こんばんは
最近は研究結果がいろいろ出てきたので、それに合わせた追加研究にいろいろいそしんでおります。明日も朝から実験をしに職場に行くつもりです。
外来でも新患が毎回のように複数名いらっしゃるので、かなりしんどい説明をしているのですが…そのせいか結構お疲れモードでした。患者さんの数は少ない割に告知が多くて。
ほとんど、本当の悪性疾患の告知。治すチャンスがあればまだ言いやすいですが・・・・
「80代でNYHA3度の心不全、ペースメーカーが付いているAMI後の方、脳梗塞、腎不全・・・・(汗」
正直、積極的に攻められない患者さんの場合は最初から緩和ケア的な話になってしまいます。そうすると時間もかかるし、こちらの精神的には削られます。
結局、患者さんの診療が終わったのが17時で、そこから説明が長くなった方の説明内容の記載、紹介状の返信など・・・で19時(汗)
肩が凝って、痛みもあったので・・・久しぶりに90分間のマッサージを受けてきました。
「すごいこっていますけど、仕事残業とか多いのですか?」
「残業かどうかはわかりませんが、緊張感のある仕事であるのは確かです。」
「好きでやっているのですか?」
「好きですよ。仕事としては天職だと思いますが、人手不足ですからね」
「そ~なんですか~」
たわいない話をしていましたが、マッサージを受けながら、いろいろなことを考えておりました。
丁度一昨日に末梢血幹細胞採取が去年の2倍以上になるペースで行われているという話があり、かなり負担が増えているという話題が病棟カンファレンス後にありました。・・様々な話し合いがなされましたが(23時半まで)
「実は一番は人手増やすことですけどね。無理ですか?」
という話を僕がしましたが・・・・
「人員削減された後、増やそうとしても認めてくれないんだよね。」
人手が不足しているならば大学病院からバイトに出ているスタッフがいかなければいいだろう・・・と上の方のお偉いさん(事務方)に言われて人手が増えず…という状況です。このままだと4つの診療科が集まっているうちの内科は…血液内科以外は「診療科長」のみしか常勤スタッフがいなくなりそうな状況になっています。まぁ、血液内科はまだいるとはいえ、実は病床数が増えていっています(僕も先日、本当に増えたことに気が付きました)。入院患者、急患で病床数オーバーするのだから・・・ということでしょうが、仕事を増やすのだからスタッフも増やしてほしいところです。
医療事故が起こるまでは動きがないんだろうなぁとあきらめてはいますが、患者さんやもしくはどこかで過労死(数年前も脳出血で倒れられた先生がいらっしゃいましたが)する人間が複数出ないと・・・・(汗
という話題を少し出したのは、こちらの記事がフェイスブック上に流れてきたので、紹介します
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現場で働く医師にとって大変不幸な出来事と、見過ごすことのできない司法判断がなされました。私たちは、地域医療を支える医師の働きが正しく評価されなければ日本の医療は守れないと考え「麻酔科医師労災訴訟を支援する会」を結成し、裁判の支援を行うことにしました。
麻酔科医師A先生は、平成19年8月11日(当時53歳)に脳出血を発症し遷延性意識障害となり寝たきり状態が続いています。副院長であったA先生は地域の中核病院で唯一の常勤麻酔科医師として麻酔の仕事を行うとともに外科外来や内視鏡検査、当直業務も担っていました。そして、倒れる2年前からは手術件数が増え「仕事がきつい」、「麻酔の仕事が辛い」と家族に漏らしていました。ご家族は倒れるまでの2年間は笑顔を見ることがなかったと当時を振り返っています。医師不足の中で、A先生が地域医療を守るために懸命に働いていたことは疑う余地のないことです。A先生は労災認定されましたが、安全配慮義務違反等を理由とした民事裁判も起こしています。しかし、東京地方裁判所がA先生の業務に過重性はなかったとしたため、敗訴となっています。
A医師は麻酔のある日は準備などのために朝7時30分頃に出勤し、昼食も5~10分ですませなければならない状況でした。当直業務は月に1~2回、土曜夕方から月曜の朝まで連続で長時間におよぶものでした。原告の算出では、倒れる1か月前の時間外労働時間は121時間と過労死ラインを大きく超えていましたが、判決では57時間しか認められていません。
その理由は麻酔科医の仕事を侮辱した酷いものでした。例を上げれば、判決文には以下のように書かれています。「麻酔準備は最も時間がかかる全身麻酔であっても事前準備は15分ないし30分程度であって手術はおおむね10時から(・・・)開始されること、・・・、これらの事実からすれば麻酔準備のために所定始業時間よりも早く出勤する必要があったとは認められない」、さらに「手術中も容態が安定している患者であれば、麻酔科医は椅子にすわって本を読んだり、休憩のために中座することが可能であり、また、麻酔の方法もほとんど定められた方法を実施すれば足り、手術中、高度の精神的緊張を終始強いられるわけではない」。一方、原告は「麻酔は人の生命に関わるものであり、わずかなミスでも人の死という重大な結果をもたらす可能性があることから、その実施は高度の緊張を伴うものであり、日常的に精神的負荷が高い業務である」と主張しましたが、判決文にはこのことは全く反映されていません。
さらに、外科外来や内視鏡検査、当直業務等も判決文では本人が自ら希望したものとされ「特に過重な業務であるとはいえない」とされています。
結局、東京地方裁判所は原告の主張する労働働時間を大幅に減らし、麻酔科業務等も精神的緊張を強いられるものではないとし、A先生の過労による労災を否定しました。
医師労働の実態を反映していないこの判決は、私たちは医療現場を知る者にとって、耐えられないものです。また、このような判決が判例となれば、今後、多くのケースで勤務医の労災や過労死が認められなくなるでしょう。さらに、診療科の偏在や医療崩壊を進めることにもなりかねません。麻酔科医の労働を正当に評価すると同時に劣悪な診療環境で医療現場を守る医療従事者の労働を正当に評価する必要があります。
今回の裁判において、A医師及び麻酔科医の業務に関して、悪意があると感じざるを得ない主張が一部の医療者から行われています。このようなことでは、チーム医療を推進し地域医療を守ることはできません。医療者として職種や診療科を超えてお互いの仕事を尊重する高い倫理観を持つことも求められていると言えるでしょう。
現在、原告は東京地方裁判所の判決を不服として、東京高等裁判所に上告しています。私たちは、この東京地方裁判所の判決を知り、この判決を放置することは日本の医療にとって大きな禍根を残すと考えています。そして、A医師の介護で疲弊し孤立している原告家族を支援する必要があると考え、「麻酔科医師労災訴訟を支援する会」を立ち上げることにしました。
本会の目的は、「麻酔科医師の労働が正当に評価され麻酔科医師A先生の脳出血による遷延性意識障害が過重労働によって引き起こされたものと裁判で認定を得ること。また、これを通じて勤務医の環境改善を求める活動を行うこととする」としています。
少しでも多くの方に、この事実を知っていただき、賛同・ご協力していただきたいと思います。
(以下、略)
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病院の麻酔科がどのようにしているのか。麻酔科の人数が多ければよいでしょうけど、人数が少なければかなり負担は大きいと思います。
もし、この病院が急患を引き受けている病院であれば、唯一の常勤麻酔科医は「休みがない」ことになります。ずっとオンコール体制ですので。
第1審の判決文には「手術中も麻酔科医は本を読んだり、休憩のために中座することが可能であり、精神的緊張を終始強いられるわけではない」と書かれているそうです。
麻酔科医は少なくとも手術中に「一人」であれば、その麻酔に責任がありますから、常に緊張を強いられると思いますが・・・。
少なくとも血圧の変化や様々な変化に対応してくれる医者じゃなければ、僕は麻酔科医としてはどうかと思いますけど…(汗
時々ドナーさんの骨髄採取術の時に「血圧下がってきているんで、輸血速度上げてください」とか言うことありますけど、逆にそこら辺も考えて出血量とか気にしながらいろいろしてくれる麻酔科の先生なら、安心できますよね。
この判決文が通るのであれば、全国の麻酔科の先生に不利益だと思いますし(麻酔科はそういう診療科だと思われること、そして手術の安全を外科の先生とともに麻酔科の先生が守っているということが信じられなくなります)、ひっくり返ってもらわないと医療は成り立たなくなると思います。
ということで、宣伝させていただきます。
いつも読んでいただいてありがとうございます。今後もよろしくお願いいたします。