今晩も、日本の個人と組織の問題を考えます。
西武と言えは、西武鉄道、西武バス、西友などを傘下に持つSEIBUを想像します。個人的なことですが、私も国立市民として、西武のことは、小学校4年生で習いました。というのも、現在の国立駅の南側は、「碁盤の目」に整然としていますし、大学通りがヨーロッパの目抜き通りのようにゆったりと造られているのも、ここの山林開発をした、西武グルーブの創業者、堤康次郎率いる「箱根土地」のおかげですからね。一橋大学を水道橋駅近くから、国立に誘致したのも、堤康次郎の功績だとか。今現在も、大学通りの歩道などは、西武グルーブから国立市が借りていて、毎年借地料を払っているはずです。
でも、今晩は、そっちの西武ではなくて、西武学園の方ですね。私も、所沢の「国立秩父学園付属保護指導職員養成所」にお世話のなりましたから、そんな名前の建物が所沢にあったような気がします。西武学園は、Wikipediaによれば、所沢の調理師学校がベースになっているとのことですからね。所沢はSEIBUの本拠地ですから、こちらも西武なんでしょうかね。
その西武学園の付属の小学校の校長で、学園長でもある佐藤仁美さん(44才)が、学校のお金を1,500万円も私的に使った、との報道が、昨日9月5日にありました(http://www.asahi.com/articles/ASH945T5KH94UTNB00Z.html?ref=nmail)。これは詐欺ですよね。刑事犯罪ですね。報道によると、佐藤仁美さんは全額を学園に返して、全ての役職を辞任したそうです。お金を返したって、詐欺罪が免じられる訳ではないけれども、裁判になった時に、情状酌量になって、実刑を免れる可能性が高くなりますからね。まぁ、そういうことでしょう。
この佐藤仁美さん、西武学園の創業者で、現在も理事長を務める佐藤英樹さん(80才)の長女だそうです。この佐藤仁美さん、「学園の仕事」を口実に、「12年7月~今年2月に英国や米国に9回出張。旅費や通訳費などの費用は計約7154万円に上った。だが、出張計画書や報告書の提出がなかったり、支出の使途が不明朗だったりしたため、このうち約1482万円について「不適切な支出」」だったようです。東海岸はフロリダのデズニーワールドに行ったり、西海岸はカリフォルニアのヨセミテ国立公園に行ったりと、学校のお金で遊びほうけていたらしい。おそらく、これだけじゃないでしょうね。今現在明らかになった「バカ丸出し」は、「バカ丸出し」の氷山の一角でしょう。
だけど、このバカ丸出しを止める者がいなかった。先の朝日新聞によれば、「発覚が遅くなった点について「理事長の長女だから見逃されてきたのか」との問いに対し、調査委で事務作業をした職員は「おおむねそういうことだ」と語った。別の学園関係者も「理事長の長女だから、誰も意見できない雰囲気があった」と証言した。」とのことですよ。
この前のブログにもご登場いただいた弁護士の久保利英明さんによれば、佐藤仁美さんの不正が見逃されていたのは、「学校法人はそもそも会計があいまいになりがちなうえに、同族経営という要因が加わ」り、「理事に第三者が入ることも少なく、透明性が低い。同族の経営陣に人事権を握られていると内部で意見も言いにくく、子どもを通わせる父母も立場が弱い。結果、歯止めがきかなくなる」ということです。学校の経営の権力が、集中し、チェック・アンド・バランスが効かなくなるわけですね。東芝のような企業でさえ、不正と犯罪のチェックが叶わなかったのですが、私学もそれ以上に不正と犯罪のチェックが難しいことが、今回の事件から明らかになりましたね。
解説策は? 先に東芝の犯罪と不正について記したことと同じです。すなわち、弁護士の久保利英明さんの言葉です。
「ことの本質は、自律した個人が確立せず、ことの是非を判断せず、空気に流され、組織内の軋轢を避けて、もたれ合いを是とする日本企業や日本人のあり方が問われているのではないでしょうか? 福沢諭吉が『一身の独立なくして、国家の独立なし』と言ったように、一身の独立がなければ、企業の自律もあり得ないのです」(「視点・論点」31,08,'15)と」。学校と学校に携わる者もおんなじです。
(組織の規律と個人の自律)。