埼玉県所沢の人口は令和元年9月末時点で 344,331人。市のホームページによると統計を取り始めた昭和30年は56518人だったので64年の間におよそ7倍に増えたことになる。
昭和40年代の初めは1割近くも増加している。高度成長期、次々と住宅が建てられ、市に多くの人々が移り住んできた。所沢市にはいわゆるマンモス団地が多く、若い世代を中心に結婚後、家賃の高い都内から移り住んできたと思われる。住宅の一次取得も多かっただろう。
そこで子を産み、家族が増えることで、人口も増えてきた。年々増加してきたが、近年は微増であり、平成25年と26年、そして平成29年に前年を割り込んでいる。1世帯当たりの人口も昭和40~50年代は3人を超えていたが、その後3人を割り込み、平成30年には2.16人となっている。
20年の間に、市の中心部にはタワーマンションが次々と立ち、最近では所沢駅の駅ビルも近代的に改築されている。見た目では成長している都市のように映るだろう。
だが、所沢市は人口がほぼ増えない都市となってしまった。
日本は人口減少が続いているので、不思議はないのかもしれないが、埼玉県の人口はまだ増え続いている。
県内ではさいたま市、川口市に次いで3位の人口だった所沢市だが、川越と越谷に抜かれ、今では県内では5位の人口となっている。
何故、所沢は他の埼玉県の都市と比べ人口が増えないのだろう?
ひとつには、早くに人口が増えたため、子供が成長し、都内などの県外で暮らし始めたという事はあると思う。また、住宅の一次取得についても、都内にマンションが多く建ち、バブル崩壊以降、値段も手ごろになってきたので郊外で取得する必要がなくなった。
所沢に住む家族も、よりゆったりとした家を求め、さらに郊外へ引っ越す人も増えているだろう。
所沢市はかつて、都心までそれほど時間もかからないちょうどいい郊外の都市だったが、今では逆に中途半端な郊外の都市となってしまったのではないだろうか。
街はきれいだし、電車の便もよく、適度に都会で、自然に触れ合えるところにも近い。住んでみるとなかなかいい街なのだが…
今日は所沢市の市長選である。
魅力的な都市として再び住む人を増やすことができるのか、それともこれからはさびれていく一方の都市となるのか? 新市長の手腕に期待したい。