エリクソンの小部屋

エリクソンの著作の私訳を載せたいと思います。また、心理学やカウンセリングをベースに、社会や世相なども話題にします。

改訂版 心理臨床学会での友田明美さんの報告:赤ちゃんの脳まで壊す不誠実な母親の関わり

2015-09-22 16:38:33 | エリクソンの発達臨床心理

 

 

 

 
大竹しのぶさんにとって大事なこと
 (暴)力による支配2013-09-30 02:11:20 | エリクソンの発達臨床心理 脱儀式化の状況は...
 


 虐待と言ったら、非常に残酷で、激しい行為をイメージしがちです。殴る、蹴る、顔を水に押し込む、レイプする、タバコの火をつける、押し入れに閉じ込める、水や食事を与えない…。こういうケースも、日本にはかなりの数が、残念ながらあります。

 しかし、虐待の中で、一番多いのは、母親が子どもの前にいないことなんですね。長時間労働と家事をして、子どもの前に、子どものそばに、子どもが起きている時にほとんどいない。それが、日本では一番多い虐待だというのが、私の心理臨床上の印象です。それと同じくらいあるのが、言葉の暴力、子どもを否定する言葉です。「ダメよ」「早くしなさい」「勉強しなさい」などが、子どもを否定する代表的な言葉になります。いつも言ってる言葉でしょ。おとなは、無意識に子どもを否定していることが、非常に多いことが分かるでしょ。それから、忘れがちなのは夫婦の諍い、口喧嘩を子どもの前でやることですね。これも子どもを虐待することになります。仕事などのために、子どもの前にいないこと、「ダメですよ」などの言葉、親の諍いまで、子どもの虐待とは考えたこともないのではないですか? でも、これも立派な虐待です。

 虐待をこのように考える時、日本のそこらじゅうで、虐待が行われていることが、自ずからわかりますでしょ。家庭の中だけじゃぁないですね。学校や児童施設などでも、虐待だらけと言えると私は考えます。

 と言っても、私はもともと政治学ですから、その虐待をしている個人の責任もさることながら、社会構造を見る視点も大事にしてんですね。この虐待の背景になっているのは、日本の子育て支援政策、労働政策、学校教育政策、児童福祉政策が、あまりにも貧困だから、そこに身を置く人々が、虐待をしやすい社会構造がある点も、触れておきたいと思います。

 さて、今日も前置きが長かったみたいですね。しかし、これも、粘着気質の私の文体です。

 友田明美さんの報告(これは昨日の報告ではないが、参考になるかも。http://www.rease.e.u-tokyo.ac.jp/act/handout/140712/tomoda.pdf)。maltreatment マルトリートメント。リンスの話ではありませんからね。これは「不適切な養育」と訳される場合もありますけれども、いま触れましたように、母親が長時間労働・長時間通勤のために、子どもが起きている間、子どものそばにいないことも含むことを忘れてはなりません。「仕事なんだから、仕方がないじゃぁない…」。そうなんですけれども、それも、日本の貧しい労働政策の犠牲者なんですけれども、事実は事実なんですから、これをご指摘するのも、仕方がありません。なるべくウソがないような理論展開にしたいんですからね。ですから、前置きで、そこを明示したわけですね。最初の方でご指摘した虐待のいずれか(たいていは、複数、多数の虐待が共存するそうです)を、0才、1才、2才の赤ちゃんにしている場合、脳が壊れてしまいます。

 その一つが、シナプスの刈込がされない、ということです(http://susumu-akashi.com/2013/02/child-abuse/#i-15参照ください)。つまり、私どもは、環境から、音や視覚情報などを、全部受け止めていたら、情報が膨大で、上手く情報処理ができませんから、効率的に情報処理するために、取捨選択した情報処理をしているそうです。耳で聴く音と、録音した音では、録音した音の方が「雑音」が多い、と感じるのは、耳が自動的に情報処理してして、音を取捨選択してくれているおかげです。それは、多すぎるシナプスを刈り込んで、少なくしているからそれができるそうです。赤ちゃんの頃に虐待があると、これができませんから、脳の視覚野や聴覚野が委縮するのに、そこに集まる情報は膨大になる、という異常を来たす訳ですね。発達障害のような感覚過敏、感覚鈍麻が生じることになります。ヴァン・デ・コーク教授の言う、「サバイバル脳」は、こうして出来上がってしまいます。すると、いつでも、「危険」を知らせる、サイレンが心の中でなっているようになります。

 また、理性や感情を司る前頭葉が委縮し、共感や感情のコントロールを司る線条体(せんじょうたい)の反応が鈍る傾向が診られるようです。ですから、人とやり取りの中で行動したり、感情をコントロールしたりすることが非常に苦手なわけですね。

 愛着障害は、人間の発達を支える愛着=根源的信頼感が極めて脆弱であると言うばかりではなく、それは、脳の異常、変異という形で、身体にもその影を刻んでいる訳です。その治療には、粘り強い関わりが必要ですし、それを支える様々な社会的仕掛け、つまり、真の政治が必要です。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

アベシンちゃんと悪魔の仲間たちも 人間、仲間 とするのが大事

2015-09-22 09:54:33 | アイデンティティの根源

 

 

 いったん、血生臭い戦いが始まると、引っ込みがつかなくなるのが人間の常のようですね。ですから、そうならないための賢い歯止めが幾重にも必要です。おバカで狂気の、アベシンちゃんと悪魔の仲間たちは、その大事な歯止めの知恵を壊す、大バカ者。

 Young Man Luther 『青年ルター』p.228の、下から14行目途中から。

 

 

 

 

 

こういったものが世に出て一年、ルターはローマ教皇に手紙を書きました。「最愛なる主にあるお父様、私は、持てるすべてを差し出して、あなたの足下に平伏します。生かすも殺すも、聖職の任免も、評価するも非難するも、あなたのお気に召すままです。私はあなた様の声こそ、キリストの声と認めます。キリストはあなたの心に住み、語りかけておられるのですから。もし、私が死に値するのであれば、死も厭いません」と。しかし、ローマに召喚されたとき、ルターは行くことを拒みました。実際には、ザクセン選帝侯がルターを行かさなかったのですが、ローマ皇帝からも「あの修道士をよろしく」と言われていたからです。しかし、間もなくして、ルターはローマ教皇を「キリストに反する者」と呼ぶようになりました。ローマ教皇にとつても、ルターは「悪魔の子」でした。

 

 

 

 

 ルターは最初恭順の意を示す手紙をローマ教皇に書いていたんですね。この手紙を読むと、完全にルターはローマ教皇に恭順しているかのように見えます。しかし、両者は互いに相手を「悪魔」と呼ぶほどに決裂してしまいます。そして、その後のドイツ農民戦争(ルターと封建領主 vs ミュンツァーと農民など)は何年もの間、血みどろの戦いをしたのが歴史が示す所です。ルターでさえ「人間を上下2つに分けるウソ」から必ずしも自由ではなかったと思われます。

 アベシンちゃんと悪魔の仲間たちを、私どもはハッキリと「悪魔」と呼びますが、それはひどい政治屋だからであって、「人間皆兄弟」の仲間であることまで否定するものではありません。この辺、注意ですね。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

遊びと人類皆兄弟

2015-09-22 08:30:01 | エリクソンの発達臨床心理

 

 

 エリクソンのエピジャネシスのライフサイクルの発達図式は、現在進行形の、実践マニュアルです。

 The life cycle completed 『人生の巡り合わせ、完成版』p76の、下から3行目から。

 

 

 

 

 

 industoryインダストリー 「人とやり取りする中で、自分の感じをきちんとした形にして出しても良い感じ」は、学童期に経験することを上手にコントロールできる感じですが、その反対は、inertia イナーシャ 「よく考えることもなく、今までやってきたことだからと、今まで通りを繰り返す、お役所仕事な感じ」です。これはいつだって、ひとりびとりが生産的な暮らしをすることを台無しにする脅威になりますし、もっと幼い頃に禁止されたことや、「遊んでちゃダメでしょ、勉強しなさい」と遊びを禁じられていたことと関係するのは、もちろんです。

 

 

 

 

 

 勤勉そうに見える人、まじめに仕事をしている人が、実際は、「よく考えることもなく、今までやってきたことだからと、今まで通りを繰り返す、お役所仕事な感じ」であることって、よくあることでしょ。ですから、industoryは「勤勉性」ではないんですね。官僚制が蔓延る今の日本の組織では、お役所や学校、大小の会社から、町内会や家族まで、真面目な人ほど、「よく考えることもなく、今までやってきたことだからと、今まで通りを繰り返す、お役所仕事な感じ」ですからね。でも、それでは、人間らしい暮らしは実現しないばかりか、人間らしい暮らしを実現する時に足かせになってしまいます。

 ですから、どんな仕事をする上でも、遊びと人類皆兄弟とを意識することが大事になります。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする