アブリル - どこにでもあり、どこにもない

岡崎平野を中心とする 植物 と カメラの対話

ロウバイ - 移動する雄しべ(2)

2021-02-16 21:00:00 | みんなの花図鑑

つづきまして「移動する雄しべ」の観察(後編)です。



ソシンロウバイ (2月6日)

まず、つぼみです。つぼみは丸くて小さくて黄色いです。




次の日(たぶん)開花した花です。
開花当初は 活動しているのは(花弁に隠れていますが)中心にある 雌しべだけです。
問題の雄しべは、花弁にもたれかかって 眠っている?ようです。




指で花弁を押し広げて 雌しべが見えるようにしてみました。
なお、糸くずのようなのが 雌しべの柱頭部分で、周囲のスタンドみたいな器官は 仮雄しべ です。
本当のおしべは 葯の部分を花弁のほうに向けている「へら」のようなシベです。




別の花で 中を覗いてみています。
一つの雄しべ(右下)が 今 起き上がりだしています。
なお、一番内側の花弁の表面に 蜜が付いているのが分かります。




すべての雄しべが起き上がり、めしべのほうへ集まってきました。自ら花粉を出す前に 雄しべにはやらなければならないことがあります。それは (受粉したであろう)雌しべをしっかりガードする役目です。



これもまだ 雌しべのほうへ集まってきた雄しべの段階です。




雄しべは最終的には 雄しべの先を密着させて それから 葯を割って花粉を出します。
この花では すべての雄しべの葯が割れて花粉が外に出ています。




終期の花です。
葯から出た花粉が 花弁のほうに飛び散っています。




前回も述べたように、この時期 花粉を運搬するポリネータは ハエやアブばかりです。ミツバチたちは 冬眠して体力を温存しています。




ロウバイ (2月2日)

雌しべ活動期の花です。




雌しべを取り囲んで、花粉を出している 雄しべ活動期の花です。




花粉も出し切って そろそろ散る寸前の花です。花弁が透き通るように色褪せています。




終期の雄しべと 集まってきたハエ です。
なお、花弁の中心部がこのように赤くなっている花が半数くらいありましたので、ソシンロウバイとせず 単に「ロウバイ」としています。





ソシンロウバイ(2月2日)

開花直後の雄しべが横たわった状態の花は見られず、早くても このような 雄しべが雌しべのほうへ向かって起き上がった状態の花ばかりでした。




同じ花の 雌しべに焦点を合わせたものです。
糸くずのようなのが 雌しべの柱頭です。




同じ時期にある 別の花です。
なお、花の色は 蕾のときが いちばん黄色が濃く、開花が進むにつれ(雄しべ期になるにつれ)色褪せていくようです。




雌しべを包んで、外に向かって花粉を盛んに出している雄しべです。
でも この花、めしべの柱頭が完全には 覆われていないですね (´∀`)




ロウバイ(2月3日)

最後に、花弁の中心部が赤紫色をしたロウバイの観察を簡単に。
まず、雌性期の花です。




二つの花は時期が違います。
下が若くて、雌しべ活動期(雌性期)の花。
上が その後 雄しべが 雌しべを包んで 花粉を出している雄性期(雄しべ活動期)の花。




雄性期(雄しべ活動期)の花のアップです。
雄しべが 雌しべを覆うとき、これでもかというほどしっかり口を閉ざすばあいもあれば、この花のように、めしべが天を仰げるように窓を作っておく程度の花もあるようです(^^)/









ロウバイ - 移動する雄しべ(1)

2021-02-16 16:00:00 | みんなの花図鑑
ソシンロウバイ (1月31日)

月日の経つのは早いもので、もう2月も半分過ぎました。これは 1月31日~2月6日のあいだに、各地のロウバイの花の観察をした結果をまとめたものです。遅くなりましたが、記録としてアップしておきます。
長くなるので、2回に分けて掲載します。



ロウバイの花の何を観察したかといいますと 「移動する雄しべ」の観察です。
ロウバイの花は 開花直後は 花弁に触れて横たわっていて 4,5日してむっくりと起き上がるというのです。
このソシンロウバイは 残念ながら 花弁に横たわっている雄しべの画像は撮れませんでした。
取れた画像のうち 一番初期のものは このように 花弁から離れて 雌しべのほうに移動しだした雄しべたちの画像です。



同じ花に もっと近寄ってみたもの。
ピントが合っている透明の糸のような器官が めしべ(の柱頭)です。
ロウバイの花は 両性花で おしべとめしべがありますが、活動する時期を変えて自家受粉を避けています。
開花直後は 雌しべの活動期です。
その後数日して 雄しべが 雌しべの周りに集まってきて 雄しべ活動期に移行します。




おしべは 活動する前に めしべを包み込んでしまいます。




これは 雄しべが花粉を放出した後の花です。



同じことを 別の種類のロウバイで見てみます。



マンゲツロウバイ(1月31日、西尾市憩の農園)

こんどは、開花直後の 花を見ることが出来ました。
おしべはこのように 花弁に張り付くように横たわっています。
開花してしばらくは 中心の雌しべだけが活動します。




中央に 糸くずのように立っているのが 雌しべの柱頭です。




4、5日して 横たわっていた雄しべが おもむろに? 起きだします。
雌しべを取り囲んだあと、葯が割れて、中から花粉が出てきます。




とてもいい匂いがして蜜を出すロウバイの花ですが、この時期に活動するのは ハエやアブの類がほとんどです。




盛んに花粉を出す 雄しべ期のロウバイの花です。




花粉をほぼ出し終わった終期のロウバイの花です。




ロウバイ(1月31日)

こんどは 花弁の中心部が赤紫色のロウバイを観察します。
開花直後の花は 一段と黄色が濃いようです。
中心に立っているのが 雌しべです。
この花は 開花してからしばらく経っているらしく、雄しべのほうは 花弁の上に横たわっているか、一部起きて雌しべのほうに近づきつつあるものもあります。




この花では すべての雄しべが起き上がり、めしべを取り囲み始めています。
(雄しべの葯(花粉の袋)はいずれも外側を向いていることに注意です)




この画像では、シベの状態がよく分かりませんが、いずれの花も 雄しべが 雌しべを包み込んでいます。雄しべ同士がぶつかり合い、まるで雌しべを隠しているようです。




雌しべを取り囲んだ雄しべは 順に葯を割り花粉を出しだします。





花粉を出し終わった雄しべです。





寒桜?、寒緋桜?‐ あなたは誰?

2021-02-16 08:51:19 | みんなの花図鑑

菅生川にレンジャクがいないか見に行ったとき、レンジャクどころか 餌のヤドリギの宿主のエノキそのものが切り倒されて無くなっていたことはお伝えしました。その代わりみつけたのが、このサクラの花です。
堤防の桜並木のところどころに 咲いていました。




ところが ネームプレートが無いので 種類が分かりません。
早咲きの桜というと寒緋桜なのですが、それにしては花弁の色が淡いので、別の品種ではないかと思うのです。




京都の方が 「寒桜」というサクラを紹介しておられました。このサクラによく似ています。

【カンザクラとは】
・カンヒザクラとヤマザクラ系統ザトザクラ(あるいはハヤザキオオシマ)の雑種とされる
・名所である静岡県熱海市付近では寒中(1月中旬)に咲くため、カンザクラと名付けられた。
・秋季からポツポツと咲き続けるフユザクラやジュウガツザクラを除けば、春一番に咲くサクラであり、この一品種ともされるカワヅザクラやオオカンザクラを含めて話題になりやすい。
・花はやや小さめの一重で、直径は2.5~3.5センチほど。蕾は濃いピンク色だが花は淡いピンク色になる。
(庭木図鑑 植木ペディア > カンザクラ より)




別の株です。こちらは 先ほどより色が濃いようです。




蕾などを見ると、ほとんど寒緋桜の紅色です。




寒桜は 寒緋桜と山桜系統里桜との雑種ということで、色の濃さにはバリエーションがあるのかも。