エリクソンの小部屋

エリクソンの著作の私訳を載せたいと思います。また、心理学やカウンセリングをベースに、社会や世相なども話題にします。

真の改革は、人間皆兄弟を証明する

2015-09-04 06:42:04 | アイデンティティの根源

 

 

 ルター神学は、賛否両論があったと言います。

 Young Man Luther 『青年ルター』p.223の、下から4行目途中から。

 

 

 

 

 

歴史を見る心理学者だけが、しかしながら、価値が特定の時代に、いかに有効かを疑うことができます。この修道士(ルター)が自由にものを言うとき、ルターは自分の言葉と態度で、幅広い層の人たちが、何が正しくて、何を欲して、どうなるべきか、を、ハッキリと分かる、人間に対するイメージを、示したわけです。ルターの教えを福音主義のまとめる神学的な根拠がどんなものであっても、ルーテリアン教会や他の宗教改革教会において、ドイツやその他の国々において、さらには、カトリック教会の反宗教改革においてさえも、いろんな人にルターが影響力を及ぼしたことから、その神学的根拠が、広くいきわたることになりました。

 

 

 

 

 

 真の改革は、ルターの宗教改革がそうであったように、敵意を持つ人までも、影響されてしまうほどの力がある、ということですね。それは、真の改革が、人間誰もが持つ傾向と深いところで繋がっているからでしょうし、敵も味方も、深いところで繋がっていることも示している、と言えますでしょう。

 ですから、真の改革は、「人間皆兄弟」を経験の中で証明するものになるはずですよね。

 

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社会病理の温床

2015-09-04 05:47:20 | エリクソンの発達臨床心理

 

 

 「お互いに価値を認め合う」範囲が広ければ広いほど、「仲間」になれるメンバーが増えます。すると、反社会的な行動をする人も、自殺や引きこもりが減ります。日本で、無差別殺傷事件が後を絶たないのも、犯罪を繰り返す人が多いのも、あるいは、毎日1000人の人が自殺しようとしたり、100万人以上の人が引きこもったり、毎年9月1日に1000人の子ども(18才未満)が自殺しようしたりするのも、この「お互いに価値を認め合う」範囲が、日本では極端に狭いからです。

 The life cycle completed 『人生の巡り合わせ、完成版』、p72の新しい章の第2パラグラフから。

 

 

 

 

 

 自分を確かにさせることの真逆が、上手く自分を確かにさせることができないことです。上手に自分を確かにさせることかできないことは、よくあること、というだけではなく、必要な経験なんですが、心の病からくる引き込もりによって悪化したり、あるいは、心の病による引きこもりをますます悪化させたりする、核になる障害を引き起こすものです。

 

 

 

 

 

 自分を確かにさせることができないでいることは、自分を確かにさせる過程においても、必要です。自分を確かにされた人で、かつて、自分を確かにさせることができない時期を経験したことのない人など、1人もいませんよね。

 しかし、やはり「お互いに価値を認め合う」範囲が狭い社会ほど、自分を確かにさせることが困難ですから、長期に自分を確かにさせることができない人が増え、ひきこも人や社会病理も増える、という訳です。

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