さよなら三角 また来て四角...日本編☆第二章☆

オーストラリアから10年ぶりに帰国。特別支援教育に携わりながら
市民農園・家庭菜園に励んでいます。

ぼんやりとした記憶の中で

2012年11月25日 07時51分44秒 | Web log
Mさんという女性がおります。

足腰は弱ってきていますが、ほかのレジデントさんに比べると
まだまだ自分で自分の事ができます。

先日、朝から機嫌が悪くベットから起きるのを嫌がっておりました。

私は気が弱いので、彼女の機嫌を損なわせたくありません。
無理やり彼女をベットから出すことができず、もう1人のケアラーさんに
ヘルプを求めました。

ベテランな人だけあって、あっという間に掛け布団を剥ぎ取り
「 シャワーですよー 」と誘導。

Mさんは、何故かパジャマのズボンをつけていなかったので
びっくりして飛び起きました。

かなり怒っている様子。

そして、シャワーをしますよーと言って、下着を脱がせようとすると
怒りは頂点に達し「 あなたたちは、ここにいるべきではないわ!
出て行って! 」と叫び始めました。

彼女には記憶がありません。

家族のこともどれだけ分かっているのか、もちろん毎日入れ替わる
ケアラーのことも認識していない様子。

そして「私がどうしてここにいるのか、分からないわ」
「ここは私の家なの?」と繰り返します。

はっきりとした記憶はないようですが、でも記憶の底に
漠然とした何かをわずかに認識しているようで
「私には他に帰るべき場所がある、かつて所属していた
家がある」と思っている様子です。でも、思い出せない
歯がゆさと戦っている。「分からない、分からない」を
繰り返します。

食事が終わって、お部屋に誘導するたびに、
Mさん「これから私はどこへ行けばいいの?」
私「お部屋にお連れしますよ。こちらです。」
Mさん「えぇ????ここが私の部屋?
あら、カワイイお人形だわ、テレビもあるのね 」
という会話を毎回繰り返します。そして
Mさん「あぁ、分からない。分からないわ。
私はここに住んでいるの?ここが私の部屋なの?
あぁ、分からない。分からないわ。」

漠然とした記憶があるにも関わらず、はっきりと思い出せない
はがゆさと戦っているMさん。いつもうつむきがちで、
何をしていいか分からず、それが蓄積すると爆発をし、
そしてまた暫くすると落ち着く」というようなサイクルを
繰り返しているようです。

娘さんが訪問にくるので、ちょっとお話したのですが
昔はご主人と一緒に慈善活動に専心し、多くの移民を助けたとのこと。
とても素晴らしい人だったんですとおっしゃっていました。

思い出せないということを一瞬でも忘れられるほどMさんが
専心できる、彼女が楽しめる何かを提供できればいいのですが。
受身でなく、積極的に関われる何かを。

署名

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