「これ、なんぼや。値段は付けられへんわのぉ。」
北村一輝のこの言葉は、全てのクリエイターへ『希望』と『勇気』を与えてくれる。
前半の6ヵ月間の全てが、この台詞へ収束することを目指して、展開して来たかのようだ。
北村一輝の死が涙を誘うのは、『人の死』や『永遠の別れ』が悲しいという単純な理由ではなく、彼の生き様に、半年の間に描かれた彼の人生に、「良い人生だった」と、こんな幸せな人生を送れたことへの奇跡に、皆が共感を覚えるからであろう。
「自分も、こんな死に際に恵まれたら、やはり、それが幸せなんだと思う。」
常治の人生は、一見それほどぱっとしてはいない。苦労も多いし、金にも困窮し、娘には煙たがれる。だがそこに垣間見られる彼の本心は、いつも愛と優しさに満ち溢れていた。
死に際に祝福される人生。
それが決して持たざる者のやせ我慢ではなく、富の多寡に関わらず、誰もが最後に実感するであろう真実として、作品を観る者の心を照らす。
「信じる者は救われる」
この時期に良く聞く言葉を胡散臭く感じ、「信仰心は尊い」と思いつつも、宗教には欺瞞しか感じない私にとって、その言葉が伝えたかった真意を、この回に感じたような気がする。
「愛と優しさに満ちた生き様は、至福の人生に結実する」
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