未来技術の光と影。
SIYOU’s Chronicle




命を救ったiPhoneアプリ:ハイチ地震64時間後の救出
http://news.goo.ne.jp/article/wiredvision/business/2010news1-21760.html
http://wiredvision.jp/news/201001/2010012121.html
エレベーターシャフトに避難した同氏は、iPhoneの救急アプリを見て包帯や添え木のあて方を学び、頭部の傷からの出血を止血した。
アプリには、ショック症状が起こりそうであれば眠ってはならない、という指示もあったので、Woolley氏は目覚まし時計の機能を使って20分ごとに音を鳴らすように設定した。

まるで作ったかのような都合の良い話だが、本当の話のようだ。

確かに緊急の際に役立つアプリを詰め込んだ端末を持ち歩くのは、ちょっと魅力的だ。

用もないのに、かばんの隅に『LEDミニマグ』を持ち歩いているような人なら、その気持ちは分かるはずだ。

だが、「全てを叶える9万ものアプリケーション」のうち、この人のように実際に生死を分ける局面で実用性を発揮できるのが、どれだけあるのであろうか。

逆に、それだけの情報にいつでもアクセスできることの安心感が、危機に面した場合にスキを与えることになってしまうかもしれない。


「どんなに膨大な情報が詰め込まれた携帯端末であっても、バッテリーが切れてしまえばただの箱になってしまいます。ですがこの『究極サバイバルマニュアル』なら、それを気にすることなく、いつでも貴重な情報を得ることができます。」
「たかだか数百ページの中に、一体どれだけの情報が収録できると言うのかね?」
「生死を分けるターニングポイントと言われる72時間の間に、必要となる情報など限られています。『ジェット機を安全に着陸させる方法』とか『熊に素手で立ち向かう方法』などは、実際にそんな場面に遭遇する可能性はほぼ0ですし、たとえ現実にそういった局面に遭遇したとしても、呑気にマニュアルを読んでいる暇などありません。『人工呼吸の方法』『AEDの使い方』『心臓マッサージの方法』などのごく初歩的な措置を早期に実施できるかどうかに、生死がかかっている場合が殆どなんです。」
「だが例えば、ショック症状が起こりそうな時に、定期的にアラーム音で起こしてくれる。ような機能は、紙媒体では無理だろう?」
「そういう時には、第7章の『眠くなった時に読むページ』を読んで下さい。」
「この、袋綴じになっている部分かね?」
「ええ。眠くならないためのジョーク集や、励ましの言葉などが収録されています。」
「なんで、袋綴じなんだ?」
「事前に読んでいては、緊急時の効果が低減してしまうからですよ。」
「とは言え、一体どんな内容なのか分からないものに、命を託す役割は与えられないよ。」
「でしたら、このパンフレットにサンプルが載っていますので、お読みになりますか?」
「・・・  うそだろ。これ、ちっとも面白くないぞ。」
「それにはちゃんとした理由がございます。この袋綴じ部分の一枚一枚は、止血シートになっているんですよ。」
「・・・だから?」
「ええ。もし、この部分に重要な情報が書かれていると、それを温存しようとする心が働いて、初期の一番大事な時に止血シートを使用するのを躊躇してしまうんです。軽い内容であれば、止血するために思い切って破り取ることが出来るのです。」
「しかしな、傷口にそれを貼った場合、気になって何度も見るだろ?そのたびに『あなたの命はOK牧場。』とかの標語を否応なく見せつけられると、段々とそのまま死んでしまいたくなるんじゃないか?」
「それは、あなたの考えすぎですよ。」
「とにかく私は、来週発売される『サバイバル仕様のiPhone』を買うことにするよ。」
「そうですか。生死の分かれ目には、情報以上に必要なものがあることを、納得頂けなくて残念です。」
「知らないのか?こんどの端末は、『いざという時に食べられる』んだよ。」


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