新・眠らない医者の人生探求劇場・・・夢果たすまで

血液専門医・総合内科専門医の17年目医師が、日常生活や医療制度、趣味などに関して記載します。現在、コメント承認制です。

日医の「政治主導で医師偏在解消を」発言:説明義務がどんどん増えているのに気が付いているのかしら?

2013-09-25 23:24:32 | 医療

さて、追加です。

 

先程、自滅さんのコメントにありました話がこちらなのだろうと思います。

 

日医、国家戦略特区の医学部新設に反対表明-「医師不足には政治主導で偏在解消を」

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130925-00000006-cbn-soci

医療介護CBニュース 9月25日(水)20時37分配信

 

 日本医師会(日医)は25日、政府が成長戦略で打ち出した「国家戦略特区」構想に対し、規制改革への要望として、医学部新設を求める動きがあることについて、「医学部が新設されれば、教員確保のために医療現場から医師を引き揚げざるを得ず、地域医療の崩壊が加速する」などと、改めて反対する意向を表明した。

 政府は国家戦略特区を推進するために、国家戦略特区ワーキンググループを設置。11日に規制改革についての第1次提案募集を締め切ったが、そこには千葉県成田市と国際医療福祉大(栃木県大田原市)の共同提案による国際医療学園都市構想と、静岡県の医科大誘致などを通じた医学部新設の要望があった。

 日医はこれまでも医学部新設には反対する姿勢を貫いており、医師不足問題に対しては、「今こそ政治主導で医師偏在の解消を強力に推進すべき」と強調している。25日の記者会見で日医の横倉義武会長は、「日医が医学部新設に同意したとの話も出ているようだが、そういうことはない。日医は以前より、医学部新設に明確に反対し、(国家戦略特区にも)同様に対応する」と述べた。【君塚靖】

-------------------------------------

この件に関してはコメントにも書かせていただきましたが、教員確保のために現場の医師が不足するというのは事実だと思います。

 

ただ、後半部分の「医師偏在を解消すべき」というのは首尾一貫性がないというか、「医師がどこかで足りているならそちらから人を回して教官として雇えばいいじゃないか」と突っ込みを入れたくなります。

 

恐らく日医の会長さんたちのような「昔、現場の第一線で働いていたパターナリズム時代と方々」には理解できないほど説明する時間や必要な書類が増えており、夢でも見てらっしゃるのではないかと思ったりしてしまいます。

 

政治もそうですが、こういう現場にも若い人間の力が必要なのかもしれませんね。

ちなみにこの話に関してたまたまですが、昨日義父がうちの大学病院を受診してまして「何を言われたか理解できなかった」とうちの嫁さんにいったため、僕がカルテを読んで嫁さんを通じて説明するようなことがありました。そのくらい短期間では説明しても理解できないものだと思います。医学生でも理解できないのに、初めて話を聞く人たちがすべて理解できるとは思っていないので、少しでも理解してもらい、若干こちらが誘導したとしても自分自身で決めていただくことが大事だと思います。その為には時間が必要なのです

 

さらに「疫学研究に関する倫理指針」及び「臨床研究に関する倫理指針」の見直しに関する中間取りまとめに対する意見募集を開始が昨日から始まっておりますが、患者さんへの説明や細々とした書類作成義務はどんどん増えてきております

http://www.mhlw.go.jp/general/seido/kousei/i-kenkyu/rinsyo/dl/gigisyoukai.pdf

http://www.mhlw.go.jp/general/seido/kousei/i-kenkyu/rinsyo/dl/shishin.pdf

 

そういうことを考えると、今以上に現場は人手不足になり研究から人は遠ざかっていくでしょう。臨床現場でも人手は不足、研究現場でも書類仕事、そしてそれに少しでも関わる患者さんに対する追加説明義務などが発生するため、絶対に人手不足になります。

 

それを理解できていないのだから性質が悪いとしか言いようがないですね

何をするにしても今は説明、説明です。さらに治療法は「医師が決定」ではなく、少なくとも「患者さんが最終決定する」形になります。そういった様々なことを考えれば「医師偏在」とは僕は口が裂けても言えませんけどね。

 

ただ、医科大学を増やすのは教官不足によりまともな医師が育たなくなったり、医療崩壊の助長につながるかもしれないので、医学部の拡充と教官の待遇改善から始めてじわじわと医師を増員できる体制を作ってほしいと書いているのですが。

 

すでにBlogを書き始めて7年になりましたが、この辺は何ら改善がありません。そこが不思議でならない今日この頃です。

 

いつも読んでいただいてありがとうございます。今後もよろしくお願いいたします。

http://blog.with2.net/link.php?602868

人気ブログランキングへ←応援よろしくお願いします

なかのひと 

blogram投票ボタン

それでは、また。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

HTLV-1の分布の変化に関して:行動範囲が広がっているから仕方がないですよね

2013-09-25 23:08:31 | 医療

こんばんは

 

昨日は来年3月に行われる造血幹細胞移植学会の演題締切前日だったため、慌てて演題投稿しました。今日は来月の血液学会のスライドづくりなどを行っておりました。

去年も10月に内科学会総会の演題登録終了の3日前くらいに気が付いて慌てて演題出したんですよね。

 

まぁ、そんな毎日です。

 

そうするともう一つくらい解析してあるデータがいるかな・・・?なんか考えないといけないかもなぁ。

 

さて、今日はまずこちらの記事を紹介します。

 

HTLV-1感染、関東などで増加-厚労省協議会で調査報告

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130925-00000002-cbn-soci

医療介護CBニュース 9月25日(水)16時2分配信

 成人T細胞白血病(ATL)や神経難病の関連脊髄症(HAM)などを引き起こすウイルスHTLV-1の感染実態が25日、厚生労働省の「HTLV-1対策推進協議会」(座長=渡邉俊樹・東大大学院教授)で報告された。全国のキャリア数は108万人と推定され、もともと多かった九州・沖縄地方から全国に広がっていることがあらためて明らかになった

 HTLV-1は、主に母乳を介して母子感染し、妊婦健診で抗体検査が行われている。発症率は、ATLが約5.0%、HAMは約0.3%と低いが、感染が全国に拡大している傾向がみられ、国は2010年、感染の予防や医療体制の整備、研究の推進などを盛り込んだ総合対策を策定した。

 この日の会合では、HTLV-1キャリアの全国調査について、研究班の佐竹正博氏(日本赤十字社中央血液研究所)が報告した。調査は、06-07年の全国の初回献血者約120万人を対象に行った。

 報告によると、全国のキャリア数は1988年調査時の120万人から約10%減少した。現在の予防対策を継続した場合、2027年のキャリア数は56万人と、ほぼ半減することが見込まれるという。地域別に見ると、全体が減少傾向の中、関東・中部地方では増加しており、人口の移動とともにキャリアの分布が拡散していることが示された。また、88年当時の20代と今回調査の40代、同じように30代と50代、40代と60代を比較すると、いずれもキャリア率が上昇しており、母子感染だけでなく、成人後の水平感染の影響がうかがえた。【烏美紀子】

-------------------------------------

実際、HTLV-1はまだ九州が中心というのは変わりはないと思いますが、年に1人くらいは新規のATL患者が受診するので昔よりは多いのかもしれません。

 

この関東などで増えているというのは人の移動や行動範囲の拡大を考えれば当然の話で実は大騒ぎする話ではないのだと思います。

ただ、垂直感染防止の観点から多くの人が知っておくほうが良い話だと思いましたので、改めて記事に取り上げさせていただきました。

 

ちなみにHTLV-1に関してHTLV-1キャリアの方(もしくは調べに来た方)への説明(アンフェタミン版)という記事もあります。

 

関東などで増加と書かれるとびっくりするかもしれませんが、そういうものなんだくらいに考えていただければと存じます。

 

いつも読んでいただいてありがとうございます。今後もよろしくお願いいたします。

http://blog.with2.net/link.php?602868

人気ブログランキングへ←応援よろしくお願いします

なかのひと 

blogram投票ボタン

それでは、また。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする