犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

韓国便り~お茶の話

2011-08-29 23:37:21 | 韓国便り(帰任以後)

 二日目の夜は、現地駐在員二人とともにインサドンで会食。今まで私が行ったことがないところにしたいと言ったので、予約なしでインサドンの細い路地を物色しました。

 何軒か見た結果、「チャイヤギ」(お茶の話)という店にしました。

 ここは基本的には焼き肉の店。お茶をまぶしたカルビと、竹酒、竹筒ご飯が売り物だということ。「お茶と竹」で特徴を出しているようです。

 もともと「茶」は高麗時代に仏教寺院を中心に普及していたのですが、朝鮮時代に仏教が弾圧されるとともに衰退。500年に渡る朝鮮時代に茶を飲む習慣は廃れました。日本の植民地になったときに再び復活。それでも、今韓国で「チャ(茶)」というと、ポリ茶(麦茶)とかオクスス茶(とうもろこし茶)とか、緑茶とは関係ない飲み物が多い。

 そして竹。竹はもともと亜熱帯の植物なのでソウルのような寒い気候の地域では自生しない。済州島や半島の南端にのみ存在します。

 したがって、「茶と竹」は韓国の伝統とは無関係。インサドンという日本人韓国客の多い地域で、日本人受けを狙った店なのでしょう。


 駐在員二人は以前に行ったことがあるとのこと。肉の値段は比較的安くて牛カルビサルが1万3千円。そのかわり竹筒ご飯というのが8000円で、味は何の変哲もないのに高い。そして竹酒というのを頼んでみると薬罐に入って出てきた。

「あれ? このまえ来たときは竹筒に入って出てきたのに」

 駐在員が店のアジュンマに聞いたところ、

「衛生上の理由で、今は出さない」とのこと。

 衛生上の理由? じゃ、同じ竹筒に入って出てくる竹筒ご飯のほうは大丈夫なの? 酒は常温だがご飯は加熱されているので問題はないということでしょうか。不安なことではあります。

 会食が終わり、駐在員二人と別れた後、ホテルに向かいます。道がわからないといけないので、韓国人職員も一人ついてきてくれました。

 前日しこたま飲んだとはいえ、このまま帰るのは物足りない。そこで、韓国人の知り合いのアガシに連絡してみる。これまでも出張時にときどきおつきあいしてもらったアガシです。しかし、いきなり電話してこれから飲もうといっても、相手にも都合がある。結局2人に電話してみましたが断られました。

 日本大使館の前には機動隊のバスが2台止まっていて警備がものものしい。水曜日だから例の「水曜集会」があったのか、それとも最近の竹島関連国会議員入国拒否問題などで抗議デモがあったのか。

 チョンノのほうへぶらぶら歩いて行ったとき、「セミ」というカフェが目につきました。

(ここに行ったことあるなあ)

 昔の記憶がよみがえります。入ってみると、迎えてくれたのは旧知のママ。

「オモナ。オレガンマニエヨ。オットッケアショッソヨ」
(あら、お久しぶり。どうしてここがわかったの?)

 このママ、かつてプクチャンドン(北倉洞)でJカクテルハウスを経営していました。日本語が上手で、ソウルプラザホテルの裏という好立地のために一時は日本人の観光客、駐在員を相手に流行っていたのですが、IMF経済危機で経営が悪化。店を甥に譲って、しばらくは観光ガイドをしていましたが、約6年ほど前にチョンノで新しくバーをオープン。オープンしたてのときに連絡をもらって、一度行ったことがあったのです。

 ママ以外にアガシ(やや年配)が二人。そのうち一人は片言の日本語が話せます。昔の思い出話に花が咲き、楽しく飲むことができました。

 アガシとの会話。

「足の大きい男の人って、ほかのモノも大きいんだけど、何でしょう?」

(えっ? ほかのモノって、足と相関関係あったっけ…)

各自いろんなことを想像します。

「ウーン、難しいなあ…」

「ハハハ。男の人って、なんでみんなそうなのかしら。答えはクツよ」

(一同、爆笑)


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7 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
朝鮮のスペル (スンドゥプ)
2011-08-30 17:16:15
>500年に渡る朝鮮時代
話題とは関係ありませんが、上記を見て思い出しました。

古い切手に「표우션죠」と書いてありました。
「표우(郵票)」を見て、なるほど昔は日本語同様、横書きの場合は左から書いたのかと思いました。しかし「션죠」は朝鮮のことだろうか?と思いましたが、どうもネットを見ると古い印刷物にはそう書いてあるようだ。
子供のころ、古い看板に「こばた」とあり、逆じゃないかと思ったり、「蝶々」がなんで「てふてふ」かと思いましたが、彼の地でも同様の現象があったんでしょうか?
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訂正 (スンドゥプ)
2011-08-30 17:18:08
下記のとおり、「右から」に訂正します。

「표우(郵票)」を見て、なるほど昔は日本語同様、横書きの場合は右から書いたのかと思いました。
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右から左 (犬鍋)
2011-08-31 23:47:35
日本でも中国でも縦書きの場合、行は右から左に書く。

行の長さをどんどん短くしていって、ついに一行一文字にすると、結局、右から左に書いていくことになる…。

そんな説明をどこかで聞いた覚えがあります。

朝鮮の昔の発音が죠션だったのかどうかは、私には知識がありません。
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 (山ボーイ)
2011-08-31 23:49:59
へえ、竹が少ないのですか。意外でした。
朝鮮と言えば虎、虎と言えば竹薮というイメージだったので、朝鮮半島には沢山の竹薮があるのかと思っていました。
不思議に思ったので、ネットで検索してみたら、「牡丹に唐獅子 竹に虎」というのが出てきました。
法話だったのですね。先入観って怖いですね。
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Unknown (某延世大留学生)
2011-09-03 00:12:46
右から左へ進む表記ですが、あれはおっしゃるとおり、横書きではなく一行一字の縦書きなんですよね。

됴션なんて表記もありました。おそらく表記どおりに発音していた時代はあったと思います。
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笹は (犬鍋)
2011-09-03 18:58:24
けっこう北まであるようです。

寒さとともに降水量の少なさも、竹の生育に不利なのでしょう。

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 (犬鍋)
2011-09-03 19:01:10
見たことのないハングルですね。

죠や션は外来語にありそうですが。
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