(2022年10月20日[木])
本田宗一郎さん「―――仮に息子さんがホンダに入りたいといったら。「入れないね、わたしは。」…」。どこまでその〝社風〟が維持されているのかどうかは知らないが。
『●『本田宗一郎との100時間 燃えるだけ燃えよ』読了』
「城山三郎著。講談社文庫。1988年2月刊
(1993年12月第12刷)。」
「本田宗一郎と藤沢武夫、トヨタとは明らかに違うその思想と文化。
《…何よりもその私心私欲の無さである。…二人は公私混同も
きびしく戒め、ついぞ、その会社を私物化することなく、
同族化することもなかった。…二人とも金には潔癖だった…》
《金もうけとは別のものを―――。それを思想というのか、
文化というのか。…「トヨタが新しいものを生み出してるって、
あんまり聞かねえな。お金持ってるとか、利益生みだしてるとか、
たいへんなものらしいが、金融業ならいいけど、生産企業が…」》
《「―――仮に息子さんがホンダに入りたいといったら。
「入れないね、わたしは。」…」》
『●『ニセ札はなぜ通用しないのか?』読了』
「企業が社員に押しつける「水行(みそぎ」」のあほらしさ。
息子を入社させなかった本田宗一郎、松下幸之助との違い。」
『●犬がワンと鳴き、飼い主が喝采する、というお話』
『●「特集「3・20」 地下鉄サリン事件から20年」
『週刊金曜日』(2015年3月20日、1032号)』
「【井上久男の経済私考/F1復帰するも経営は落ち込むホンダ
失われた独自性と「ワイガヤ」の社風は戻るか】、
《…ワイワイガヤガヤと議論しながらもの造りに励む明るい
風通しの良い会社という意味だが、現状はその真逆状態にある。
…斬新な商品を出せなくなった。…「トヨタがやっている
TQM活動をホンダは真似しすぎたから」…トータル・
クオリティ・マネジメント…社員自らが独自の斬新なアイデアを
出せなくなった…ソニーと同様にホンダも「らしさ」を失って
しまった》。復活してほしい
(『本田宗一郎との100時間 燃えるだけ燃えよ』…》
日刊ゲンダイのコラム【佐高信「追悼譜」/創業者・本田宗一郎と久米是志元社長の大論争はホンダそのものだった】(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/312782)によると、《本田技研で河島喜好から久米へ社長がバトンタッチされる時、創業者の本田宗一郎は社員に向かって、こう演説した。「ホンダの社長は代々くだらんやつばっかりだったから、あんた方がしっかりしなきゃどうしようもない。オレもくだらなければ、オレが後継者に選んだ河島もくだらなかった。くだらない河島だから、くだらない久米しか社長に選べなかった。したがって、みんなにしっかりやってもらわなきゃ困る。ホンダは社長が偉くて引っ張るんじゃなくて、みんなが引っ張っていくのだから、よろしく頼む」》。
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【https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/312782】
佐高信 評論家
1945年山形県酒田市生まれ。「官房長官 菅義偉の陰謀」、「池田大作と宮本顕治 『創共協定』誕生の舞台裏」など著書多数。有料メルマガ「佐高信の筆刀両断」を配信中。
佐高信「追悼譜」
創業者・本田宗一郎と久米是志元社長の大論争はホンダそのものだった
公開日:2022/10/17 06:00 更新日:2022/10/17 06:00
■久米是志(2022年9月11日没)
(久米是志氏(C)日刊ゲンダイ)
本田技研で河島喜好から久米へ社長がバトンタッチされる時、創業者の本田宗一郎は社員に向かって、こう演説した。
「ホンダの社長は代々くだらんやつばっかりだったから、あんた方がしっかりしなきゃどうしようもない。オレもくだらなければ、オレが後継者に選んだ河島もくだらなかった。くだらない河島だから、くだらない久米しか社長に選べなかった。したがって、みんなにしっかりやってもらわなきゃ困る。ホンダは社長が偉くて引っ張るんじゃなくて、みんなが引っ張っていくのだから、よろしく頼む」
これには「いいぞーッ」と野次がとび、退任する河島は「おニイちゃん、ご苦労さん。こっちに来いよ」と言われて壇上から降ろされ、社員の手でワッショイワッショイと胴上げされたという。本田はオヤジ、本田のパートナーで副社長だった藤沢武夫はオジキ、河島はおニイさんと呼ばれていたが、そんな開放的雰囲気は「会社を1つの考え方でまとめてはいけない」という本田の持論から生まれた。それは自らをも否定するような激しいものだった。
本田が社長の時、エンジンを水冷にするか空冷にするかの大論争があった。本田は「砂漠の真ん中でエンストした時、水なんかあるか」と言って空冷を主張した。
しかし、「それでは公害のないエンジンは開発できない」と、公害規制をクリアする面からも水冷でなければならないと考えたのが、当時の若手技術者の久米や川本信彦だった。
血の気が多い本田は、手が早くて、よく久米や川本をスパナで殴ったといわれたが、それほどのワンマンだから、もちろん本田も自説を曲げない。
わからず屋のオヤジ(本田)に頭にきた久米は辞表を出して四国巡礼に出かけたという話もある。
この大論争は、藤沢が間に立ってまとめ、結局、エンジンは水冷にすることになった。この時、空冷にしていたら、いまの本田技研はなかっただろうとも言われる。
それほどの大きな分岐点だったのだが、その後、本田とぶつかった久米、川本が社長になるのである。
本田はこの一件で「自分には技術がわからなくなったのかもしれない」と思い、退任する。会長にもならずにスパッと退いて、以後、出社しなかった。本当は会社に出たくてしょうがないけれども、行けば口を出してしまう。それで、東京の八重洲ブックセンターの近くに小さな事務所を構えて、ひたすら絵を描いていた。
久米には一度インタビューしたことがある。当時、私は清瀬に住んでいて、定期券と一緒になった名刺入れから名刺を出したのだろう。
何気なく久米はそれを見ていたのに違いない。「私も清瀬に住んでいたことがありますよ」と言われて、小さなことにもよく気がつく人だなと思った。(敬称略)
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