに考える 記憶の力、伝える力】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014091402000161.html)。
『●山本作兵衛翁の作品がユネスコ世界記憶遺産に!!』
『●記憶遺産その後 ~山本作兵衛翁のスケッチブック見つかる~』
『●「筑豊よ 日本を根底から
変革するエネルギーの ルツボであれ 火床であれ 上野英信」』
『●筑豊の炭鉱記録画家山本作兵衛翁の記憶遺産、ユネスコが展示打診』
「映画「坑道の記憶~炭坑絵師・山本作兵衛~」(大村由紀子監督)は、九州の名もなき一人の坑内員が、画用紙に墨で描いて残した記憶の記録・・・・・・メディアでは戦場を知らない人たちが、矮小(わいしょう)化された戦争を勇ましく語り散らしています」・・・・・・山本作兵衛さんがヤマ=炭鉱について残した「記憶の記録」。戦争の「記憶の記録」がキチンと代々伝えられているでしょうか? いまアベ様達は「アメリカのために戦争できる国」へ、壊憲を着々と進めています。「騙されることの責任」、そして「考えない」無責任。
『●吉永小百合さん、「核と人は共存できない」
「ゲームやコミックスで知っている戦争ではないか?」』
『●原爆投下と東京電力原発人災と「積極的平和主義」と:
すぐに忘れる国、考えようとしない国』
『●アベ様のオツムの中身のネタ元:
「憲法改正、愛国心教育、自虐的歴史教育是正、戦後レジーム脱却」』
『●「騙されることの責任」とハンナ・アーレント氏「考えないことの罪」』
『●東京新聞の心に沁みた記事【園長から平和の伝言 保育者の思い】』
『●いろんな意味で疲れます・・・
住民基本台帳活用とアイドルによる「番宣」で「果てしない夢」へGO!』
『●「戦争の不条理を問い掛けるベルギーの絵本」『ちいさなへいたい』』
『●「戦争も、原発も、本当の怖さを知る人の言葉をかみしめたい」:
あ~、アベ様らは聞く耳持たず』
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【http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014091402000161.html】
【社説】
週のはじめに考える 記憶の力、伝える力
2014年9月14日
周りの景色が少しずつ、変わり始めているようです。聞かせてください。あの時何があったのか。私たちは記憶のチカラを信じ、それを伝え続けます。
エンドロールが出る前に、年輪を刻んだ男の顔が大写しになりました。しわの一つ一つから、記憶という名の“お宝”がしたたり落ちてくるようです。
映画「坑道の記憶~炭坑絵師・山本作兵衛~」(大村由紀子監督)は、九州の名もなき一人の坑内員が、画用紙に墨で描いて残した記憶の記録です。
◆長男戦死をきっかけに
三年前、作兵衛さんがヤマ(炭坑)を描いた絵が日本から初めてユネスコの世界記憶遺産に登録されて、一躍脚光を浴びました。
作兵衛さん。一八九二年、現在の福岡県飯塚市の生まれ。その年に筑豊炭田の産炭量が、百万トンを超えました。
十四歳から半世紀、作兵衛さんはあちこちのヤマを渡り歩いた。
文明の波に洗われたこの国の青春時代。石炭は近代化のエネルギー源だった。作兵衛さんの人生に、その盛衰が重なった。
二十一番目に入ったヤマが閉山になり、六十四歳で炭鉱会社の事務所で警備員の仕事に就いた。自己流で絵を描きだしたのは、それからだった。
一人の夜、二十三歳で戦死した長男の面影が頭を離れなかった。悲しみの記憶から逃れるように、作兵衛さんは無心に絵筆を執った。記憶の坑道をまっしぐらに駆け降りて、そこから構図や色彩を掘り出すように次々と。
坑道では夫婦一組。男は先山(さきやま)。下帯一つで切り羽に這(は)って石炭を掘り出します。後山(あとやま)の女は乳房もあらわに腰巻き一つ。亭主が掘った石炭を台車やかごで運び出す。落盤や爆発事故とは隣り合わせ。狭くて暗い坑道の中の重労働。それなのに、作兵衛さんの描く絵には、不思議に光が差しています=写真、RKB毎日放送提供。
九十二歳で亡くなるその日まで、作兵衛さんは絵筆を離しませんでした。描いたそばから人にあげてしまうので、生涯に何枚描いたのかさえ、分かりません。
◆庶民の記憶の中にこそ
世界遺産コンサルタントのマイケル・ピアソンさんは、映画の中で語ります。
「日本の皆さんは国宝に価値があり、教科書に載っている歴史の方が
一人の坑内員が語る歴史よりも大切だと考えていたはずです。
でも私は歴史はあらゆる側面から語られる必要があると思う」
庶民の記憶の中にこそ、飾らない、作為も隠し事もない真実の歴史があって、真実であればこそ、国境を超えて人々の心に響くチカラを持てるのでしょう。
作兵衛さんは画帳の裏に書きました。
<地球の上に軍人あり武器がある以上絶対戦争、
人殺しが起こらないと予言ができませうか。
文明を誇る先進国ほど原爆実験に大童(おおわらわ)
ではありませんか->
ありのままの体験や記憶のチカラが、今ほど大切な時はありません。この夏の長崎平和祈念式典。被爆者代表の女性(75)が述べた「平和への誓い」に、あらためてそれを実感させられた。
「被爆者の苦しみを忘れ、なかったことにしないでください-」
作兵衛さんと同様に、記憶のひだからしたたるような言葉のチカラを感じます。原爆という世界史に類のない凄絶(せいぜつ)な体験と記憶の支えがあるからです。切り貼りされた原稿を読み上げるだけの首相とは、何とも見事な対照でした。
メディアでは戦場を知らない人たちが、矮小(わいしょう)化された戦争を勇ましく語り散らしています。キセキとカンドウで粉飾された空虚な英雄たちが、ネットの上を闊歩(かっぽ)します。感動も勇気も、誰かからいただくものではありません。自らの心で感じるもの。体験や記憶の底から湧いて出るものなのですが。
◆私たちが伝えて残す
作兵衛さんの映画の終幕近く、孫の一人がつぶやきます。
「えらいもん残してくれたねえ。僕ら大変なんですよね。ま、がんばります。正しく伝えていきます」と、まんざらでもなさそうに。
真実の記憶はこうして記録になって、守られ、そして伝えられ、未来を形作っていくのでしょう。
あすは敬老の日。ねえ、おじいちゃん、おばあちゃん、昔のこと、人生のこと、戦争のこと、語ってよ。私たちが伝えますから。
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