高校の時に亡くなったクラスメイトの事を時々思い出す。高校2年生の時だ。その頃、授業はほぼ志望進路別になっていて、クラスメイトでも、ほとんど接点のない者も多かった。
亡くなったのは、ほとんど口をきいたこともない生徒だ。口をきかなかったのは、志望進路が違い、同じ授業をほとんど受けていないということもあったが、彼の素行の悪さに閉口していたからでもある。通っていたのはヤンチャな男子校。この中でも特に素行の悪い不良だった。
その生徒がある日、無免許でバイクに乗り、事故を起こして重傷を負った。
すぐに病院に担ぎ込まれ手術を受けることに。血液が不足していたため、クラスの担任が輸血を呼びかけ、何人かの生徒がそれに応じたが、僕は応じなかった。
彼の素行の悪さを普段からよく思わない生徒も多く、「死ねばいい」などと言う生徒もいた。
僕はそこまでは言わなかったが、仲のいいクラスの友人に「自業自得だよね」と言った。
その友人は「親の気持ちを考えたらそんなことは言えないはずだよ」と僕の発言を戒めてくれた。
友人の言う通りである。高校生の頃の僕は、そこまで頭が回らない未熟さがあった。
事故を起こした生徒は治療の甲斐なく間もなく死亡した。
「自業自得だよね」
ずいぶんとひどいことを言ってしまったなと後で少し後悔した。でも、それは、仲のいいクラスの友人に、ひどい男だと思われたかもしれないということへの後悔であり、亡くなった生徒に対してすまないという気持ちではなかったように思う。
あれから40年。
亡くなった生徒に対してすまないという気持ちがあるかと言われれば正直よくわからない。
クラスメイトが事故で死亡したという人生の中でも小さくない出来事だけが、風化しつつも記憶に留まっている。