さよなら三角 また来て四角...日本編☆第二章☆

オーストラリアから10年ぶりに帰国。特別支援教育に携わりながら
市民農園・家庭菜園に励んでいます。

私立(プライベート)と公立(パブリック)の住み分け

2013年04月08日 09時40分46秒 | Web log
さて、こちらの医療保険についてですが、以前もブログで扱ったことが
あるような気がします。命は平等に尊いのか?その1から完まで

今回、病院実習をして思ったことはオーストラリアでの私立および公立の病院の
住み分けです。

私立の病院へ行くには、プライベートの医療保険に入っているあるいは全額負担する
のいずれかが前提です。

プライベートの医療保険を取り扱う会社は数社あって、加入者が自分の必要に応じて
プランを選択してお金を払います。

ちなみにオーストラリアは救急車の利用は有料で、以前私が利用したときは600ドル
支払いました。日本円で6万円弱。

ということで、プライベートの保険に入るときに救急車のみを選ぶ人もいれば、救急車と
歯の治療のみとか、まぁ、いろいろなプランがあるわけです。

公立の病院での治療は基本無料(イギリスも同じ)なので、公立病院での治療で十分と思う人
は余計なお金を払いません。

が、公立病院は無料だけあって、治療にかなりまたされます。優先順位の高い、緊急性の
高い病気に関してはすぐ診てもらえますが、命に関わらないものであれば、先送りされます。
膝の手術がなんども延期になったという話はよく聞きます。

ということで、お金を払ってもきちんと診てもらいたいという人は、プライベートの保険に
入りますし、地元のGPも、プライベートの保険に入っている人に対しては、公立の病院宛に
紹介状は書いてくれません。

私立の病院に来る人=プライベートの保険に入っている人というのがほぼ前提となっています。

で、プライベートの保険に入っている場合、カウンセリング、作業療法、理学療法、血液検査
すべてが保険適用となり(それでも全額適用ではないはず)、少ないお金の負担でそれらの
サービスを受けることができます。(ちなみにプライベートの保険では、眼鏡やコンタクト
レンズの購入もプランによっては保険対象になります。)

年単位で多額のプライベートの保険料を払っている消費者としては、使えるサービスが
あるなら使おうという気持ちになりますし、保険が適用になるなら病院側も安心して手厚い
サービスを提供しようという感じになるわけです。

そういうシステムだからこそ、私立の病院では患者さんに対するホリスティックなアプローチが
可能なのかなぁと。

お金を払っている人はそれなりのサービスを受けることができるという、ま、資本主義の
基本ですね。

でも、そこで「じゃ、お金のない人はどうなるの?」ということになるわけです。

お金のない人は、公立病院のサービスで我慢してください....ということです。

公立の病院がどの程度のものか分かりませんが、以前救急で運ばれたときは
ひどい扱いを受けて私は二度といくもんかと思いました。

実習中、ある患者さんが、「以前、同じ病気で公立の病院へ救急車で運ばれたときは
『この病気に関しては明確な治療法がありませんから、とっとと帰ってください。』と
言われたんだ。でも、ここではちゃんと僕の問題を気にかけて、解決しようと頑張ってくれる
お医者さんがいる!本当にうれしい。」と話してくれました。

その点からすると日本のように、2割(3割ですか?)負担の原則で国民全員がほぼ
等しい治療を受けられるというのは差別がなくてとてもいいということになります。

が、その反面

医療従事者は疲れ果て、救急車をタクシー代わりにつかう、救急でもないのに救急車を
呼びつける人がでてくる→本当の救急患者の手当てが遅れるなどといった、弊害が起きている
のも事実かなぁと。

システム自体が疲労し、あちこちで問題がでてきているのではないかなぁと思いますが、
いかがでしょうか。高齢化が進んでいく中、問題はさらに大きくなっていくような気が
します。

全体の質を保持するために、患者ひとりひとりに対するサービスの質が少しづつ低下してくる
ということが避けられなくなってくる。

やっぱりお金、予算が前提としてありますからね。

難しい問題ですね。

アメリカが一番顕著かと思いますが、お金のある人はよいサービスを受けられる。
収入による差別、区別がでてくるということなんでしょう。

ま、日本はそれほど露骨ではないにせよ、保険適用外の治療とか薬とかの選択肢が
あって、それもやっぱりお金のある人は選択できるけれども、でなければ諦めなければ
ならないということも実際あるわけでして。

それが現実ということなんでしょう。

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