アブリル - どこにでもあり、どこにもない

岡崎平野を中心とする 植物 と カメラの対話

ツバキ - 港の曙

2021-02-04 19:32:48 | みんなの花図鑑

デンパークの大温室(フローラルプレイス)にあった花を紹介しています。こんどは ツバキの園芸品種「港の曙」です。




「港の曙(みなとのあけぼの)は、ツバキの園芸種「関東月見車」とルチエンシス(ヒメサザンカ)の交配種で、
桃色地に底白ぼかしが入る、一重咲き、猪口咲き、極小輪、多花性のツバキです。」(nae-ya「ツバキ(椿):港の曙」商品説明より)




ご存じのように、ツバキとサザンカのちがいは、ツバキはおしべが基部で合着して カンムリのようになっていて花弁も基部でくっついているため花が落ちるとき雌しべを残して花全体がポトリと落ちます(おしべも残る)。反対に、サザンカはおしべも花弁も合着していなくて、落ちるときも花弁一枚づつ ぱらぱらと落ちます。
では ツバキとサザンカをかけ合わせたら、どちらの性質が残るのでしょうか?




カンツバキ、ハルサザンカなどはすべてツバキとサザンカの交雑によって生まれたもの(あるいはその後代)と考えられています。
カンツバキはおしべがバラバラで サザンカの性質が、ハルサザンカも花弁や雄しべはばらばらに散るようです。




では、この「港の曙」のばあいのように、ツバキとヒメサザンカを交配させた場合はどうなるのでしょうか?
答えは...
ヒメサザンカは 「サザンカ」がついていますが、ツバキ、ヤブツバキと同じように花弁の基部が合着しているので花冠ごと落ちるのでした。
交配元が両方とも 雄しべが合着しているタイプなので、できた交配種も、画像のように、ツバキ型雄しべとなっています。




「港の曙」という品種名の由来についてははっきりしませんでしたが、港シリーズ(港の曙、港の春、港の桜)のひとつで、それらは 横浜の村田氏が作出したものということです。

チューリップ - 冬の花蕊

2021-02-04 09:48:35 | みんなの花図鑑

デンパークが春の装いにリニューアルしました。特に 大温室(フローラルプレイス)は 春爛漫の雰囲気です(^^♪




チューリップ(Tulipa cvs.)は、地中海原産、ユリ科の球根植物です。一般の開花期は春なのですが、デンパークでは真冬に花を楽しめるように、バックヤードで促成栽培を行っています。(安城産業文化公園デンパークHPより)




8月下旬、球根を鉢に植え、冷蔵庫で低温処理をした後、温室で加温することにより花を咲かせます。
外はまだ雪が舞ってるのに、大温室の中は 大きなチューリップがにぎやかに咲いていて、それだけでも暖かくなります。




そしてチューリップのもう一つの見どころ?が 大きな花蕊。
めしべは 柱頭が3つに割れています。
おしべは 6本伸びているように見えます。




チューリップがキレイなのは 虫を呼ぶためです。虫に花粉を運んでもらうためです。
でも、ここのチューリップに 虫が訪れることはありません。




では、屋外の花壇などで 普通に咲くチューリップは 受粉して種子を作るのでしょうか?





「チューリップは種子植物です。
花粉がめしべの先に付くと、アサガオなどと同じようにめしべの根元に種ができるのです。
したがって、チューリップの花がきれいな理由も、他の種子植物の花がきれいなのと、同じ理由と考えられます。」
(金沢子ども科学財団「科学の散歩道① [チューリップの花はなぜきれいなのか?〕」pdf より)




「チューリップAから運ばれてきた花粉が、チューリップBのめしべに受粉してできた種は、双方の遺伝子を持っています から、双方の特徴を合わせて持っています。 」(同上)




しかし、品種改良して 特定の性質だけを維持し続けたいヒト(園芸家)にとっては、種子で出来た子のチューリップは ヒトが維持したい形質を失ってしまっているかもしれません。
それで、球根で増やすようになったのです。
球根で増やせば 遺伝子は全く同じなので、子のみかけも性質も 親と全く同じことが保証されています\(^o^)/




球根で増やす方法は
「親と同じ遺伝子を持った花が大量にできるの ですから、寒さに弱い、害虫が集まりやすい等の都合の悪い性質も、そのまま受け継 ぐことになります。
何か環境に異変があったときには、その品種が全滅することもあります。
受粉による繁殖法は、そんな時にも生きていけるための、多様性を支える一つの手だてだと思うのですが(以下略)」(同上)