年末の京都旅行は、河原町三条に近い宿に荷物を置いてから、地下鉄で一本の醍醐寺へ参りました。
何年か前に上醍醐に参詣して下山したら、日も傾いて閉門になってしまった下の社を訪ねます。
桐と菊の御門が並ぶ勅使門は見るだけで寺格を知ろうというもの。
上段中段の間から、能舞台になる下の間と広々と枯山水の流れる庭園を見渡す、力あるもの逹が栄華を誇ったろう三宝院を先ずはお参りします。
長谷川等伯一派などが描いた襖絵を座敷に撮影禁止ではありますが、入って間近に肉薄出来たのが最大のお楽しみでした。
昼は境内の奥にあるお休み処でにしん蕎麦を頂き、京都では最も古い木造建築という五重の塔では写経奉納の読経を聴きながら伽藍と霊宝を巡ったのでした。
すっかり冷えた冷えたと呟きながら、宿に戻ってコーヒーなども頂き小休憩。
そして、体の中を温め清める、お楽しみの懐石料理を味わうために、四条烏丸へ下り仏光寺通から小路を入ります。
年末に伺うのは2年ぶりとなった、和ごころ泉さんです。
カウンター席に着くとすぐに振る舞われるぶぶ入り茶と先付けの長芋•車海老•雲丹をジュレでまとめた酢の物でお腹は蠕動を増し、受け入れ態勢を整えます。
ここからは、食べるのに夢中。
器の外観を愛で蓋を上げると湯気と共に出汁の香りも麗しい、泉さんならではの椀ものなども次々に、中程では景観も楽しめるこの一品です。
冬景色の見映えの良さを記憶に留めたくて、一言お断りだけして写真も一枚頂きました。
河内の鴨に柚子釜のイクラ、庵の茅葺きを開けると中には牛蒡の湯葉巻きとほうれん草の白和が現れます。
口福の二時間で身も心も満たされました。
水菓子に道明寺の椿餅とお薄で今日のお膳とはお別れ、店を出ると小路を曲がるまで見送ってくれるご主人と女将に会釈を返して、夜の河原町を歩いて宿に戻ります。