さよなら三角 また来て四角...日本編☆第二章☆

オーストラリアから10年ぶりに帰国。特別支援教育に携わりながら
市民農園・家庭菜園に励んでいます。

涙の理由 ~ 実習2週目が終わる ~

2012年11月23日 19時03分53秒 | Web log
今日で、実習2週目が終わりました。

最初の週は緊張の嵐。

今週は少しレジデントの皆さんにも慣れてきました。
名前はもちろん、誰が、何を必要としているのか、性格
などなど少しづつ分かってきました。

ある認知症のJさんの朝食の介助をしたときの話。

何か口にしているのですが、何を話しているかわからない。
ケアラーさんは、Jさんは認知症だからと説明してくれました。
でも、私は一生懸命話かけて、お食事を食べさせてあげました。

部屋に飾ってある家族の写真や、Jさん自身の元気だったときの写真
が飾ってあったので、「 Jさん、ハンサムだね~ 」
「 素敵なご家族がいて幸せだねぇ~ 」などなど。

Jさんはとても体の大きい人です。

最初に飲み物をあげたときに、コップに二杯ほどの飲みものを
飲み干されたのでびっくりしました。

Jさんは自分で活動することは全くできませんが、体が大きいからか
食欲が結構って、ゆっくりですが、しっかりと食べてくれました。

お食事の最中、Jさんは手で宙を掴むような仕草をしたので、手を握りたい
のかなぁと思って、手をだしたら、ものすごい力で私の手を握り返してくれました。

お食事のときは別に手を握っていただいても、全然大丈夫だったのですが、
お食事が済んだので、食器を戻さなければならず、手を離そうをしたら
離してくれないんですね。

で、最初は平気だったのですが、だんだんちょっと怖くなって、
空手のテクを使って、握られた手を離すことに成功。

「 ごめんねー、もう行くね! 」と言って退出しました。

その後、お昼にキッチンに顔をだしたら、車椅子に座ったJさんと
奥様がおりました。そして、奥様に朝食のときの様子をお話しました。

私「 今朝、お食事の介助させていただいたんですけれど、Jさん、ものすごく
沢山水分を取られまして、コップ2杯をごくごくと飲まれたんですよ。びっくり
しました。」

奥様 「 元気だった頃、主人は水分をよく取る人だったんですよ。庭仕事を
するときも水分は欠かせなかったし、夜寝る前も、必ず水分をとってたしね。」

私「 あぁ、だからなんですね。で、お食事のときに右側の目から涙をこぼされて、
そして、お食事のときに私の手をぎゅっと握って離さなくて。奥様が来ていると
勘違いされたのかしら? 」

奥様 「 あぁ、何故か分からないのだけれど、主人の右側の目からだけ、涙が
こぼれてくるのよ。いつものことだから、気にしないで 」

私 「 だったら、いいんですけど。コミュニケーションがとれないだけに 
ちょっと心配になりまして。 それにして、お部屋に飾っているJさんのお写真、
カッコイイですよねぇ。ハンサムですよねぇ 」

奥様 「 えぇ、彼、とってもハンサムだったのよ。今はこんなになっちゃったけどね 」

その時も、Jさんは奥さまの手をぎゅっと握り締めておりました。

私 「 朝食のときにJさんが手を握って、中々離してくれなくて、手を離すのに結構
時間がかかったんですけれど。Jさん 結構、力ありますよねぇ。離してもらいたいときは、
どうなさっているんですか? 」

奥様 「 彼はとても力の強い人だったから。そして手を力強く握るのよねぇ。私が帰る
ときも中々、手を離してくれなくて。そういうときは、 " J, let go... let go ... "
って言うの 」

私 「 ああ、そうでしたか。じゃぁ、私も次はそういう風にしてみますね。
今日はお話できてうれしかったです。 」

とまぁ、こんな会話をさせていただいたのですが、奥様がどれほどJさんを愛しておられるか
びんびん伝わってきましたし、そして、Jさんも 脳の記憶の奥底で奥様への愛が残っている
んだろうなぁと思いました。とっても素敵なお二人だなぁと思いました。

そして、お二人の絆の深さを想像した次第です。

認知症になってしまい、表面的には何もかもが変わり果ててしまったかのように見えても
昔と変わらないJさんらしさを少し垣間見ることができて、それはそれは感動的だった
のでした。

署名

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