まあどうにかなるさ

日記やコラム、創作、写真などをほぼ週刊でアップしています。

お隣りの女性を襲った痴漢

2009-11-30 22:56:21 | 笑える話
まだ独身で一人暮らしをしていた頃。
住んでいたのは都内の1Kのアパートの1階。
「きゃ~~!、だれか~!」
ある日、夜中に寝ていると、隣に住む若い女性の黄色い悲鳴で目が醒めた。
驚いて起き上がり、玄関ドアを開けて外の廊下へ出る。
悲鳴が聞こえたお隣のバスルームの窓に灯りが…
「どうかしましたか?」
声をかけてみる。
返事はない…
ふと、廊下から外の道へ視線を移すと、通りがかり風の白っぽい服を着た若い小太りの男がこちらを伺っている。
「どうかしましたか?」
男はこちらに向かって歩いてくる。
「さあ、悲鳴が聞こえて出てきたんですが・・・」
事情がさっぱりわからない。
その男の人も通りがかりに悲鳴を聞いたそうだ。
声をかけても、それ以上女性が何も言わないのでその男はすぐに行ってしまった。
しばらくして再び声をかける。
すると、中から女性の声。
「外にヘンな人いませんか?」
ヘンな人・・・?
しばらくして、女性が玄関から顔を出す。
女性は深夜に帰宅して、無用心にもバスルームの窓を少し開けたまま入浴していたそうです。
そこへ、いきなり痴漢が来て、窓のすき間から手を入れ、窓を開けて、中へ入り込もうとしたらしい。
女性は、必死に窓を押さえ、悲鳴を上げたそうです。
痴漢は大声に驚いてその場を立ち去った。
そのすぐあとに、僕が出ていった。
でも、ふと考えると、通りがかり風の白っぽい服を着たあの男。
あ、あいつが犯人だ…
寝起きで事情がよく分からなかったとはいえ、みすみす犯人を取り逃がしてしまいました。
次の朝、管理人と警察官、それに隣の女性の3人が僕の部屋へやってきた。
女性は一晩中眠れなかった様子で、朝になっても目を真っ赤に腫らした顔。
管理人が「昨日は○○さんがお世話になったそうで・・・」
一瞬、僕が疑われているのかなと思ったが、隣の女性も白っぽい男のことはわかっていた。
「その男が犯人とは限りませんが」
そう前置きして、服装の特徴や、顔の特徴を警察官に話す。
一人暮らしの若い女性が夜中に一階の窓を開けたまま入浴するのもちょっと迂闊だが、警察の話だと、アパートの前の小路は人通りも少なくて薄暗く、痴漢通りと呼ばれるほど痴漢の多い通りだと言う。
それからしばらく経ったある日。
夜テレビを観ていると大学時代の後輩から電話があった。
「先輩、今近くで飲んでるので、今夜泊めてください」
「ああ、いいよ!」
「あと、2時間くらいでお邪魔します」
電話を切って、再びテレビを観る。
それから1時間くらい経ったとき…
痴漢に襲われた女性の部屋の方から物音が…
ドアを叩く音に続いて、窓を開け閉めする音
アパートの廊下と反対の部屋の窓から、女性の声
「すいませ~ん」
窓を開けて顔を出す。
「また、ヘンな人が玄関にいるんです」
今日は入浴はしていなかった様子。
今度こそ、犯人を取り逃がすまいと気合を入れ、傘を武器に、玄関を開けて、廊下へ飛び出す。
そこには、何故か手にカビキラーをもった男が…
「何やってんの? お前…」
隣の部屋の前には酔っ払った後輩が立っていました。
後輩は酔っ払って部屋を間違え、隣の女性宅のドアをノックしたらしい。
女性はドアの覗き窓から男を確認したが、知らない相手だったので、しばらく無視していた。
後輩は、僕がいるのに出てこないと思ったらしく、頭にきてドアを何度も叩く。それでも出てこないので、今度はバスルームの窓を開けて窓の横に置いてあったカビキラーをずっとバスルームに噴射し続けたそうです。
何やってんだか…
それにしても、何て間の悪い奴なんだろう…
あわてて、後輩と一緒に隣の女性に事情を説明し、平身低頭謝りました。
「怖い思いをさせてすいません」
二人で何度も頭を下げました。
本当にシャレにならない奴。
もう少しで傘で殴るところだった。
いや、いっそ殴った方がよかったかも…