追加で簡単な記事を少し。
学生さん相手にカンファ中に喋っていることを書いてみておりますが、今日は簡単な抗菌薬話。
まぁ、こないだは教授が不在だったのと学生が1名除いて全員体調不良で休みということもあり、カンファでいろいろしゃべる羽目になりましたが・・・(いらっとさせられたような、いらっとしたような・・・)
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アン:「さて、今抗菌薬に関して質問されていましたけど、抗菌薬ってどんな薬があるんだっけ?種類別に思いついたものをどうぞ」
学生A:「ペニシリン系、セフェム系・・」
学生B:「ニューキノロン系、カルバペネム系」
学生C:「バンコマイシン」
アン:「ようするにグリコペプチドね。他は?」
学生A:「えーと、ペネム系とか」
アン:「ほほぅ。面白いところ来たね。他・・・」
学生C:「アミノグリコシドとかでしょうか?」
アン:「いいねぇ。他に思いつくのは?」
学生ら:「・・・・・」
アン:「言われれば思い出すだろうけど、マクロライドとかテトラサイクリンとか…いろいろあるよね。では、それらを大別してみるとどういう分け方があるかな?」
学生B:「静菌的と殺菌的」
アン:「いいね。じゃぁ、静菌的な薬と殺菌的な薬を分けてみてよ」
学生ら:「ペニシリンやセフェム、カルバペネムは殺菌的です。マクロライドとかは静菌的だと思います」
アン:「他の薬はニューキノロンとか」
学生:「殺菌的です。DNAジャイレースに作用します」
アン:「お~。分子的な機序が来たか。じゃぁ、他の薬」
学生ら:「グリコペプチドは・・・・・」
アン:「殺菌か静菌か・・・・」
学生:「…殺菌」
アン:「ファイナルアンサー?」
学生:「…ファイナルアンサーです」
アン:「正解。うちで使用している薬剤は基本的に殺菌的です。静菌的な薬剤は菌が増えないように押さえている間に、自分の免疫にやっつけてもらいたいわけでしょう?血液内科領域ではありえない(好中球減少時は・・。好中球があるなら普通に使用します)選択肢かもね。ちなみにペプチドグリカン合成阻害がペニシリンとかセフェムとかですけど、架橋形成を阻害します。ホスミシンという薬剤だけペプチドグリカンの合成の初期を阻害するんですけど、2004年ころはスーパー療法とか言って組み合わせていたりしていましたね。今はしないでしょうけど・・・。DNAジャイレースはこれらを阻害してタンパク合成阻害に行くんですが、効果が強いため殺菌的になるといわれています」
学生:「はい」
アン:「静菌的な薬の機序は?」
学生:「タンパク合成阻害です」
アン:「いいね。リボソームを阻害する薬ですね。これらは細胞内への移行性が良いわけだ。菌の中にも入っていかないといけないし・・・。ということは抗結核薬みたいに食細胞内にも移行性が良いやつが含まれるわけですね。抗結核薬の多くはこの機序ですよね。アミノグリコシドとかマクロライドは抗結核作用あるでしょう?ちなみに細胞内に入るからニューキノロンも当然効く。けど、これは覚えちゃだめだよ。国家試験でははずれになるから(ニューキノロンは基本的に抗結核薬に入っていないので)。他はRNA合成にかかわるやつとか、イソニアジドみたいに結核菌の細胞壁(ミコール酸ですね)を阻害するやつとかになります」
学生:「なるほど」
アン:「アミノグリコシドは静菌的なだけだと、うちの現場では使いにくいのですが、他に機序を知っていますか?」
学生:「わかりません」
アン:「細胞膜を阻害する作用もあり、これが殺菌的に働くといわれています。ではアミノグリコシドが効きにくい状況と使うとまずい病気(国試的)」
学生:「・・・・わかりません」
アン:「アミノグリコシドは酸素を利用して菌の中に入っていくので、嫌気性菌や嫌気性環境では効きません。また、pHにも影響されるので膿瘍には効きにくいです。使っちゃいけないのは重症筋無力症、これは国試レベルです。国試レベルでついでに副作用で有名なもの2つ」
学生:「腎障害と第8神経障害です」
アン:「時間の都合で、簡単に行くけどでは抗菌薬の使い方、PK/PD理論で分けるとどうなるかな?」
学生:「ピークが大事なのと時間が大事な薬です」
アン:「多分わかっていると思うので、次の患者さんが始まったので簡単に。アミノグリコシドやニューキノロンはピークが大事なので、1日一回投与が多い。セフェムやカルバペネム、ペニシリン系はTime Above MIC(TAM)が重要なので頻回投与の方が有効になる。ちなみにAUCもニューキノロンは重要だし、バンコマイシンもAUCなんですけどね。じゃぁ、次の患者さんが始まっているので、次に集中~」
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ちなみに国家試験的にはニューキノロンとNSAIDsとかも併用が駄目になっているのかな?
現場でも注意して使いますが、NSAIDsも一部の薬剤以外の併用ではほとんど痙攣が起きていないと言われているので、その一部を覚えていればよいような気もしますがね。けど、現場の薬剤師さんには言われるのでしょう。
ここには書き忘れましたが、ST合剤なんかもありますね。STは葉酸合成阻害ですね。
いつも読んでいただいてありがとうございます。今後もよろしくお願いいたします。