権利証

　　　　　　　　　28.10.18       　　権　　　利　　　証　　　　NO.1316

 会社経営をしている人にだって、不動産法制を全く知らない人がいるものです。　

知人にお金を貸してほしいと頼まれて３００万円貸したが、担保として権利証を取っている。　

いくら請求しても返してくれないので、この不動産を売って貸金を回収したいのだが・・・とい

う相談でした。　　その土地は琵琶湖湖畔の景観の良い別荘地で、１０００万円で買ったとい

う。　　だからいくら悪くても３００万円は回収できるでしょう・・・

このお話を聞いた時にはちょっとイヤな感じがしまして、その社長に言いました。

①  　他人の不動産の権利証を持っているというだけで、その不動産を売却することはでき

　　　ません。

②  仮に売却に同意する場合にだって、今時別荘地なんて買い手が現われません。　

　　１００　万円でも売れないでしょう。

③  　その不動産には抵当権設定登記れていないのであれば、もう既に第三者に転売され

　　ているかもしれません。

④  　他人に転売しておれば詐欺罪で告発できそうですが、借主はお金は返済するつもりだ

　　　し・必ず返済します、不動産は已むに已まれない事情があって売却しましたが、借金は

　　借金としてかならず返済します。

と主張されれば、刑事事件としては受理されないでしょう。

仮に、受理されてその人を刑務所に入れたってお金は帰って来ません。

＊念のためと思って法務局で登記簿謄本を請求して確認しましたところ、やはり他の第三者

　　に転売されていました。

　その社長さんには気の毒ですが、良い社会勉強になったことでしょう。