まあどうにかなるさ

日記やコラム、創作、写真などをほぼ週刊でアップしています。

「死の町」発言は本当に不適切だったのか?

2011-09-21 19:44:24 | 時事問題
今週の『週刊朝日』に主題の意味の記事が掲載されていた。
鉢呂前経産相が語った失言の一部始終と題し、独自の視点で書かれているところが面白い。
鉢呂前経産相は福島第一原発周辺を9月9日の記者会見で「死の町」と表現したことに端を発し「放射能つけちゃうぞ」などの失言騒動で、僅か9日で辞任に追い込まれた。
同誌の記者が鉢呂前経産相にインタビューをして、記事にまとめている。
現在も警戒区域となっている双葉町や大熊町をバスで回ったとき鉢呂氏の目にはそのように映ったのだという。
「ついさっきまでここでふつうの生活が行われていたようだった。にもかかわらず、人間がいない。ぼくの乏しいボキャブラリーでは『死の町』という表現しか思い浮かびませんでした」
この会見での『死の町』という言葉が独り歩きしていく。実際はどのような文脈で語られたのかを報じるメディアは少ないが、鉢呂氏は「福島の再生なくして日本の再生はない。除染対策など今の困難な事態を改善に結びつけていくことができる」という話しも会見では述べているのだ。
同誌では「死の町」という表現の何が不適切なのかと書いている。
人の姿が全くない市街地を見て、そう感じるのは自然であり、被災者への配慮を錦の御旗に、発言が誰にとってどう不適切なのかを説明せず、決めつけて揺るぎないメディアにこそ疑問をもつと続く。
さらに不可解なのがその後に報じられた「放射能つけちゃうぞ」発言。
これは鉢呂氏が「死の町」発言をする前日の8日夜、議員宿舎で囲み取材に応じた際に「放射能をつけちゃうぞ」と発言、近くにいた毎日新聞の記者に防災服の袖をこすりつけるような仕草をしていたというものだ。
「死の町」発言のあと、テレビや新聞で報じられた。
ただ、この報道にも同誌は疑問を呈している。
当事者である毎日新聞は1面で「『放射能をつけたぞ』という趣旨の発言をした」と書いているが、記者が直接聞きながら「趣旨」と書くのは不自然。読売は「ほら、放射能」朝日は「放射能をつけちゃうぞ」など、表現も社によって異なり、事実関係がはっきりしない。鉢呂氏に真意を確認した形跡もない。
インタビューで、鉢呂氏は、そんな発言をした憶えはないと述べている。
「福島のみなさんに不信感をもたれてしまった以上、続けることはできません」
鉢呂氏は辞任を決意する。
「放射能つけちゃうぞ」発言の真偽は僕にはわからない。だが、もし鉢呂氏の言うことが正しいとするのなら、メディアは誤報道をもって一人の閣僚を辞任に追いやったことになる。
鉢呂氏の手腕がどの程度かは、結局解らないままだったが、最後に彼はこんなことを話している。
原子力政策をめぐり、経産省に煙たく思われたのかもしれませんと…



最新の画像もっと見る

コメントを投稿