まあどうにかなるさ

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ウイルスの飛沫シミュレーション

2020-05-30 22:07:30 | コラム

日経ものづくり6月号に、呼気による飛沫の流体解析のソフトを使ったシミュレーションの記事を掲載している。

 オランダ・ベルギーの大学とアンシス・ベルギーなどは共同で、歩行者やランナーが感染者だった場合の距離の取り方をシミュレーションにより明らかにした。それによると、ランナーの後ろにいると、呼気に含まれる微粒子をまともに受けてしまうため、10mは離れる必要があるという。一方で立ち止まっている場合は2mの距離があれば飛沫を直接受けることはない。歩いている人の後ろは5m、走っている人では10m離れるか真後ろを避けて斜め後ろ3m程度、あるいは横並びの位置取りをすべきと示している。

 シミュレーションに使った数字は飛沫の大きさが最小40㎛、最大200㎛、平均80㎛の水として設定。通常の呼気を模擬して2.5m/秒の初速を与えた。歩くスピードは時速4㎞、走る場合は14.4㎞/秒と仮定。風はないものとしている。時速14.4㎞/秒で10mの距離は時間差に直すと3.6秒に相当する。
  くしゃみのシミュレーションでは、飛沫の大きさを50~400㎛と設定し、秒速17秒で噴出した場合、1.8m離れた人には到達しないとしている。

 これに対して、ソフトウエアクレイドルによるシミュレーションでは、飛沫の大きさを1㎛と小さく設定している。ウイルス自体の大きさが0.1㎛~0.2㎛だから、ウイルスの5~10倍の大きさである。1㎛の水の微粒子を初速度10m/秒で飛ばすと仮定してシミュレート。マスクをしていない場合、2.5秒後に2mの距離に達する。重力を計算に入れているにもかかわらず、微粒子は落下しない。この場合は一般に言われる2mのソーシャルディスタンスでは不十分だ。一方でマスクをしていれば、飛沫はマスクの隙間から漏れ出るものの、微粒子はくしゃみをした人の周囲に留まる。くしゃみを可視化したシミュレーションは空気砲のイメージに近い。マスクには微粒子の補足効果を設定せず、速度に応じた圧力損失のみ設定して計算している。くしゃみをする人がマスクを装着する効果の本質は不織布やガーゼの目の細かさより圧力損失にある。

ランナーの飛沫シミュレーション
https://youtu.be/vTzjC5HATXg